てんかん

てんかんは、脳の神経細胞が異常な電気的興奮を起こすことによって、けいれんや意識消失などの発作(てんかん発作)を繰り返す慢性の中枢神経疾患です。
乳幼児から高齢者まであらゆる年齢層で発症する可能性がありますが、高齢者の方にも多く見られます。

発症の原因

てんかんの原因は以下の2つに大別されます。

1. 症候性てんかん

脳に明らかな損傷や障害がある場合に発症します。
:頭部外傷、脳血管障害、アルツハイマー型認知症、脳腫瘍など

2. 特発性てんかん

原因が特定できないもの。全てんかん患者さまの約60%以上がこのタイプに分類されます。

発症メカニズム

てんかんは、大脳皮質ニューロンが過剰に興奮することで発作が引き起こされます。
この異常な電気的興奮が、脳の特定の部位に限られる場合や、脳全体に広がる場合があり、発作の種類や症状に違いが現れます。

てんかん発作の種類

てんかん発作は、大きく以下の2種類に分類されます。

1. 焦点(部分)発作

脳の一部に限られて異常な電気活動が起こる発作です。

症状
意識を保ったまま手足が勝手に動く、感覚が一時的に異常をきたすなど。

2. 全般発作

脳全体に広がる異常な電気活動によって発生する発作です。

症状
突然の意識消失や全身けいれん、強直。
  • 注意:1回限りの発作では「てんかん」とは診断されません。発作を繰り返す場合、脳波検査やMRI検査、核医学検査によって確定診断が行われます。

てんかんの治療

1. 薬物療法

てんかん治療の中心となる治療法です。抗てんかん薬を使用して発作を抑えます。
単剤療法または複数の薬を組み合わせた併用療法が行われます。

  • 注意:発作が治まった場合でも、自己判断で薬を中止せず、医師の指示に従って継続することが重要です。

2. 外科的治療

薬物療法で十分な効果が得られない場合に検討されます。

焦点切除術
発作の原因となる脳の部位を切除
遮断手術
発作が広がる経路を遮断し、症状の拡大を防ぎます

常生活の注意点と支援

てんかん患者さまが安心して生活を送るためには、以下のような注意点や支援が役立ちます

日常生活での注意点

1. 発作の誘因を避ける

ストレス、睡眠不足、飲酒などが発作のきっかけになる場合があります。これらの要因をコントロールしましょう。

2. 生活リズムの整備

規則正しい生活を心がけることが発作の予防に繋がります。

社会的支援

運転免許の管理

発作が抑えられている場合でも、運転免許の取得や更新には医師の診断書が必要です。適切な指導を受けましょう。

学校・職場での対応

発作時の対処法を周囲に伝えることで、安心して日常生活を送ることができます。

当院での対応

当院では、てんかんが疑われる患者さまに対して以下の診療を提供しています。

1. 丁寧な問診と診察
患者さまの発作の種類や頻度を正確に把握します。

2. 画像診断
基幹病院と協力し、脳波検査、MRI検査、核医学検査を駆使しててんかんの診断を行います。

3. 個別化された治療計画
患者さまの症状やライフスタイルに合わせた薬物療法を提案します。

てんかん発作が疑われる場合は、早期に医療機関を受診することが重要です。
当院では、神経内科専門医が対応し、患者さまが安心して生活を送れるようサポートいたします。
また、てんかんと診断されている患者さまについても、受診しやすい環境で診療を継続いたします。