【専門医監修】片頭痛(偏頭痛)とは?症状・原因・治療・対処・予防と受診の目安を解説

60秒でわかる片頭痛

  • 片頭痛(偏頭痛)は、ズキズキする頭痛をくり返す病気です。吐き気や光・音のつらさを伴うことがあり、片側に出やすいものの両側のこともあります。
  • 原因は1つではありません。親から受けつぐ体質に、睡眠不足・ストレス・ホルモンの変化・天気の変わり目などが重なると発作が起こりやすくなります。
  • 診断は問診(お話を聞くこと)が中心です。MRIやCTは必ずしも必要ではなく、危険な病気を疑うときに行います。
  • 治し方は「痛いときの対処」と「予防」の2本柱です。痛みが来たら早めに鎮痛薬やトリプタンを使い、発作が多い方には毎日の飲み薬や月1回の注射で回数を減らす治療もあります。
  • 今つらい方へ。暗い静かな場所で休み、早めにいつもの薬を使ってください。突然の今までで最悪の頭痛、手足の麻痺、発熱+首のこわばりがあれば、すぐ受診してください。
  • 受診は脳神経内科・頭痛外来へ。当院では国際基準にもとづく診療を行っています。

片頭痛(偏頭痛)の主な症状を先に見る

  • ズキズキ脈打つように痛むことが多い
  • 吐き気や嘔吐を伴うことがある
  • 光や音がつらくなることがある
  • 体を動かすと悪化することがある
  • 片側に出やすいものの、両側のこともある

「偏頭痛」と呼ばれることもありますが、多くは現在の「片頭痛」と同じ意味で使われます。

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「何度もくり返す頭痛をどうにかしたい」「市販薬が手放せなくなっている」「吐き気や光のつらさまであって、普通の頭痛と違う気がする」――そう感じて片頭痛(偏頭痛)を調べている方へ、このページが役立ちます。

片頭痛は、ズキズキ脈打つ頭痛をくり返し、吐き気や光・音のつらさを伴う脳の神経の病気です。日本では成人の約12人に1人にみられ、決して珍しくありません。「偏頭痛」と呼ばれることもありますが、多くは「片頭痛」と同じ意味で使われています。

我慢する病気ではありません。痛いときの対処に加え、原因物質CGRPを標的にした注射薬や飲み薬で発作の回数を減らす予防治療も選べる時代です。症状・原因・治し方・予防・受診の目安まで、脳神経内科専門医が解説します。

片頭痛とは

片頭痛でみられうる4つのフェーズ:予兆期・前兆期・頭痛期・回復期 予兆期 あくび・空腹感 前兆期 閃輝暗点など 頭痛期 4〜72時間 回復期 倦怠感・安堵 片頭痛でみられうる4つのフェーズ

※すべての人にすべてのフェーズが現れるわけではありません。

結論片頭痛は、ズキズキする頭痛をくり返し、吐き気や光・音がつらくなる「脳の神経の病気」です。我慢せず治療でコントロールできます。

  • 「拍動する痛み」+「動くと悪化」+「吐き気・光/音過敏」が手がかりになります。
  • 一部の方は頭痛前に前兆(オーラ)(ギザギザした光など)を経験します。
  • 「偏頭痛」という表記もありますが、多くは片頭痛と同じ意味で使われ、痛みは片側に限りません。
  • 突然の最強頭痛や麻痺・発熱などがあれば、片頭痛以外の緊急疾患を疑って評価します。
詳しく読む(症状・前兆・受診サイン)

片頭痛は、ズキズキする頭痛をくり返し、吐き気や光・音のつらさを伴う神経の病気です。検査で異常が見つからないことも多く、診断は症状の聞き取りが中心です[1]。日本では成人の約12人に1人にみられ、女性に多いことが知られています[38][39]

「偏頭痛」という言い方もよく使われますが、多くの場合は「片頭痛」と同じ意味です。痛みは片側だけとは限らず、両側に出ることもあります。

片頭痛では、脳の痛みセンサーが敏感になり、CGRP(シージーアールピー)という痛みを強める信号物質が増えることがわかっています。このしくみを抑える注射薬や飲み薬が使えるようになり、治療の選択肢が広がっています[6][9][3][10][4][11][5]

  • 主な症状:拍動性の頭痛、動くと悪化、吐き気・嘔吐、光/音/においがつらい など。
  • 前兆:一部の人では、ギザギザした光(閃輝暗点)などの前兆が頭痛の前に出ます(多くは60分以内に消えます)[1]
  • すぐ受診:突然の最強頭痛、麻痺・言葉が出にくい、発熱・首のこわばり、頭を強く打った、50歳以降の新しい頭痛は緊急評価が必要です[2]
まとめ:片頭痛は問診で診断することが多い頭痛です。CGRPをねらう新しい治療の登場で、以前よりコントロールしやすくなりました。

片頭痛の原因

結論偏頭痛の原因を調べている方がまず知っておきたいのは、原因が1つではないことです。片頭痛は「なりやすい体質(遺伝)」と「引き金(睡眠不足・ストレス・ホルモン変化・天候など)」が重なって起こると考えられています。

  • 偏頭痛の原因は1つではなく、体質と引き金が重なって発作が起こりやすくなります。
  • 睡眠不足、ストレス、月経前後、天気の変化、空腹、飲酒などが誘因になることがあります。
  • 引き金は人によって違うため、頭痛日記で自分のパターンを知ると対策しやすくなります。
詳しく読む(CGRP・遺伝・誘因)

片頭痛の原因は1つではありません。偏頭痛の原因としてよく気にされるのは「寝不足」「ストレス」「生理」「天気」ですが、これらは多くの場合、原因そのものというより発作の引き金です。なりやすい体質と、睡眠不足、ストレス、生理前後、天気の変化などの引き金が重なると、脳が刺激に敏感になって発作が起こると考えられています[12][6]。前兆がある方では、脳の表面にゆっくり広がる変化が関係すると考えられています[9]

よくある引き金

  • 睡眠不足、寝すぎ、生活リズムの乱れ
  • ストレスが続いたあとに気が抜けたとき
  • 月経前後などのホルモン変化
  • 空腹、脱水、アルコール
  • まぶしい光、強いにおい、大きな音
  • 気圧や天気の変化
  • CGRPが注目される理由:片頭痛の発作中にCGRPという物質が増えること、そしてCGRPをブロックする薬で片頭痛がよくなることがわかったためです。 注射薬(抗CGRP抗体)だけでなく、飲み薬(ゲパント)でも効果が確認されており、国内でも処方できるようになっています[3][10][4][11][5][41]
  • 遺伝:家族内に多く、40〜60%程度の遺伝の影響が推定されています[13]
  • 「誘因」は引き金:睡眠・ストレス・におい・強い光・天候などは引き金で、原因そのものではありません。生活リズムを整えると予防に役立ちます[14][15]
まとめ:片頭痛は体質×環境の重なりで起こります。CGRPを標的にした治療の成功が、この考えを後押ししています。

あなたの頭痛は片頭痛?

結論片頭痛は珍しい病気ではなく、仕事や家事を止めるほどつらいことがあります。自分の頭痛パターンを知り、薬と生活の整えを組み合わせるとコントロールしやすくなります。

  • 日本では成人の約12人に1人とされ、女性に多く、20〜40代で目立ちます。
  • 睡眠不足・ホルモン変化・光/音/におい・天候などで誘発されることがあります。
  • 自己管理(生活)と薬物療法をセットで整えると安定しやすいです。

あなたの頭痛は片頭痛? かんたんチェック

  • □ 頭痛はズキズキ脈打つように痛む
  • □ 動いたり階段を上ると痛みが強くなる
  • □ 頭痛のとき吐き気がある、または吐いてしまう
  • □ 頭痛のとき光がまぶしい、音がうるさく感じる
  • □ 頭痛は4時間〜3日くらい続く
  • □ 同じような頭痛が何度もくり返す

いくつか当てはまる方は、片頭痛の可能性があります。ただし自己判断だけでは区別が難しいため、同じような頭痛をくり返す方や、市販薬を月に何度も使っている方は、脳神経内科や頭痛外来で相談しましょう。

詳しく読む(頻度・誘因・生活との両立)

片頭痛はとても身近です。世界では10人に1〜2人とされ、学校や仕事に影響します[7][8]。 日本でも成人の約8.4%が片頭痛と報告されています[38][39]。発作には波があり、睡眠不足やホルモン変化、強い光/音・におい、天候で誘発されることがあります。自己管理+薬物療法で、学校や仕事を続けながらコントロールできます。

まとめ:片頭痛は頻度の高い頭痛。誘因の把握と急性期薬・予防薬の両輪で、日常生活と両立できます。

片頭痛に伴う吐き気への対処

結論吐き気は片頭痛の一部です。食事や水分がとれなくなる前に、早めの急性期薬+必要なら制吐薬や経口以外の方法を組み合わせます。

  • 吐き気は片頭痛の症状の一つで、脳の吐き気を司る部分が刺激されることが関係すると考えられています。
  • 吐いたときは水や経口補水液を少量ずつ、食べられそうならゼリーやクラッカーなど消化のよいものから試します。
  • 水分がとれない、吐き気が強すぎて薬が使えない、いつもと違う頭痛を感じるときは早めに相談してください。
詳しく読む(軽い/強い吐き気の対処)

片頭痛で吐き気が出るのは、脳の吐き気スイッチ(延髄の最後野など)が刺激され、ドパミン・セロトニン・CGRPなどのバランスが崩れるためと考えられています[12]。食事や水分がとれなくなる前に、早めの対応が大切です。

吐いてしまったときは、まず水や経口補水液を少量ずつとり、食べられそうなら冷たいゼリー、クラッカー、おかゆなど胃に負担の少ないものから試します。水分もとれない、半日以上ほとんど食べられない、ぐったりするほどつらいときは、点滴や注射薬が必要になることもあるため受診を検討してください。

場面 対処のポイント
吐き気が軽い 痛みが強くなる前に早めに薬を飲みます(鎮痛薬やトリプタンなど)。
「吐き気がいちばんつらい」という方でも、頭痛の薬で吐き気も一緒に楽になることが多いです。
吐き気が強い・吐いてしまう 飲み薬が難しいときは、口の中で溶ける錠剤(OD錠)、点鼻薬、注射などを使います。
吐き気止め(制吐薬)を併用すると、痛みと吐き気の両方が楽になりやすくなります。
嘔吐が続く場合は無理せず医療機関に相談してください。

注意:妊娠・授乳中や心臓・血管の病気がある方は選べる薬が変わります。市販薬をくり返し使い続けず、薬剤乱用頭痛(市販鎮痛薬は月15日超、トリプタン等は月10日超)にご注意ください[2]

まとめ:吐き気も片頭痛の一部です。早めの急性期薬+必要なら制吐薬や経口以外でコントロールしましょう。

片頭痛でも早めに相談したいサイン

  • 初めて経験する強い頭痛が出た
  • いつもの片頭痛と違う感じがする
  • 頭痛や吐き気が長引いている
  • 吐き気が強く、水分や食事がとれない
  • 仕事や家事に支障が大きく、不安が強い

片頭痛かどうか自己判断が難しいときも、脳神経内科や頭痛外来で早めに相談すると整理しやすくなります。

片頭痛の診断

結論片頭痛の診断は画像よりも問診が主役です。神経診察で危険なサインを確認し、必要に応じて採血検査を行い、鑑別や薬剤選択に役立てます。

  • 痛みの性質・時間・頻度・随伴症状(吐き気、光/音過敏)・前兆の有無を評価します。
  • 突然の最強頭痛、麻痺、発熱などがあれば緊急評価を優先します。
  • 頭痛日記は慢性片頭痛や薬剤乱用頭痛の評価に役立ちます。
詳しく読む(診断の流れ・ICHD‑3の目安)

片頭痛の診断は、画像よりもお話を聞くこと(問診)が主役です。次のような流れで判断します。

受診時に医師が確認すること

  • 症状の聞き取り:痛みの感じ方(ズキズキ? 締めつけ?)、強さ、続く時間、頻度、吐き気や光・音のつらさ、頭痛の前にギザギザした光が見えるかどうか、など。
  • 神経の診察:手足の動き、感覚、ことばの出方、目の動きなどを確認します。
  • 危険なサインの確認:突然の最強頭痛、麻痺、発熱・首のこわばりなどがあれば、すぐに緊急の検査に進みます[2]
  • 持病や飲んでいる薬の確認:心臓の病気、妊娠の可能性、他の薬との飲み合わせなどを確認し、安全に使える治療薬を選びます。
  • 画像検査は必要なときだけ:典型的な片頭痛ならMRIやCTは必須ではありません。危険な病気が疑われるときに行います[2]
ポイント:片頭痛は、ICHD-3(国際頭痛分類第3版)という世界共通の基準に沿って診断します[1]。「前兆がある/ない」や「慢性片頭痛」といったタイプ分けも、この基準で判断します。

受診前に準備しておくと役立つこと

  • 頭痛がある日は月に何日くらいか
  • 痛みが始まってから治まるまでの時間
  • 市販薬や処方薬を使った日数(月に何日くらい)
  • 頭痛の前後に気づいたこと(睡眠不足、天気、生理前後など)

これらをメモや「頭痛ダイアリー」にまとめておくと、診察がスムーズになります。

前兆がある片頭痛とは

頭痛の前に、ギザギザした光が見える、見えにくい場所ができる、しびれが広がる、言葉が出にくいなどの症状が5〜60分ほど続き、その後に頭痛が始まるタイプです。初めてのときは、脳卒中など別の病気と区別するために受診をおすすめします。

前兆のない片頭痛の目安

ズキズキする痛みが4〜72時間ほど続き、動くと悪化し、吐き気や光・音のつらさを伴うタイプです。同じような頭痛をくり返す場合は、前兆がなくても片頭痛のことがあります[1]

こんなときは慢性片頭痛かも

頭痛が月15日以上あり、それが3か月以上続いている場合は「慢性片頭痛」の可能性があります。市販薬の使いすぎで頭痛が増える「薬剤乱用頭痛」が重なっていることもあるため、早めに相談しましょう[1][2]

片頭痛・偏頭痛の治し方(痛いときの対処)

軽〜中等症アセトアミノフェン / NSAIDs不十分 / 中等〜重症トリプタン不適 / 無効 / 不耐ラスミジタンゲパント※吐き気が強い時は制吐薬や非経口製剤も選択します

結論片頭痛・偏頭痛の治し方として大切なのは、痛みが強くなる前に早めに対処することです。軽い発作は鎮痛薬、つらい発作はトリプタン、トリプタンが合わない方には血管を収縮させない新しい薬も選べます。

  • 治し方の基本は「早めに休む」+「早めに薬を使う」です。
  • 吐き気が強いときは制吐薬や経口以外(点鼻・皮下注など)も選択肢です(ODT製剤も有用な場合があります)。→ 吐き気への対処を詳しく見る
  • 頻度が多い方は、その場しのぎではなく予防治療も含めて相談するのが近道です。
詳しく読む(薬の使い分け・注意点)

片頭痛の治し方は1つではありませんが、コツは「痛みが強くなる前に早めに使う」ことです。薬は大きく4タイプあり、頭痛の強さ・持病・吐き気の有無・生活スタイルに合わせて医師と選びます[2][21][3][5][22]

※薬剤乱用頭痛(MOH):市販鎮痛薬は月15日超、トリプタン等は月10日超の使用が3か月を超えて続く場合に疑います。ゲパント等の新規薬剤についても、まずは使用日数の把握と相談をおすすめします[1][2]

薬のタイプ どんな薬? 知っておきたいこと
鎮痛薬
ロキソプロフェン、イブプロフェン、アセトアミノフェンなど
軽い発作のときにまず使います。市販薬としても手に入ります。 使いすぎ(月15日超が3か月以上)に注意。胃の負担がある薬もあります。
トリプタン
スマトリプタン、リザトリプタンなど(処方薬)
片頭痛に特化した薬です。鎮痛薬で足りないとき、または中等度〜重度の発作に使います。飲み薬・点鼻薬・注射と形が選べます。 心臓や脳の血管に病気がある方は使えないことがあります。使いすぎ(月10日超が3か月以上)に注意[2]
ラスミジタン
(レイボー®・処方薬)
血管を収縮させない新しいタイプの薬。トリプタンが合わない方や、血管を収縮させる薬を使いにくい方でも検討しやすい薬です。 眠気・めまいが出ることがあり、飲んでから8時間は運転できません[22]
ゲパント(リメゲパント)
(ナルティーク®・処方薬)
片頭痛の原因物質CGRPをブロックする飲み薬です。血管を収縮させず、口の中で溶ける錠剤なので吐き気があるときにも使いやすいことがあります。 他の薬との飲み合わせの確認が必要です。発作のときにも予防にも使える薬です[3][5]
まとめ:急性期は早めに、重症度と背景に合わせて選びます。使いすぎを避け、トリプタン不適ならラスミジタンやリメゲパントなど非血管収縮薬を選びます。

片頭痛を減らす治療・予防

結論片頭痛の治し方は、痛いときの対処だけではありません。発作をくり返す方では、頭痛の日数を減らして日常生活を楽にする予防治療が重要です。毎日の飲み薬、月1回の注射、新しい飲み薬から、体質や生活に合う方法を選びます。

  • 「頻度が多い」「生活に支障が大きい」場合は、治し方として予防治療の比重が高くなります。
  • 合う薬は人によって違うため、少量から調整して続けやすさを重視します。
  • 抗CGRP抗体やリメゲパント、アトゲパントなどの経口ゲパントは、従来の内服予防薬と並ぶ有力な予防選択肢です。
詳しく読む(内服の選択肢・使い分け)

予防治療の目標は、毎月の頭痛の日数を減らし、生活への影響を軽くすることです。 日本頭痛学会は、抗CGRP抗体を、国内で使える他の予防薬(経口ゲパントを含む)と並ぶ第一選択肢のひとつとして位置づけています[37]。 合う薬は人によって違うため、効果・副作用・通いやすさを見ながら医師と相談して選びます。

予防薬のタイプ どんな治療? こんな方に向いています
毎日飲む薬
ロメリジン、プロプラノロール、アミトリプチリンなど
もともと別の病気に使われていた薬が、片頭痛予防にも効くことがわかったものです。体質や持病に合わせて選び、少量から始めます。 まず予防を始めたい方。注射が苦手な方。高血圧や不眠がある方には一石二鳥の薬もあります。
月1回の注射
抗CGRP抗体(アジョビ®、エムガルティ®、アイモビーグ®)
片頭痛の原因物質CGRPをブロックする注射薬です。月1回(一部は3か月に1回)で、頭痛の日数が平均3〜5日/月ほど減るデータがあります。 飲み薬で効果が足りない方。毎日薬を飲むのが難しい方。飲み忘れが気になる方。
新しい飲み薬(ゲパント)
リメゲパント(ナルティーク®)、アトゲパント(アクイプタ®)
CGRPをブロックする飲み薬タイプの予防薬です。リメゲパントは隔日服用で予防にも使え、アトゲパントは1日1回の予防専用薬です。 注射を避けたい方。飲み薬で予防したい方。リメゲパントは発作のときと予防の両方に使えます[4][5][41]

※比較の注意:ここに載せた効果の目安は、試験や対象・期間が違う研究の代表値です。横並び比較はできません。

まとめ:予防のゴールは「頭痛日を減らす」こと。従来の飲み薬に加え、抗CGRP抗体やゲパントも有力な選択肢です。

抗CGRP抗体(注射)— 効果と特徴

結論抗CGRP抗体は、片頭痛の原因物質CGRPをブロックする注射薬です。月1回(または3か月に1回)の治療で、頭痛の日数を減らすことが期待できます。

院長からのメッセージ

「抗CGRP抗体の登場で、従来の予防薬では十分な効果が得られなかった方にも新しい選択肢が広がりました。月に1回の注射で頭痛日数が平均3〜5日減少するというデータは、臨床でも実感しています。」

― 院長・神経内科専門医 大﨑 雅央

  • 月1回(または3か月毎)など、続けやすいスケジュールが特徴です。
  • 主要RCTで頭痛日が減る効果が示され、長期安全性のデータも蓄積しています。
  • 便秘・血圧など安全面を確認しながら、適応を判断します。
詳しく読む(作用機序・代表データ・費用の目安)

片頭痛の原因物質CGRPをブロックする注射薬です。毎日薬を飲みにくい方や、飲み薬だけでは十分に改善しない方で検討します。月1回タイプと、3か月に1回まとめて打つタイプがあります[37][26][29][30]

抗CGRP抗体のしくみ(かんたん図解) 抗CGRP抗体のしくみ ①原因物質が出る 脳の神経からCGRPが 大量に放出される ②注射薬がブロック 抗CGRP抗体が CGRPをつかまえる ③頭痛が減る 痛みの信号が弱まり 発作の回数が減少 月1回(または3か月に1回)の皮下注射で治療します
薬剤名 使い方 どのくらい効く?(目安) 知っておきたいこと
フレマネズマブ
(アジョビ®)
月1回225mg、または3か月に1回675mgの皮下注射 頭痛の日数が平均で月4日前後減るデータがあります[26][27][28] 注射した場所の赤みや痛みが出ることがあります。
ガルカネズマブ
(エムガルティ®)
初回240mg、以後120mgを毎月皮下注射 頭痛の日数が平均で月4〜5日ほど減るデータがあります[29] 注射した場所の反応が主で、使い続けやすいとされています。
エレヌマブ
(アイモビーグ®)
通常70mgを4週間に1回皮下注射 頭痛の日数が平均で月3〜4日ほど減るデータがあります[30] 便秘や血圧上昇に注意が必要です[31][32]

費用は薬剤、初回/維持投与、保険負担割合、注射・管理料などで変動します。最新の目安は受診時にご案内します。付加給付や高額療養費で自己負担が下がる場合があります。

まとめ:抗CGRP抗体は、成人片頭痛予防の有力な選択肢です。便秘・血圧など安全面を確認しながら使います。

片頭痛を減らす生活のコツ(睡眠・運動・カフェイン・脂質との関係)

結論生活を整えることが重要です。特に睡眠運動を整えるだけでも、発作が安定する方がいます。

  • 就寝/起床時刻をそろえ、睡眠の質を上げることが重要です。
  • 週3回・20〜45分の有酸素運動は、発作日減少の報告があります。
  • カフェインのとり方を見直し、必要に応じて脂質異常症など全身の健康管理も行います。
詳しく読む(睡眠・運動・カフェイン・脂質)
  • 睡眠:就寝/起床時刻をそろえる。片頭痛の人は睡眠の質が低い傾向があり、整えると良くなりやすい[14]
  • 有酸素運動:ウォーキングや自転車を週3回・20〜45分。発作日が減ることが示されています[15]
  • カフェインはほどほど:同じ日に飲みすぎると誘発のきっかけになります(個人差あり)。
  • 脂質異常症がある場合は、全身の血管リスク管理として治療が重要です。
まとめ:生活の整えだけでも発作の頻度と強さは下げられます。睡眠・運動・カフェインの見直しを土台に、必要に応じて全身の健康管理と薬物療法を組み合わせましょう。

遺伝と将来の脳の健康

結論片頭痛には遺伝的な素因があります。だからこそ、将来の脳の健康のために血圧・脂質・血糖・禁煙・運動・睡眠の管理が大切です。

院長からのメッセージ

「片頭痛があるからといって必ず認知症になるわけではありません。血圧・脂質・血糖の管理や適度な運動といった生活習慣の最適化で、将来のリスクは十分に下げることができます。」

― 院長・神経内科専門医 大﨑 雅央

  • 片頭痛は家族に多く、遺伝の影響は40〜60%程度と推定されています。
  • 観察研究では認知症リスクとの関連が示唆されていますが、因果関係はまだ確立していません。
  • リスクは生活習慣の改善(修正可能なリスク因子)で下げられる可能性があり、片頭痛治療と両立が重要です。
詳しく読む(遺伝・関連遺伝子・将来のリスク)

遺伝:片頭痛は家族に多く、40〜60%ほど遺伝の影響があります。大規模な遺伝子研究で、片頭痛に関わる遺伝子が100以上見つかっています。まれに1つの遺伝子の変化だけで起こるタイプもあります[13]

将来の脳の健康:観察研究では、片頭痛と認知症リスクの関連が示唆されていますが、研究によって結果にばらつきがあり、「片頭痛があると必ず認知症になる」というわけではありません[34]。一方で、血圧・脂質・血糖・禁煙・運動・睡眠の管理は認知症予防に役立つことが知られており、脂質管理とリスク低下の関連も報告されています[35][36]。片頭痛がある方こそ、頭痛を我慢せず整えることと、生活習慣を一緒に整えることが大切です。

まとめ:片頭痛には遺伝的な素因があります。だからこそ、血圧・脂質・血糖・禁煙・運動・睡眠の徹底が将来の脳の健康につながります。

受診を考えている方へ

こんな方は受診をご検討ください。同じような頭痛をくり返す、市販薬を月に何度も使っている、仕事や家事が止まる、吐き気や光がつらい、予防治療を相談したい――そんなときは脳神経内科・頭痛外来が役立ちます。 吉祥寺おおさき内科・脳神経内科では、頭痛の経過、使っている薬、持病や妊娠の可能性も含めて確認し、発作時の薬と予防治療を一緒に整理します。

よくある質問(FAQ)

Q1.偏頭痛と片頭痛は同じですか?

A:多くの場合は同じ意味です。現在は「片頭痛」と表記されることが多いものの、日常会話では「偏頭痛」と呼ばれることもよくあります。なお、痛みは片側に限らず両側に出ることもあります。

Q2.偏頭痛の症状にはどのようなものがありますか?

A:ズキズキする痛み、動くと悪化する感じ、吐き気や嘔吐、光や音がつらいといった症状が代表的です。片側に出やすいものの、両側のこともあります。4〜72時間ほど続くことが多く、同じような発作をくり返します。

Q3.偏頭痛の原因は何ですか?

A:原因は1つではありません。片頭痛になりやすい体質に、睡眠不足、ストレス、月経前後、天気の変化、空腹、飲酒などの引き金が重なると発作が起こりやすくなると考えられています。引き金には個人差があります。

Q4.偏頭痛はどうやって治しますか?

A:治し方は「痛いときの対処」と「くり返さないための予防」の2本柱です。発作時はできるだけ早めに鎮痛薬やトリプタンなどを使い、発作が多い方や生活への支障が大きい方では、毎日の飲み薬や注射などの予防治療を検討します。

Q5.偏頭痛で吐き気があるのはなぜですか?

A:片頭痛では、痛みだけでなく脳の吐き気を司る部分も刺激されるため、吐き気や嘔吐を伴うことがあります。水分がとれなくなる前に早めに対処し、薬が飲めないほど強いときは受診を検討してください。

Q6.偏頭痛のとき病院に行くべきですか?

A:初めての強い頭痛、いつもと違う頭痛、長引く頭痛、吐き気が強くて水分や食事がとれない場合は受診を検討してください。突然の激痛、麻痺、ろれつが回らない、発熱・首のこわばりを伴うときは救急受診が必要です。

Q7.偏頭痛は検査が必要ですか?

A:典型的な片頭痛では、MRIやCTが必ず必要というわけではありません。症状の経過や神経診察をもとに判断し、危険な病気が疑われるときに画像検査を行います。

Q8.薬を飲みすぎると頭痛になりますか?(薬剤乱用頭痛:MOH)

A:はい。市販鎮痛薬は月15日超、トリプタンなどは月10日超の使用が3か月を超えて続くと、薬剤乱用頭痛(MOH)を疑います。使用日数を把握し、必要に応じて予防治療を組み合わせることが大切です。

Q9.片頭痛は何科を受診すればいいですか?

A:脳神経内科や頭痛外来、かかりつけ医で相談できます。診断が難しい場合や、症状が頻回・複雑な場合は頭痛診療に慣れた医師への相談が有用です。回数だけでなく、生活への支障や急性期薬の使用頻度も踏まえて判断します。

大﨑 雅央 院長の写真

この記事の監修者

院長 大﨑 雅央(Masao Osaki)

吉祥寺おおさき内科・脳神経内科
日本神経学会 神経内科専門医
日本内科学会 総合内科専門医

参考文献

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