吉祥寺おおさき内科・脳神経内科 院長
大﨑 雅央
東京大学医学部卒神経内科専門医総合内科専門医
プロフィール
60秒でわかる脳ドックの異常・所見
- 結果票だけでは、緊急性が分かりにくいことがあります。まずは「症状の有無」「所見名」「要受診・要精密検査などの記載」「画像CDの有無」を確認しましょう。多くの所見は、すぐ救急という意味ではありません。ただし、神経症状がある場合や、未破裂脳動脈瘤・高度狭窄などは、早めの相談が大切です。12
- 大切なのは、所見名だけで一喜一憂しないことです。画像と背景リスク(血圧・脂質・血糖・家族歴)を合わせて専門医に読み解いてもらうことで、次の一手が整理しやすくなります。結果票と画像CDがあると、外来でスムーズに確認できます。
- いまの状況で入口が変わります。すでに結果票や画像をお持ちの方は、外来で画像を見ながら相談できます。まだ詳しい評価を受けていない方は、MRI・認知機能・採血をまとめて確認できる脳ドックも選択肢です。
脳ドックで異常・所見を指摘されたら、まず何を確認するか
結論まずは所見名・緊急性の記載・画像の有無を確認します。症状がなければ、数週間から1か月程度を目安に外来相談を検討してください。
脳ドックで異常や所見を指摘されると、「すぐ受診が必要なのか」「何科に行けばよいのか」「放っておいて大丈夫なのか」と不安になりやすいです。とくに、結果票に聞き慣れない所見名が並んでいると、緊急性の判断がしにくくなります。
結果票が届いたら、以下の4点を確認してみてください。
- 所見名:結果票に記載されている所見名(例:白質高信号、未破裂脳動脈瘤、頸動脈プラークなど)を確認します。
- 緊急性の記載:「要精密検査」「要受診」「経過観察」など、結果票に記載されている指示の種類を確認します。
- 画像CD・レポートの有無:画像CDやDVD、読影レポートが同封されている場合は、受診時にお持ちいただくと確認がスムーズです。
- 受診時期の目安:特に期限の記載がなく、症状もない場合は、数週間から1か月程度を目安に外来を検討していただくとよいでしょう。症状がある場合は早めの相談をおすすめします。
まとめまずは所見名・緊急性の記載・画像の有無を確認し、症状がなければ数週間以内の受診を検討してください。ただし、この4点は"急ぐべきか"の目安です。その所見が"様子見でよいか・対応が必要か"の最終判断は、画像と背景リスク(血圧・脂質・血糖・家族歴)を合わせて専門医が行います。一人で結果票を読み解こうとせず、気になる所見は外来で確認しましょう。
早めの受診を考えたいケース
結論神経症状がある方や、結果票に緊急性の高い所見がある方は、早めの受診が望ましいです。結果票の到着を待たずに相談した方がよい場合もあります。12
以下のような場合は、結果票の到着を待たず、早めに医療機関への相談を検討してください。
- 片側の手足の動かしにくさ・しびれが急に出た、または悪化している
- 言葉が出にくい、ろれつが回らないなど言語に関する変化がある
- 繰り返す頭痛やめまいが最近目立ってきた
- 物忘れが以前より明らかに悪化していると感じる
- 結果票に「未破裂脳動脈瘤」「高度狭窄」など、緊急性の高い所見が記載されている
詳しく読む(症状があるときの考え方)
上記に当てはまらない場合でも、所見の意味が分からず不安な方はお気軽にご相談ください。
急に出た片側の麻痺、しびれ、言葉の出にくさ、急な強い頭痛などは、脳ドックの結果説明ではなく、通常の外来または救急での確認を優先します。
まとめ神経症状があるときは、結果票の評価よりも現在の症状の確認を優先します。
脳ドックでよくある所見と、次の一手
結論所見の種類によって次の対応は異なります。まずは結果票を持参のうえ、外来でご相談ください。
脳ドックで指摘されることの多い所見について、それぞれの概要と次にどうすればよいかをまとめています。
詳しく読む(所見ごとの次の一手)
慢性虚血性変化(白質高信号)を指摘された場合
MRIで脳の中に白く映る部分が見つかった、という意味です。脳ドックでは比較的よくみられる所見の一つで、すぐに救急相談を優先する所見ではないことがほとんどです。
ただし、この所見の背景には高血圧・糖尿病・脂質異常症などが関わっていることがあり、放置すると将来の脳卒中や認知機能の低下につながる可能性があります。34
- MRIの画像だけで判断するのではなく、血圧・血糖・脂質などの血管リスクもあわせて確認します。
- まだ詳しい評価を受けていない方は、MRIに加えて認知機能検査(Mini-Cog・TMT)やリスクに関わる採血(インスリン抵抗性・ホモシステインなど)も含めて確認できる脳ドックが選択肢になります。
- 慢性虚血性変化の意味や将来のリスクについて詳しく知りたい方は、慢性虚血性変化(白質高信号)の解説ページもご覧ください。
未破裂脳動脈瘤を指摘された場合
脳の動脈にできたふくらみで、多くは無症状で見つかります。大きさや部位によって対応が異なります。561
- 小さく低リスクの場合は経過観察が中心です。
- 高リスクと判断される場合は、脳神経外科と連携して追加画像評価や治療方針の相談を行います。
- まずは血圧が高くなっていないか、喫煙がないかを確認することが基本になります。
頸動脈プラーク・狭窄を指摘された場合
動脈硬化により血管の内側が狭くなっている状態です。脳梗塞のリスク評価では、狭窄の程度と症状の有無を確認します。2789
- まずは動脈硬化のリスク因子(血圧・血糖・脂質・喫煙)を確認します。
- 必要に応じて頸動脈エコーや追加の画像検査で狭窄の程度を確認します。
- 症候性や高度狭窄の場合は、速やかに血管内治療・外科の専門施設へご紹介します。
脳萎縮を指摘された場合
脳の体積が小さく見える所見ですが、年齢相応かどうかは単純に判断できません。物忘れが目立つ、生活上の変化を感じるといった場合は、外来での確認をおすすめします。10111213
- 睡眠・うつ・薬剤・栄養・甲状腺など、二次性の要因がないかも含めて確認します。
- 必要に応じて記憶外来と連携します。
陳旧性脳梗塞・ラクナ梗塞を指摘された場合
過去に起きた小さな脳梗塞の跡として見つかることがあります。自覚症状がなかった場合でも、再発予防の観点からリスクの確認が重要です。14
- 血圧・脂質・血糖・喫煙などの背景リスクを確認します。
- 必要に応じて薬物療法を検討します。
脳微小出血を指摘された場合
MRIで見える小さな点状の出血跡です。血圧が高くなっていないかを確認することが特に大切です。1516
- 抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)を服用中の方は、出血リスクと梗塞リスクのバランスを個別に判断する必要があります。
- 結果票だけで自己判断せず、外来での確認をおすすめします。
まとめ慢性虚血性変化、未破裂脳動脈瘤、頸動脈プラーク・狭窄、脳萎縮、陳旧性脳梗塞、脳微小出血では、確認するポイントがそれぞれ異なります。結果票と画像をもとに次の一手を考えます。
まとめこのように、同じ「所見あり」でも、種類によって"様子見でよいもの"から"早めに対応したいもの"まで幅があります。所見名だけでは見分けられず、放置すると将来の脳卒中や認知機能低下につながりうる所見も含まれます。だからこそ、結果票と画像CDを持参のうえ、画像と背景リスクを専門医に一緒に読み解いてもらうことが、次の一手を間違えないための近道です。
再検査が必要か、経過観察でよいかの目安
結論追加の検査が必要かどうかは、所見の種類、症状、既往歴、画像の変化で判断します。結果票だけで決めきれないこともあるため、画像CDがあると外来で確認しやすくなります。
追加の検査が検討されるかどうかは、主に以下の要素で判断されます。
| 確認ポイント | 追加評価が検討されやすいケース | 経過観察になりやすいケース |
|---|---|---|
| 所見の種類 | 未破裂脳動脈瘤、高度狭窄、症候性の所見 | 軽度の白質高信号、年齢相応の脳萎縮 |
| 症状の有無 | しびれ・麻痺・言語障害・繰り返す頭痛 | 自覚症状なし |
| 既往歴・リスク因子 | 高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙が重複 | リスク因子が少ない、またはすでに治療中 |
| 画像の比較 | 前回画像と比べて進行が疑われる | 前回と変化なし、または初回検査 |
詳しく読む(表の使い方)
上記は一般的な目安です。実際の判断は所見の詳細や個別の状況により異なりますので、結果票をお持ちのうえ外来でご相談ください。
症状がある場合、未破裂脳動脈瘤や高度狭窄が疑われる場合、前回画像からの変化がある場合は、追加評価を検討しやすくなります。
まとめ迷ったときは、所見名だけで判断せず、症状・既往歴・画像の変化を合わせて確認します。この判断は専門医の役割で、結果票だけでは決めきれないことも少なくありません。迷う段階こそ、結果票と画像CDを持って外来でご相談ください。
受診時に持参いただきたいもの
結論結果票と画像CDがあると確認がスムーズです。健診結果やお薬手帳もあわせてお持ちください。
以下をお持ちいただくと、より正確な確認につながります。
- 脳ドックの結果票(報告書) — 所見名や読影コメントが記載されています
- 画像CD・DVD — MRI/MRA画像データがあると、当院で画像の読み直しが可能です
- 健診結果 — 血圧・血糖・脂質・腎機能などの数値が分かると、全身リスクの確認に役立ちます
- お薬手帳 — 現在服用中のお薬の確認に使います
- 血圧手帳(お持ちの場合) — ご家庭での血圧記録があれば参考になります
まとめ結果票と画像CDがあると確認がスムーズです。健診結果やお薬手帳もあわせてお持ちください。
当院でできる二次評価と専門連携
結論画像だけでなく、血圧・脂質・血糖・喫煙・家族歴なども一緒に確認します。必要に応じて追加検査や専門施設への紹介につなげます。
- 画像とレポートの再確認:お持ちいただいた画像CDと結果票をもとに、所見の内容を丁寧に確認します。
- 全身リスクの確認:総合内科の視点で、血圧・脂質・血糖・喫煙・体重・家族歴などを確認します。
- 追加検査の選択:必要に応じて、頸動脈エコーや血液検査などの追加評価を行います。連携施設でのMRA等も手配可能です。
- 内科的なフォロー:脳神経内科の視点で、生活習慣の見直しと必要な薬物療法を組み合わせて考えます。
- 専門連携:治療適応が考えられる場合は、脳神経外科・血管内治療・記憶外来などの専門施設へ速やかにご紹介します。
詳しく読む(脳ドックと外来の使い分け)
まだ詳しい評価を受けていない方
MRIだけでなく、認知機能・採血・心電図をまとめて確認し、いまの脳の状態と将来のリスクを確認したい方に向いています。
- 健診や脳ドックで所見を初めて指摘された
- 症状はないが将来のリスクが気になる
- 何から始めればよいか知りたい
- 結果に異常があれば、そのまま保険診療の外来でフォローできます
すでに結果をお持ちの方
MRI結果や読影レポートをお持ちで、治療や生活改善の進め方を相談したい方は外来が向いています。
- 結果票・画像CDを持っている
- 他院で指摘を受けて相談したい
- すぐに治療方針を相談したい
- 結果票・画像CD・お薬手帳をお持ちください
まとめまだ評価前なら脳ドック、すでに結果票や画像CDをお持ちなら外来相談が向いています。いずれの場合も、当院では"結果票を渡して終わり"にせず、画像と全身リスクを専門医が一緒に読み解き、「この所見は様子見でよいか・何をすべきか」がはっきりした状態にします。迷う方も、まずはお気軽にご相談ください。
次のステップを選ぶ
結論脳ドックの結果をどう活かすかは、いまの状況によって異なります。まだ評価前の方と、すでにMRI結果をお持ちの方で、選びやすい入口が変わります。
次のどちらに近いかで、脳ドックを見るか、外来予約へ進むかを選んでください。
- まだ詳しい評価を受けていない方:MRI・認知機能検査・リスク採血・心電図をまとめて確認し、いまの状態と将来のリスクを確認できます。結果に応じて、そのまま保険診療の外来でフォローに進むことも可能です。
- すでにMRI結果をお持ちの方:結果票や画像CDをお持ちいただければ、外来で画像を見ながら、治療や生活改善の優先順位を一緒に確認できます。
まとめ脳ドックで詳しく確認するか、外来で結果票を見ながら相談するかは、いまの状況に合わせて選べます。どちらを選んでも、ゴールは同じ——「その所見が自分にとってどういう意味で、次に何をすべきか」を、専門医と一緒にはっきりさせることです。どちらか迷う方も、まずはご相談いただければ、状況に合った入口をご案内します。
脳ドックの異常・所見でよくある質問
Q1.脳ドックで慢性虚血性変化を指摘されたら、すぐ受診が必要ですか?
Q2.脳ドックで異常を指摘されても、症状がなければ様子を見てよいですか?
Q3.結果票だけでなく、画像CDも持参した方がよいですか?
はい。画像CDがあると、当院で画像の読み直しが可能になり、より正確な確認につながります。結果票のみでもご相談は可能ですが、画像をお持ちいただくとスムーズです。
Q4.未破裂脳動脈瘤と言われた場合は何科に相談すればよいですか?
まずは脳神経内科または脳神経外科への受診が適切です。当院では脳神経内科として画像確認とリスク評価を行い、治療が必要と判断される場合は連携する脳神経外科へ速やかにご紹介します。1
Q5.脳ドックで白質病変を指摘された場合、生活習慣の確認は必要ですか?
はい。白質病変の背景には高血圧をはじめとする生活習慣病が関わっていることが多いです。血圧・血糖・脂質の確認と、必要に応じた生活習慣の見直しが大切です。34
まだ血液検査や認知機能の確認をしていない方は、MRI・採血・認知機能評価をまとめて受けられる脳ドックで全体像を確認する方法もあります。詳しくは大脳白質病変の解説ページもご覧ください。
参考文献
参考文献を表示
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