吉祥寺おおさき内科・脳神経内科 院長
大﨑 雅央
東京大学医学部卒神経内科専門医総合内科専門医
プロフィール
60秒でわかる 脳微小出血
脳微小出血は、MRIのT2*・SWIで小さな黒い点として見える所見です。多くは過去のごく小さな出血の跡です。
- 数と場所が大切です。深い部分は高血圧、表面寄りは脳アミロイド血管症(CAA)などを考えます。
- 症状がないまま見つかることが多い所見です。ただし突然の麻痺・ろれつ障害・視野欠け・激しい頭痛が続く場合は、Web予約ではなく救急相談を。
- アスピリンや抗凝固薬は、自己判断で中止しないでください。中止すると脳梗塞・心筋梗塞のリスクが上がることがあります。
微小出血は、数や場所、飲んでいる薬で意味が変わり、レポートの文字だけでは判断しきれません。一人で抱えず、画像と背景リスクを専門医と一緒に確認すれば、“今すべきこと”と“様子を見てよいこと”がはっきりします。
院長・神経内科専門医 大﨑 雅央
脳ドックと外来、どちらを選ぶ? — 迷ったときの目安
結論薬(抗血小板薬・抗凝固薬)や症状について相談したい方は、外来が向いています。一方、症状がなく、白質病変・ラクナ梗塞の併存や隠れた不整脈・認知機能まで含めて、脳と血管の状態を一度まとめて確認したい方は、認知症・脳卒中ドックが選択肢になります。
脳微小出血は、ひとつの所見だけで判断するよりも、年齢、血圧、糖代謝、脂質、喫煙、飲酒、内服薬、白質病変やラクナ梗塞の有無をあわせて見ることが大切です。
すでに他院でMRIを受けている方は、画像データとレポートを持参いただくと、外来で場所・数・薬の注意点を確認できます。これから一度まとめて調べたい方は、脳ドックで脳と血管の状態を広く確認できます。
詳しく読む(脳ドック向き・外来向きの目安)
認知症・脳卒中ドック(脳ドック)が向いている方
- 微小出血だけでなく、白質病変、ラクナ梗塞、脳萎縮、脳血管の狭窄などもまとめて確認したい
- 将来の脳卒中・認知症リスクを、採血・心電図・認知機能検査も含めて見直したい
- 健診や人間ドックでは説明が少なく、何をすればよいか知りたい
- 家族歴や高血圧、糖尿病、喫煙歴などがあり、脳と血管の状態を一度確認したい
外来受診が向いている方
- すでにMRI画像・レポートがあり、その結果について説明を受けたい
- アスピリン、クロピドグレル、ワルファリン、DOACなどを続けてよいか相談したい
- 家庭血圧や生活習慣をどこから見直すべきか相談したい
- 白質病変やラクナ梗塞など、ほかの所見もあわせて説明してほしい
| 迷っている内容 | おすすめの入口 | 理由 |
|---|---|---|
| MRI結果を持って薬・症状を相談したい | 外来 | 画像とレポートをもとに、場所・数・薬・血圧を確認しやすいためです。 |
| 脳全体を一度まとめて調べたい | 脳ドック | 3テスラMRI、採血、認知機能検査、心電図などを組み合わせて確認できます。 |
| 抗血小板薬・抗凝固薬を飲んでいる | 外来 | 薬を自己判断で中止せず、薬の目的と画像所見をあわせて相談する必要があります。 |
| 症状はないが将来リスクが心配 | 脳ドックまたは外来 | 検査済みなら外来、未検査で広く知りたい場合は脳ドックが選択肢です。 |
まとめ迷う場合は、“相談したいこと”で選ぶと分かりやすくなります。薬や症状の相談は外来、これから全体をまとめて確認したいなら脳ドックが入口です。
脳微小出血とは? — MRIの「黒い点」の意味
結論脳微小出血は、MRIで見える小さな出血の跡です。多くは無症状で見つかりますが、脳小血管病のひとつとして、血圧や薬の見直しにつながる重要なサインです。12
脳微小出血(cerebral microbleeds; CMB)は、MRIのT2*(T2スター)強調像やSWIで、小さな黒い点として見える所見です。過去にごく小さな血管から血液成分が漏れ、その跡としてヘモジデリンという鉄を含む成分が残ることで見えます。
「今も出血している」という意味ではないことが多く、健診や脳ドック、頭痛やめまいの検査で偶然見つかることがあります。一方で、微小出血が多い場合や特定の場所に集まる場合は、脳出血や認知機能低下と関連することが報告されています。3
詳しく読む(微小出血と脳小血管病)
脳微小出血は、白質病変、ラクナ梗塞、血管周囲腔の拡大などと同じく、脳小血管病の画像マーカーとして扱われます。ひとつだけ見つかった場合と、複数ある場合、深部に多い場合、脳葉に多い場合では意味が変わります。4
大切なのは「黒い点があるかどうか」だけではなく、「なぜできたのか」「これ以上増えにくくするには何ができるか」「飲んでいる薬をどう考えるか」です。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 脳微小出血(CMB) | MRIで小さな黒い点として見える、過去のごく小さな出血の跡です。 |
| ヘモジデリン沈着 | 血液成分に含まれる鉄が沈着した跡を指します。MRIで黒く見える理由のひとつです。 |
| 脳小血管病 | 脳の細い血管が傷むことで起こる所見の総称です。白質病変、ラクナ梗塞、微小出血などが含まれます。 |
| CAA(脳アミロイド血管症) | 高齢者に多く、脳の表面寄りの血管にアミロイドが沈着し、脳葉型の微小出血や脳出血と関係します。5 |
まとめ脳微小出血は、MRIで偶然見つかることも多い所見です。慌てるより、場所・数・原因・薬を順番に確認することが大切です。
脳微小出血のMRI検査 — T2*(T2スター)・SWIで黒い点が見える理由
結論脳微小出血は、通常のMRIでは目立たず、T2*やSWIで見つかりやすくなります。レポートに「低信号」「黒点」「ヘモジデリン沈着」と書かれることがあります。
T2*(T2スター)強調像やSWIは、鉄を含む血液成分の跡に敏感な撮影方法です。そのため、微小出血は周囲より黒い点として見えやすくなります。2
一方で、石灰化、血管、撮影条件、アーチファクトなどで似たように見えることもあります。レポートだけで不安が強い場合は、画像そのものを見ながら確認すると理解しやすくなります。
詳しく読む(T2*・SWI・レポート用語)
- T2*やSWIが撮影されていないMRIでは、微小出血が十分に見えないことがあります。
- 撮影条件が違うと、以前より増えたように見えることもあります。
- 古い画像がある場合は、同じ条件かどうかも含めて比べることが大切です。
| 撮影・用語 | 何を見ているか | 微小出血との関係 |
|---|---|---|
| T2*(T2スター)強調像 | 磁化率の変化に敏感なMRI撮影です。 | ヘモジデリン沈着が小さな黒い点として見えやすくなります。 |
| SWI | さらに磁化率の違いを強調して見る撮影です。 | T2*より小さな所見が見えやすいことがあります。 |
| 低信号 | MRIで周囲より暗く見えることを指します。 | 微小出血は低信号として表現されることがあります。 |
| ヘモジデリン沈着 | 過去の出血の跡に残る鉄を含む成分です。 | 微小出血を示す表現としてレポートに書かれることがあります。 |
まとめMRIの黒い点は、撮影方法と場所をあわせて見る必要があります。レポートの言葉だけで判断せず、画像と一緒に確認しましょう。
MRIレポートの読み方 — 「微小出血」「ヘモジデリン沈着」とは?
結論レポートで大切なのは、言葉そのものより「場所」「数」「他の所見」です。同じ微小出血でも、深部型か脳葉型か、多発しているかで考え方が変わります。
MRIレポートには、「微小出血疑い」「陳旧性微小出血」「ヘモジデリン沈着」「T2*低信号」など、施設によってさまざまな表現が使われます。
患者さんにとって重要なのは、その言葉がどれほど危険かを一人で判断することではありません。どこに、いくつあり、白質病変やラクナ梗塞、脳萎縮、血管狭窄などが一緒にあるかを見ていくことです。
詳しく読む(レポートで確認したい項目)
| レポートの表現 | 考え方 | 次に確認したいこと |
|---|---|---|
| 微小出血 / CMB | MRIで小さな出血の跡が見えるという意味です。 | 数、場所、左右差、過去画像との変化を確認します。 |
| ヘモジデリン沈着 | 過去の出血の跡に残った鉄成分を表すことがあります。 | T2*やSWIでどのように見えるかを画像で確認します。 |
| 多発 | 複数の微小出血があるという意味です。 | 血圧、薬、白質病変、ラクナ梗塞、CAAの可能性をあわせて見ます。 |
| 脳葉優位 / 皮質下 | 脳の表面寄りに多いという意味です。 | 脳アミロイド血管症(CAA)との関連を考えることがあります。5 |
まとめレポートの表現は入口です。場所・数・併存所見・薬を組み合わせて確認すると、次にすることが見えやすくなります。
脳微小出血はどのくらい心配? — まず不安を順番に確認
結論微小出血があるだけで、すぐに危険というわけではありません。ただし、数が多い、脳葉に多い、白質病変やラクナ梗塞がある、抗血栓薬を飲んでいる場合は、より丁寧に確認します。
研究では、脳微小出血は将来の脳出血、脳梗塞、認知機能低下と関連することが報告されています。36 しかし、これは「必ず起こる」という意味ではありません。
今できることは、血圧を整えること、薬を自己判断で止めないこと、喫煙・飲酒・睡眠・糖代謝を見直すことです。特に血圧は、深部型の微小出血と関係が深い要素です。7
脳微小出血の原因 — 高血圧による血管の傷みと脳アミロイド血管症(CAA)
結論代表的な原因は、高血圧に関連する深部型と、CAAに関連する脳葉型です。どちらが疑われるかは、微小出血の場所を見て考えます。
高血圧が長く続くと、脳の深い部分を走る細い血管に負担がかかり、微小出血、ラクナ梗塞、白質病変につながることがあります。深部型では、基底核、視床、脳幹、小脳などに見られることが多いとされます。17
一方、脳の表面寄り(脳葉)に多い微小出血では、脳アミロイド血管症(CAA)を考えることがあります。CAAは高齢者に多く、脳葉型脳出血との関係が知られています。5
詳しく読む(深部型と脳葉型の考え方)
- 原因をひとつに決めつけず、画像の分布と生活習慣、薬、既往歴をあわせて見ます。
- 高血圧がある場合は、家庭血圧の記録が診療でとても役立ちます。
- CAAが疑われる場合は、脳葉型の微小出血や皮質表在性鉄沈着なども確認します。
| タイプ | 多い場所 | 主に考える背景 |
|---|---|---|
| 深部型 | 基底核、視床、脳幹、小脳など | 高血圧に関連する細い血管の傷みを考えます。 |
| 脳葉型 | 大脳の表面寄り、皮質下など | 脳アミロイド血管症(CAA)との関連を考えます。5 |
| 混合型 | 深部と脳葉の両方 | 高血圧、CAA、薬、年齢、ほかの所見をあわせて確認します。 |
まとめ原因の見方は、場所が手がかりになります。深部型では血圧、脳葉型ではCAAを含めて確認します。
数と場所で何が違う? — 深い部分か、表面寄りか
結論同じ微小出血でも、深部型と脳葉型では考える背景が異なります。レポートに「基底核」「視床」「脳幹」「脳葉」「皮質下」などの言葉があれば、確認の手がかりになります。
脳微小出血は、数だけでなく場所が重要です。深い部分に多い場合は高血圧に関連する血管の傷み、表面寄りに多い場合はCAAなどを考えます。
多発している場合や、白質病変・ラクナ梗塞を伴う場合は、脳小血管病として全体を見ながら、血圧・血糖・脂質・喫煙・飲酒・睡眠を見直します。4
詳しく読む(分布別に確認したいこと)
| 分布 | レポートで出やすい言葉 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 深部型 | 基底核、視床、脳幹、小脳 | 家庭血圧、降圧薬、減塩、糖代謝、腎機能などを確認します。 |
| 脳葉型 | 皮質下、脳葉、後頭葉など | CAA、脳葉型脳出血の既往、抗血栓薬、転倒リスクなどを確認します。 |
| 混合型・多発 | 深部にも脳葉にもある | 原因をひとつに絞らず、画像・薬・生活背景をあわせて見ます。 |
まとめ場所は「何を優先して見直すか」を決める手がかりです。画像があれば、レポートより具体的に確認できます。
脳微小出血の症状と受診の目安 — 無症状でも注意すべきこと
結論脳微小出血そのものは、症状がないまま見つかることが多い所見です。ただし、急な神経症状が続く場合は、Web予約ではなく救急相談を優先してください。
脳微小出血は、健診、脳ドック、頭痛・めまいのMRIで偶然見つかることが多く、見つかった時点で症状がない方も少なくありません。
一方で、突然の片側の麻痺やしびれ、ろれつが回らない、言葉が出ない、視野が欠ける、今までにない激しい頭痛、意識がぼんやりするなどが続く場合は、脳卒中など別の病気を考える必要があります。
詳しく読む(すぐに相談したい症状と通常受診でよい場合)
症状が続く場合は救急相談を優先
- 突然、片側の手足や顔が動かしにくい・しびれる
- ろれつが回らない、言葉が出にくい、会話がかみ合わない
- 片目または視野の一部が急に見えにくい
- 今までにない激しい頭痛、意識がぼんやりする
- 症状が改善しても、一過性脳虚血発作(TIA)の可能性がある場合は早めに相談してください。
通常の外来で相談しやすい場合
- 健診や脳ドックで偶然指摘されたが、症状はない
- 薬を続けてよいか相談したい
- 家庭血圧や生活習慣を見直したい
- 白質病変やラクナ梗塞も含めて説明を受けたい
まとめ症状が続く場合はWeb予約ではなく救急相談を優先してください。症状がなくMRI結果の相談であれば、外来や脳ドックで順番に確認できます。
脳微小出血は治る?消える? — 目標は「これ以上増やさない」こと
結論一度見えた微小出血の跡が、完全に消えることを目標にする病気ではありません。大切なのは、新しく増やしにくくすることと、脳卒中・認知症リスクにつながる要素を見直すことです。
脳微小出血は、MRIで過去の出血の跡として見えることが多く、短期間で消す治療薬があるわけではありません。
そのため、治療の中心は、血圧を整える、糖代謝や脂質を見直す、禁煙、飲酒量の見直し、睡眠の確認、必要な薬を安全に続けることです。76
詳しく読む(放置するとどうなる?)
微小出血を放置するというより、背景にある血管リスクをそのままにしておくことが問題になります。特に高血圧が続くと、微小出血だけでなく白質病変、ラクナ梗塞、脳出血のリスクとも関係します。
一方で、過度に不安になって薬をやめたり、運動を避けすぎたりすることも望ましくありません。画像所見を手がかりに、できる対策を具体的に決めることが大切です。
まとめ脳微小出血は「消す」より「増やしにくくする」ことを考えます。血圧・薬・生活を現実的に見直すことが中心です。
脳微小出血の治療と対策 — 血圧を整えることが中心です
結論もっとも大切なのは、血圧を整えることです。そのうえで、糖代謝、脂質、喫煙、飲酒、睡眠、転倒リスク、内服薬を一緒に確認します。
脳微小出血そのものを消す薬はありません。中心になるのは、背景にある血管リスクを下げることです。
特に血圧は重要です。診察室血圧だけでなく、朝・夜の家庭血圧を1週間ほど記録すると、生活の見直しや薬の調整がしやすくなります。710
詳しく読む(今日からできる3つだけ)
1. 家庭血圧を測る
- 朝と就寝前に測定し、1週間の平均を見ます。
- 家庭血圧で135/85mmHg以上が多い場合は、診察で相談してください。
- 測定値はスマホのメモや血圧手帳で十分です。
2. 薬を自己判断で止めない
- アスピリンや抗凝固薬は、脳梗塞や心筋梗塞を防ぐ目的で使われていることがあります。
- 微小出血があるからといって、必ず中止するとは限りません。
- 薬の目的、出血リスク、脳梗塞リスクを一緒に確認します。
3. 続けられる生活の見直しを決める
- 減塩は、汁物を飲み干さない、加工食品を減らすなど小さく始めます。
- 喫煙している方は禁煙が重要です。
- 飲酒量が多い方、寝酒が習慣の方は量と頻度を見直します。
- ふらつきがある方は、転倒しにくい運動から始めます。
| 対策 | 具体例 | 目的 |
|---|---|---|
| 血圧を整える | 家庭血圧を記録し、減塩・運動・薬を相談する | 深部型微小出血や脳小血管病を増やしにくくするためです。 |
| 血糖・脂質を見直す | 採血でHbA1c、LDLコレステロール、中性脂肪などを確認する | 脳梗塞や動脈硬化リスクをあわせて見るためです。 |
| 喫煙・飲酒を見直す | 禁煙、飲酒量を減らす、寝酒を避ける | 血管への負担を下げ、転倒や睡眠の問題も減らすためです。 |
| 睡眠を確認する | いびき、無呼吸、日中の眠気があれば相談する | 睡眠時無呼吸は高血圧や血管リスクと関係します。 |
まとめ最初から完璧に変える必要はありません。血圧を記録し、薬を止めず、生活の見直しを1つ決めるところから始めましょう。
脳微小出血とアスピリン・抗凝固薬 — 薬は続けてよい?
結論抗血小板薬や抗凝固薬は、自己判断で中止しないでください。中止すると、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが上がる場合があります。
アスピリン、クロピドグレルなどの抗血小板薬、ワルファリンやDOACなどの抗凝固薬は、脳梗塞、心筋梗塞、心房細動などのために処方されることがあります。
微小出血がある場合、出血リスクを考える必要はありますが、薬をやめることで脳梗塞を起こしやすくなる場合もあります。薬の目的、微小出血の場所・数、これまでの病歴をあわせて相談します。89
詳しく読む(薬ごとの考え方)
- 「微小出血があるから必ず薬をやめる」ではありません。
- 「薬を続けていれば必ず安全」でもありません。
- 薬の利益とリスクを、画像・病歴・血圧・転倒リスクとあわせて考えることが大切です。
| 薬の種類 | 主な目的 | 微小出血があるときの注意 |
|---|---|---|
| 抗血小板薬(アスピリン、クロピドグレルなど) | 脳梗塞、心筋梗塞、狭心症、ステント後などの再発予防 | 薬の目的を確認し、自己判断で中止せず主治医と相談します。 |
| 抗凝固薬(ワルファリン、DOACなど) | 心房細動、深部静脈血栓症、肺塞栓などによる血栓予防 | 微小出血の場所・数、年齢、腎機能、転倒リスクも含めて考えます。8 |
| 鎮痛薬(NSAIDsなど) | 痛みや炎症を抑える | 漫然と続けると出血や腎機能に影響することがあるため、使用頻度を確認します。 |
| サプリメント・漢方 | 目的は製品によりさまざま | 出血傾向に関係する可能性があるものもあるため、飲んでいるものを診察時に共有してください。 |
まとめ薬は、目的があって処方されています。微小出血を指摘された場合も、まずは自己判断で中止せず、画像と内服目的を一緒に確認しましょう。
セルフチェック — 次に何を優先する?
結論チェックが多いほど、画像だけでなく生活習慣や薬も一緒に確認した方が安心です。受診前に該当項目を確認しておくと、診察で何から相談するか決めやすくなります。
以下は、受診前に確認しておくと診療がスムーズになる項目です。該当するものをメモしておくと、診察で優先順位を決めやすくなります。
- 家庭血圧(朝・夜の平均)で135/85mmHg以上が多い、または高血圧で治療中
- 抗血小板薬(アスピリン等)を内服している/開始予定
- 抗凝固薬(ワルファリン/DOAC)を内服している(心房細動など)
- MRIで脳葉(lobar)優位と言われた/CAAの説明を受けた
- MRIで多発(複数)と言われた/白質高信号やラクナもあると言われた
- 糖尿病で治療中、またはHbA1cが高いと言われている
- 喫煙(電子タバコを含む)をしている
- 飲酒量が多い/寝酒が習慣になっている
- ふらつきや転びやすさがある
- いびき・無呼吸の指摘、日中の強い眠気がある
チェックが多かった方へ該当が多いほど、微小出血そのものより“背景にある血管リスク”が重なっているサインです。白質病変やラクナ梗塞の併存、隠れた不整脈、今の認知機能まで一度にまとめて確認したい場合は、認知症・脳卒中ドックが選択肢になります。一方、抗血小板薬・抗凝固薬を飲んでいる方や症状がある方は、まず外来でご相談ください(自己判断で薬を中止しないでください)。
認知症・脳卒中ドックを見る
詳しく読む(チェック項目ごとの次の一歩)
| チェック項目 | 次に考えること |
|---|---|
| 血圧が高い | 家庭血圧を朝・夜に1週間記録し、目標値と対策を相談します。 |
| 抗血小板薬を飲んでいる | 薬の目的を確認し、自己判断で中止せず相談します。 |
| 抗凝固薬を飲んでいる | 心房細動などの目的を確認し、微小出血の分布を踏まえて相談します。 |
| 脳葉優位・CAAの説明を受けた | CAAの可能性を含めて確認し、薬と血圧を見直します。 |
| 多発・白質病変・ラクナがある | 脳小血管病として、血圧・生活・薬をあわせて見ます。 |
| 糖尿病やHbA1c高値がある | 採血結果を確認し、食事・運動・薬の方針を考えます。 |
| 喫煙している | 禁煙外来など、続けやすい相談先を決めます。 |
| 飲酒量が多い | 量と頻度を見直し、寝酒がある場合は睡眠も確認します。 |
| 転びやすい | ふらつきがある場合は運動内容を調整し、転倒予防を優先します。 |
| いびき・無呼吸・眠気がある | 睡眠時無呼吸の確認を検討します。 |
まとめチェックは診断ではなく、受診時に何から相談するかを考えるための目安です。該当項目をメモして持参してください。
受診を考えている方へ
結論薬や症状について相談したい方は外来、症状がなく脳と血管をまとめて確認したい方は脳ドックが入口です。どちらの場合も、微小出血だけでなく、血圧・薬・白質病変・ラクナ梗塞・認知機能まで一緒に確認します。突然の麻痺・ろれつ障害などが続く場合は、Web予約ではなく救急相談を優先してください。
受診時は、MRIレポート、画像データ(CD-Rなど)、お薬手帳、家庭血圧の記録、健診結果があると、より具体的に相談できます。
当院では、外来でのMRI結果相談に加えて、認知症・脳卒中ドック(脳ドック)でも、3テスラMRI、採血、認知機能検査、心電図を組み合わせて、将来の脳卒中・認知症リスクを見直すきっかけを作れます。
詳しく読む(持参するとよいもの)
- MRIレポート、画像データ(CD-Rなど)
- 過去のMRI画像やレポート
- お薬手帳、サプリメントや市販薬の情報
- 家庭血圧の記録(朝・夜、1週間分が理想です)
- 健診結果、採血結果、心電図結果
- 症状がある場合は、いつから・どのような症状かのメモ
まとめ症状が続く場合はWeb予約ではなく救急相談を優先してください。薬や症状の相談は外来、これから全体をまとめて確認したい場合は脳ドックが入口です。
脳微小出血のよくある質問
Q1.「微小出血」と「脳微小出血(CMB)」は同じですか?
多くの場合、同じ意味で用いられます。MRI(T2*やSWI)で見える小さな低信号(黒点)として記載される所見です。
Q2.微小出血は“今も出血している”のですか?
多くは過去の出血の跡として見つかります。ただし臨床状況や画像所見によって判断が異なるため、気になる場合は脳神経内科で画像を確認します。
Q3.微小出血があると脳出血になりやすいですか?
研究では、微小出血の存在や数が脳出血リスクと関連する傾向が示されています。ただし「必ず脳出血になる」という意味ではなく、血圧を整えるなどでリスクを下げる余地があります。
Q4.アスピリンはやめた方がいいですか?
自己判断で中止しないでください。アスピリンは脳梗塞や心筋梗塞の予防に重要な場合があります。微小出血がある場合は、出血リスクも含めて薬の目的別に主治医と相談して判断します。
Q5.抗凝固薬(ワルファリン/DOAC)は続けてよいですか?
心房細動などの脳梗塞予防が目的の場合、薬の利益が大きいことがあります。一方で微小出血は出血リスクと関連する可能性が示されており、個別に確認が必要です。自己判断で中止せず、主治医と相談してください。
Q6.運動や仕事は制限した方がよいですか?
多くの場合、微小出血だけを理由に厳しい制限は不要です。むしろ運動は血圧や代謝に良い影響があります。ただし、ふらつきや転倒リスクがある場合は運動内容を調整してください。
Q7.どのくらいの間隔で経過観察しますか?
数、分布、併存所見、薬の状況、症状に応じて個別に決めます。画像の再検査は臨床的必要性に応じて判断します。
Q8.遠方に住んでいます。まずは何科を受診すればよいですか?
「脳神経内科(神経内科)」が第一候補です。見つからない場合は脳神経外科や総合内科からスタートし、必要に応じて紹介を受ける方法があります。MRIの画像データを持参すると確認が進みやすいです。
Q9.片頭痛の検査で偶然見つかった場合も心配ですか?
片頭痛や頭痛の検査でMRIを撮ったときに、微小出血が偶然見つかることがあります。多くは今すぐ緊急治療が必要な所見ではありませんが、数や場所、血圧、飲んでいる薬を確認しておくと安心です。いつもと違う強い頭痛、麻痺、ろれつ障害がある場合は別問題として早めに相談してください。
Q10.脳ドックと通常の外来受診、どちらがよいですか?
すでに他院のMRI結果をお持ちで、その結果をもとに薬や生活習慣を相談したい方は外来がスムーズです。一方、微小出血だけでなく脳全体の状態を最新の検査で確認したい方、将来の脳卒中や認知症のリスクをまとめて知りたい方には認知症・脳卒中ドック(脳ドック)も選択肢になります。
Q11.「マイクロブリーズ」と書かれていました。脳微小出血のことですか?
MRIレポートや説明で英語の microbleeds に由来する表現として使われることがあります。日本語では、脳微小出血、微小脳出血、微小出血などと表現されることが多く、T2*やSWIで黒い点として見える所見を指すことがあります。正確には画像所見とレポートの文脈で確認します。
参考文献
参考文献を表示
-
1
Wardlaw JM, et al. Neuroimaging standards for research into small vessel disease (STRIVE). Lancet Neurol. 2013;12(8):822-838.
-
2
Greenberg SM, et al. Cerebral microbleeds: a guide to detection and interpretation. Lancet Neurol. 2009.
-
3
Debette S, et al. Clinical Significance of Magnetic Resonance Imaging Markers of Vascular Brain Injury. JAMA Neurol. 2019.
-
4
Duering M, et al. Neuroimaging standards for research into small vessel disease - advances since 2013. Lancet Neurol. 2023;22(7):602-618.
-
5
Charidimou A, et al. The Boston criteria version 2.0 for cerebral amyloid angiopathy. Lancet Neurol. 2022.
-
6
Smith EE, et al. Prevention of Stroke in Patients With Silent Cerebrovascular Disease. Stroke. 2017.
-
7
SPRINT Research Group. A randomized trial of intensive versus standard blood-pressure control. N Engl J Med. 2015;373:2103-2116.
-
8
Wilson D, et al. CROMIS-2: cerebral microbleeds and intracranial haemorrhage risk in patients anticoagulated for atrial fibrillation after stroke/TIA. Lancet Neurol. 2018.
-
9
Al-Shahi Salman R, et al. RESTART trial: effects of antiplatelet therapy after intracerebral haemorrhage. Lancet. 2019.
-
10
Nasrallah IM, et al. Intensive vs Standard Blood Pressure Control and White Matter Lesion Progression (SPRINT-MIND MRI). JAMA. 2019.
-
11
Greenberg SM, et al. 2022 Guideline for the Management of Patients With Spontaneous Intracerebral Hemorrhage. Stroke. 2022.