閃輝暗点(視界がギザギザ・キラキラ)について―原因・危険サイン・治療と最新エビデンス

閃輝暗点(せんきあんてん)は、視界にギザギザ・キラキラがゆっくり広がる片頭痛の視覚の前兆です。
多くは5〜60分で自然におさまり、完全に回復します[5]

発作時は安全確保(運転・高所作業を避ける)+頭痛の早期内服が基本です。

再発が多い場合は、生活調整とともに予防薬の適応を個別に検討します[3]

なお、前兆を伴う片頭痛ではエストロゲン含有の経口低用量ピル(CHC)原則避けます[4]

生活・食事との関連強い光や点滅就寝前の画面や睡眠不足カフェインの急な増減空腹や脱水が“きっかけ”になることがあります。
明るさは控えめに就寝前は画面オフカフェインは量と時間を一定にこまめな水分・規則正しい食事を心がけましょう[12][14][17][21]

「自分の症状が当てはまるか不安」「まずは相談したい」という方は、吉祥寺駅徒歩1分吉祥寺おおさき内科・脳神経内科へご受診ください。

詳しく見る

症状の例:視野の端からキラキラ/ジグザグがじわじわ広がり、続いて見えにくい帯(暗点)が現れ、通常60分以内に完全回復します[5]

危険サイン(当日中の受診を検討)
初発50歳以降の新規/いつもと違う経過
片眼だけの暗転や視力低下(灰色のカーテン感など)
突然はっきりと視野が欠ける(じわじわではない)
60分以上続く
手足の麻痺・しびれ・ろれつ困難などの神経症状を伴う[1][2][5]

しくみ:視覚野で起こる電気活動の波(皮質拡延性抑制=CSD)が有力です[6]
当院:問診・神経診察のうえ、必要に応じてMRI/頸動脈/眼科と連携し安全に評価。急性期治療と予防的アプローチを、ライフスタイル調整とあわせて個別化してご提案します[7]

目次

閃輝暗点とは

閃輝暗点は、片頭痛典型的な前兆の一つで、ギザギザやキラキラ(陽性症状)がゆっくり広がり、続いて視野の一部が見えにくくなる(暗点)現象です。多くは5〜60分で完全に回復し、その後1時間以内に頭痛が出ることがよくあります。

「5分以上かけて広がる」「5〜60分でおさまる」「完全に元に戻る」「キラキラなどの陽性症状を含む」などが手がかりです[5]

まとめると:「目がチカチカ・キラキラする」現象は、片頭痛の前兆であることが多く、通常は短時間でおさまります。

片頭痛について詳しくはこちら

危険な閃輝暗点は?(受診の目安)

典型的な前兆は良性ですが、突然一気に視界が欠ける/片目だけが暗い麻痺・ろれつ困難などを伴う場合は、脳や眼の緊急疾患を区別する必要があります[1][2]

閃輝暗点の鑑別

閃輝暗点の鑑別と受診の目安(色分け:赤=緊急度高/黄=中等度/青=低)
カテゴリー 典型的な見え方・特徴 受診の目安・根拠
一過性脳虚血発作(TIA)/脳梗塞(後頭葉など) 突然はっきりと視野が欠ける(陰性症状)。進行は「じわじわ」ではなく瞬間的
しびれ・脱力・構音障害などを伴うことあり。
今すぐ救急。短時間のTIAでも脳梗塞の前触れで、数日〜3か月の再発リスクが高いとされます[1]
一過性黒内障(片眼の一時的な視力低下) 片眼だけが急に暗くなる/灰色のカーテン。
光のキラキラより視力低下が主
当日中に緊急評価(眼科・脳神経内科)。血管性のことがあり、脳・眼の虚血と関連します[2]
網膜剥離・網膜裂孔/後部硝子体剥離 片側の光視症(ピカッ)飛蚊症が急増、視野のカーテン感。 早期の眼科。放置で視力低下のリスクが高まります[8][9]
急性閉塞隅角緑内障 激しい眼痛・頭痛、吐き気、光の周りに虹のような輪が見える、充血。 至急受診(眼科)。眼圧上昇による眼科救急です[10]
後頭葉てんかん 数秒〜数分のものが異常に光って見える、視野が狭くなる。 速やかに脳神経内科で評価。片頭痛前兆と紛らわしいため鑑別が必要[11]
片頭痛の典型的前兆(閃輝暗点) 5分以上かけて広がるキラキラ/ジグザグ、5〜60分で自然回復。
多くは両眼で同様の見え方。
多くは外来で評価。ただし50歳以降の初発や経過の変化は受診を推奨[5][11]
色分け:赤=緊急度高黄=中等度青=低
まとめると:突然一気に見えなくなる/片眼だけ真っ暗/神経症状を伴う——この場合は至急受診が安全です。

閃輝暗点の原因:スマホやコーヒーなどの生活習慣・食生活との関連

閃輝暗点の原因:
閃輝暗点は、目の中の故障ではなく、主に脳の視覚をつかさどる場所(後頭葉)で起きる現象です。ここで電気の波がゆっくり広がる皮質拡延性抑制=CSD)と、キラキラ → 視界の一部が暗く見えるという順番で感じます[6]

一言で:「脳の見える仕組みの一時的な乱れ」がベース。その上に、日常のスマホやコーヒーなどの習慣“きっかけ”として重なることがあります。


スマホ(画面の明るさ・使い方)

  • 強い光や点滅はきっかけになりやすい:とくに高コントラストの模様や縞チカチカ点滅は誘因として報告があります[12][13]
  • 寝る前のスマホは要注意:スマホやタブレットの光は眠気のホルモン(メラトニン)を抑えて寝つきを悪くします[14]睡眠が短い/途中で何度も起きる/いつもと時間がズレると、翌日の発作が起きやすくなることが示されています[15][16]

よくある場面 なぜ起こりやすい?(要点) 今日からできる対策
明るすぎる/点滅の多い画面 縞・強いコントラスト・点滅は視覚を刺激しやすい[12][13] 画面の輝度/コントラストを下げる、点滅映像を避ける、屋外はサングラス
就寝前のスマホ メラトニン↓→入眠遅延→睡眠の乱れ→翌日の発作↑[14][15][16] 寝る1〜2時間前は画面オフ、通知減らす、寝室は暗め/同じ就寝時刻

ブルーライトカットだけでは不十分なことも。明るさ・時間帯・睡眠の一貫性をセットで整えるのがコツです。


コーヒー(カフェイン)

  • 飲みすぎはきっかけに:普段より量が多い日は、発作が起きやすくなる可能性があります[17]
  • いきなりゼロも要注意:カフェインを急に断つと、むしろ片頭痛を誘発した研究があります[18]

状況 なぜ起こりやすい?(要点) 今日からできる対策
その日の高用量 一気に量が増えると誘因に[17] 量と時間を一定に。夕方以降は控えめ
急な「断カフェイン」 突然ゼロで禁断性の頭痛/片頭痛が出やすい[18] やめる場合は数日〜1週間かけて段階的に減らす

そのほかの生活・食事のポイント

  • 空腹や断食、脱水:食事の間隔が長い/水分不足が重なると悪化しやすい報告があります[19][20][21]
  • アルコール:人によりけり。大規模な前向き研究では24時間以内の増加は明確でない結果もあります[22]
  • 激しすぎる運動:一部の人では誘因。強度や環境(暑さ/低酸素)で調整を[23]
  • 食事パターン魚(n‑3脂肪酸)を増やすなどで、頭痛日が減った試験があります(薬の代わりではなく補助)[24]
まとめ:同じ生活リズム・同じ量を意識し、寝る前の画面は控えめカフェインは増やしすぎず急にゼロにしない。自分の誘因はメモで見える化すると対策しやすくなります。

閃輝暗点は放置しても大丈夫?

多くは自然におさまりますが、初発これまでと違う持続が長い(>60分)神経症状を伴うときは必ずご相談ください。
前兆を伴う片頭痛は虚血性脳卒中リスクがわずかに高いとする報告があり(相対リスクはおよそ1.5〜2倍の範囲)、喫煙・高血圧・エストロゲン製剤など血管リスクの管理が大切です[1][25]

まとめると:多くは良性ですが、初めて・様子が違う・長引くなら受診を。リスク因子の管理も重要です。

閃輝暗点が脳梗塞である確率は?

  • 典型的な閃輝暗点(キラキラがじわじわ広がって5〜60分で元通り)は、ほとんどが片頭痛の前ぶれで、脳梗塞そのものである確率はとても低いです。
  • ただし、初めて起きた片目だけ真っ暗突然ガクッと見えない60分以上続く手足のまひ・しびれ・ことばが出にくいなどは、脳や目の病気のサインのことがあるので当日中に受診が望ましいです。

閃輝暗点が脳梗塞である確率がどのくらい“まれ”か?

閃輝暗点=脳梗塞」というケース(片頭痛関連脳梗塞)は、すべての脳梗塞の0.2〜0.5%ほどしかありません。人数でいうと、脳梗塞1000人のうち2〜5人くらいです[26][27]
1年あたりの発症も10万人に1〜3人程度と考えられ、かなり稀です[26]

「今のチカチカ」は脳梗塞? それとも違う?

救急に「脳卒中かも」で来る人のうち、実は約20〜50%脳卒中ではない病気(ストローク・ミミック)です。そのミミックの原因として片頭痛(=ときに閃輝暗点)よくある部類に入ります(ミミックの中の約1〜2割[28][29][30]
だからこそ、見え方と経過が重要で、じわじわ広がって60分以内に治るのは片頭痛の前ぶれに多く、突然ガクッと欠ける・片目だけ真っ暗などは要注意です。

まとめると:典型的なじわじわキラキラ→60分以内に回復する閃輝暗点がそのまま脳梗塞である確率はとても低い。ただし初発/片目/突然/60分超/神経症状早めに受診

「閃輝暗点=脳梗塞」になるのはどんな時?

  • 頻度:全ての脳梗塞の0.2〜0.5%。人口あたり年1〜3人/10万人の珍しい病態です[26][27]
  • 条件(ざっくり):前ぶれ(閃輝暗点)が1時間以上続き、その症状に合う場所にMRIで新しい脳梗塞が見つかったときに疑います[27]
  • 起こりやすい部位:視覚をつかさどる後方循環(後頭葉など)が多いと報告されています[27]
長い目でみると:前兆あり片頭痛は将来の脳梗塞のなりやすさ(相対リスク)が少し高いという研究が多いですが、禁煙・血圧管理・エストロゲン回避などでリスクは下げられます[25][32]

※「突然の視野欠損」「片眼のみの暗転」「麻痺やことばの障害」「前兆が60分超」などは救急・当日評価を推奨(本ページの「危険サイン」参照)。

頭痛のない閃輝暗点(典型前兆のみ)

閃輝暗点だけが起こり頭痛を伴わないタイプ(典型前兆のみ)もあります。ICHD‑3では「典型前兆(頭痛なし)」として分類され、前兆が60分以内に自然回復する点は同じです[33]

治療の考え方:前兆そのものを確実に短縮する急性薬は確立していません。ただし安全確保(運転・高所作業は避ける)と、続く頭痛を見越した早めの急性期治療(アセトアミノフェン/NSAIDs、必要に応じてトリプタン・ラスミジタン等)で全体の負担は減らせます。頻度が多い/日常生活に支障が大きい場合は、予防薬(下記)で前兆・頭痛双方を減らすことを検討します[7][34][3]

まとめると:前兆だけの発作でも、安全第一+頭痛の早期治療が有効。頻回なら予防薬を選択します。

片目だけの閃輝暗点

発作中に片目ずつ交互に覆うと、片眼だけの障害か、脳由来の障害かが判別しやすくなります。片眼のみの暗転はまず眼科・血管性の原因を優先して除外します。[5][35]

片目だけが見えにくい/暗い」場合は眼科疾患や血管性の可能性があり、上記の通り早めの評価が重要です。まれに網膜性片頭痛(片眼の反復性視覚症状)も報告されていますが、極めて稀で、真の有病率は不明です。診断は除外診断であり、まず眼科・血管性疾患の評価が必要です。[35][36][37]

まとめると:片眼のみの見えにくさはまず眼科的原因を除外。網膜性片頭痛は非常にまれです。

閃輝暗点があっても、経口低用量ピルは使える?

結論:エストロゲンを含む併用ホルモン避妊薬(CHC)は、前兆を伴う片頭痛の方では原則避けます。これは避妊目的に限らず、月経痛の軽減や月経周期の調整目的で内服する場合も同様です。理由は、虚血性脳卒中のリスク上昇が認められるためです。
米国CDCの医療適応基準(US MEC 2024)でも、「前兆を伴う片頭痛」=エストロゲンを含む併用ホルモン避妊薬は禁忌(カテゴリー4)と明記されています。

代替としては、黄体ホルモン単剤(プロゲスチン単剤ピル)レボノルゲストレルIUSなどのエストロゲンを含まない方法、あるいはNSAIDs/トラネキサム酸等の非ホルモン療法が選択肢になります。目的(避妊・疼痛緩和・出血コントロール)に応じて、婦人科と連携して最適解を一緒に検討しましょう[4]

ピル(エストロゲン含有)を使うとどのくらい脳梗塞になりやすい?

CHC(エストロゲン含有ピル)を使うとどのくらい脳梗塞になりやすい?」という疑問に答えるためのイメージ図です。
棒が長いほど1年間に10万人あたりでみた脳梗塞の発症数が多いことを表します。右端の数字がその実際の発症数です。
略語:MwA=前兆あり片頭痛、MwoA=前兆なし片頭痛、CHC=エストロゲンを含む併用ホルモン避妊薬。

データ出典:20〜44歳女性の推定値。単位=虚血性脳梗塞の発症(10万人あたり/1年)。EHF/ESCコンセンサス(J Headache Pain 2017[32]

※観察研究に基づく推定で、年齢・喫煙・血圧・持病などで上下します。
前兆あり片頭痛 × CHC(エストロゲン含有ピル)の組み合わせは特にリスクが高くUS MECでも禁忌です[4]。エストロゲンを含まない選択肢(プロゲスチン単剤ピルやIUSなど)が検討されます。

なお、更年期ホルモン療法(HRT)CHC(エストロゲン含有ピル)とは別の治療で、前兆を伴う片頭痛でも禁忌ではありません。症状とリスクに応じ、経皮エストロゲン低用量が推奨されます[38]

まとめると:前兆を伴う片頭痛ではエストロゲン含有ピルは避けるのが基本。黄体ホルモン単剤非ホルモン療法などに切り替えが検討されます。

更年期と閃輝暗点

更年期前後はホルモン変動が大きく、片頭痛や前兆の頻度・パターンが変わることがあります。月経周期が不規則になる時期に増える方もいれば、閉経後に落ち着く方もいます。治療は生活調整+急性期薬+予防薬の基本に沿い、必要に応じて婦人科と連携します[39][40]

まとめると:更年期は変化の時期。我慢せず、今の状態に合わせた治療へ見直しましょう。

閃輝暗点の治療方法(急性期・予防)

急性期(発作時)

ポイント:前兆そのものを止める薬は確立していませんが、頭痛が強くなる前に早めに内服すると効果的です。まずアセトアミノフェン/NSAIDs、必要に応じてトリプタンラスミジタン等を選びます。トリプタンは前兆自体には効果が乏しいとされ、頭痛フェーズに早く使うのが基本です[7][34][3]

予防(発作回数・前兆を減らす)

下表の効果の代表値は主に「月間片頭痛日数(頭痛)」の減少を評価したものです。視覚の前兆のみへの直接効果は報告が限られ、個人差があります[34][3]

薬剤 効果の代表値 主な注意点
バルプロ酸 50%改善率:およそ44–45%(プラセボ約21%)/
月間発作−0.6〜−1.0回程度の上乗せ効果の試験も[41][42]
妊娠中は禁忌(催奇形性)。体重・肝機能などモニター
ロメリジン 国内の小規模RCTで有効性が示され、実臨床でも使用。効果は中等度[43] 眠気・ふらつき等。用量は少量から調整
プロプラノロール メタ解析で月あたり約1.5回の頭痛減少(8週時点の推定)[44] 徐脈・喘息で注意。眠気・倦怠感
抗CGRP抗体
(フレマネズマブ/ガルカネズマブ/エレヌマブ)
代表値:
・フレマネズマブ(慢性)−4.6日/月(プラセボ−2.5)
・ガルカネズマブ(発作性)−4.6〜−4.7日/月(プラセボ≈−2.8)
・エレヌマブ(発作性)−3.2〜−3.7日/月(プラセボ≈−1.8)[45][46][47]
注射部位反応。エレヌマブでは便秘・高血圧に注意(導入初週を中心に血圧を確認

※試験デザインや対象が異なるため横断比較は不可です。個別にご相談ください。

※エレヌマブ(Aimovig®)では高血圧の発現が報告され、導入初週を中心に血圧測定が望ましいです。[48]

まとめると:予防は月の発作日を減らす目的。まずは内服(バルプロ酸/ロメリジン/プロプラノロール等)、必要に応じ抗CGRP抗体を検討します。

閃輝暗点を速やかに治す方法は?

現時点で閃輝暗点(前兆)そのものを確実に短縮する薬は確立していません。安全のため運転・高所作業を避け、静かな明るさで安静に。頭痛が出そうなら、早めに急性期薬(アセトアミノフェン/NSAIDs→トリプタン・ラスミジタン等)を使うのが現実的です[7][34][3]

まとめると:前兆を“消す薬”は未確立。安全確保+早期内服で頭痛・不快感を最小化しましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1.「目がチカチカ・キラキラ」だけで頭痛が来ないときは受診が必要ですか?

A:典型的なら緊急性は低いことが多いですが、初発・50歳以降の新規片眼だけ真っ暗神経症状を伴うときは早めに受診してください[5][1]

Q2.トリプタンは前兆を止められますか?

A:前兆そのものへの効果は乏しいとされます。頭痛フェーズに入ったらなるべく早く内服するのがコツです[7][34]

Q3.閃輝暗点があっても、経口低用量ピルは使えますか?

A:前兆を伴う片頭痛ではエストロゲン含有低用量ピルは禁忌(US MEC 2024のカテゴリー4)。避妊だけでなく月経調整目的でも同様です。黄体ホルモン単剤非ホルモン療法を検討します。なおホルモン補充療法はエストロゲン含有低用量ピルとは別で、禁忌ではありません(経皮低用量推奨)。[4][38]

Q4.予防薬は何から始めますか?

A:体質や合併症に応じてロメリジン/プロプラノロール/バルプロ酸などから検討し、不十分な場合は抗CGRP抗体も選択肢です[43][44][45][46][47]

Q5.前兆が出ている間、運転や自転車はしても良いですか?

A:避けてください。視界が不安定な間は事故の危険があり、ガイドラインでも安全確保が推奨されています[7][3]

Q6.閃輝暗点は目の病気ですか?脳の問題ですか?

A:多くは脳(後頭葉の視覚野)で起こる現象です。ただし片眼だけの見えにくさは眼の病気の可能性があり、眼科評価が必要です[6][36]

Q7.スマホを使いすぎると閃輝暗点が増えますか?

A:スマホ自体が直接の「病気の原因」というより、強い光・点滅・高コントラストの映像や、就寝前の使用による睡眠の乱れきっかけになりやすいと考えられます。
対策:画面の明るさ/コントラストを下げる、点滅の激しい動画を控える、寝る1〜2時間前は画面オフ、就寝・起床のリズムを一定に保つと予防に役立ちます[12][13][14][15][16]

Q8.コーヒーを飲みすぎると閃輝暗点が増えますか?

A:人によりますが、普段より多く飲む日は片頭痛(=前兆の引き金になることあり)が増える可能性があります。一方で、急にカフェインをゼロにするのも片頭痛を誘発し得ます。
対策量と時間をいつも同じくらいに保つ、夕方以降は控えめにする、減らす場合は数日〜1週間かけて段階的に行うのがおすすめです[17][18]

大﨑 雅央 院長の写真

この記事の監修者

院長 大﨑 雅央(Masao Osaki)

吉祥寺おおさき内科・脳神経内科
日本神経学会 神経内科専門医/日本内科学会 総合内科専門医

院長の詳しい紹介を見る

参考文献

参考文献を開く/閉じる
  • [1] Alstadhaug KB, et al. Transient ischemic attack or migraine aura? Tidsskr Nor Laegeforen. 2023. Article
  • [2] Pula JH, Kwan K. Update on the evaluation of transient vision loss. Clin Ophthalmol. 2016. PMC
  • [3] Charles A, et al. Diagnosis and management of migraine in ten steps. Nat Rev Neurol. 2021. Review
  • [4] CDC. U.S. Medical Eligibility Criteria for Contraceptive Use(2024): migraine with aura = CHC Category 4. PDF
  • [5] ICHD‑3:1.2 Migraine with aura. Web
  • [6] Goadsby PJ, et al. Migraine. N Engl J Med. 2020. NEJM
  • [7] IHS. Global practice recommendations for acute treatment of migraine. Cephalalgia. 2024. SAGE
  • [8] National Eye Institute. Retinal detachment. 2024. NEI
  • [9] Gelston CD, et al. Eye Emergencies. Am Fam Physician. 2020. AAFP
  • [10] Khazaeni B, et al. Acute Angle‑Closure Glaucoma. StatPearls. 2023. Book
  • [11] Viana M, et al. Clinical features of visual migraine aura: systematic review. J Headache Pain. 2019. Article
  • [12] Harle DE, Shepherd AJ, Evans BJW. Visual stimuli are common triggers of migraine and are associated with pattern glare. Headache. 2006;46(9):1431–1440. PubMed
  • [13] O’Hare L, Hibbard PB. Visual processing in migraine. Cephalalgia. 2016;36(11):1057–1076. SAGE
  • [14] Chang A‑M, et al. Evening use of light‑emitting eReaders negatively affects sleep and circadian timing. PNAS. 2015;112(4):1232–1237. PNAS
  • [15] Bertisch SM, et al. Nightly sleep duration, fragmentation, and daily risk of migraine: case‑crossover analysis. Neurology. 2020;94:e489–e496. PMC
  • [16] Stanyer EC, et al. Investigating the relationship between sleep and migraine in a global smartphone e‑Diary. J Headache Pain. 2023;24:123. Open Access
  • [17] Mostofsky E, et al. Prospective cohort of caffeinated beverage intake as a potential trigger of headaches among migraineurs. Am J Med. 2019;132(8). PubMed
  • [18] Alstadhaug KB, et al. Sudden caffeine withdrawal triggers migraine—Randomized controlled trial. Front Neurol. 2020;11:1002. PMC
  • [19] Ragab S, et al. Changes in migraine during Ramadan fasting. Headache. 2021;61(7):1005–1015. Wiley
  • [20] Al‑Hashel JY, et al. Worsening of migraine during fasting in Ramadan. Seizure. 2021;91:157–161. PubMed
  • [21] Arca KN, et al. Dehydration and headache(Review). Curr Pain Headache Rep. 2021;25(7):44. PMC
  • [22] Vives‑Mestres M, et al. Alcohol as a trigger of migraine attacks: prospective cohort. Headache. 2022;62(10):1245–1257. PMC
  • [23] Koppen H, van Veldhoven PLJ. Migraineurs with exercise‑triggered attacks have a distinct migraine. J Headache Pain. 2013;14:99. Open Access
  • [24] Ramsden CE, et al. Dietary alteration of n‑3 and n‑6 fatty acids for headache reduction in adults with migraine: randomized trial. BMJ. 2021;374:n1448. BMJ
  • [25] Øie LR, et al. Migraine and risk of stroke. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2020;91(6):593–604. JNNP
  • [26] Lee MJ, et al. Migrainous infarction. Journal of Stroke. 2016. Web
  • [27] Wolf ME, et al. Clinical and MRI characteristics of acute migrainous infarction. Neurology. 2011;76:1911–1917. PubMed
  • [28] Pohl M, et al. Ischemic stroke mimics: a comprehensive review. J Clin Neurosci. 2021. PDF
  • [29] Nadarajan V, et al. Transient ischaemic attacks: mimics and chameleons. BMJ. 2014. BMJ/PMC
  • [30] Farid HA, et al. The burden of stroke mimics among hyperacute pathway patients. 2024. PMC
  • [31] Amarenco P, et al. Four‑Year Follow‑Up of TIAs, Strokes, and Mimics (OXVASC). Stroke. 2015. Stroke
  • [32] Sacco S, et al. Hormonal contraceptives and risk of ischemic stroke in women with migraine: EHF/ESC consensus. J Headache Pain. 2017. Open Access
  • [33] ICHD‑3:1.2.1.2 Typical aura without headache. Web
  • [34] Reuter U, et al. Treating migraine aura: What works? Cephalalgia. 2010. SAGE
  • [35] ICHD‑3:1.2.4 Retinal migraine. Web
  • [36] Pietrzak E, et al. Current Perspective on Retinal Migraine. Curr Pain Headache Rep. 2021. Springer
  • [37] Friedman DI, et al. Transient monocular visual loss and retinal migraine. Curr Pain Headache Rep. 2005. PubMed
  • [38] British Menopause Society. Migraine and HRT. 2022. PDF
  • [39] MacGregor EA. Migraine and menopause. Maturitas. 2020. ScienceDirect
  • [40] Pavlović JM, et al. Migraines during the menopausal transition. Women’s Midlife Health. 2015. Article
  • [41] Klapper JA, et al. Divalproex for migraine prophylaxis: randomized study. J Clin Pharmacol. 1997. PubMed
  • [42] Freitag FG, et al. Divalproex ER in migraine prophylaxis: RCT. Neurology. 2002. PubMed
  • [43] Japanese Headache Society. Clinical Practice Guideline for Chronic Headache 2013(ロメリジンのCQ含む). JHS
  • [44] Jackson JL, et al. Beta‑blockers for migraine prevention: meta‑analysis. J Gen Intern Med. 2019. Springer
  • [45] Silberstein SD, et al. Fremanezumab in chronic migraine(HALO‑CM). N Engl J Med. 2017. PubMed
  • [46] Stauffer VL, et al. Galcanezumab(EVOLVE‑1/2). JAMA Neurol. 2018. PubMed
  • [47] Goadsby PJ, et al. Erenumab(STRIVE). N Engl J Med. 2017. PubMed
  • [48] Aimovig® (erenumab) Prescribing Information. U.S. FDA. Label