BAROMETRIC MIGRAINE

気圧頭痛・天気痛の治し方

気圧変動で繰り返す頭痛は片頭痛として治療できる可能性があります。診断と治療のご相談を。

最終更新 2026.06.03

This Article's Reviewer 院長 大﨑雅央 吉祥寺おおさき内科・脳神経内科 院長 大﨑 雅央 東京大学医学部卒神経内科専門医総合内科専門医 プロフィール

60秒でわかる気圧頭痛

  • 雨や台風の前から痛む頭痛は、気圧が引き金の片頭痛かもしれません。天気のせいと我慢せず、痛み方、吐き気、光音過敏、薬の回数を確認します。
  • 低気圧の日に仕事や家事へ支障が出る方、市販薬が増えてきた方は相談の目安です。急性期薬の使い方に加え、月4日以上つらい場合は予防治療も考えます。
  • 突然の激しい頭痛、麻痺・意識障害を伴う頭痛は、気圧と決めつけません。いつもと違う頭痛では、救急受診を含めて早めに判断します。

雨や台風の前から痛む方、市販薬が増えてきた方は一度ご相談ください。気圧が引き金の片頭痛かを確認します。

院長・神経内科専門医 大﨑 雅央
OVERVIEW

気圧頭痛・天気痛・気象病はすべて同じ片頭痛(偏頭痛)?

結論呼び方はさまざまですが、頭痛が中心なら、医学的には片頭痛発作が気圧で誘発されている状態をまず考えます。台風や前線通過、梅雨、季節の変わり目に繰り返す頭痛では、片頭痛として診断・治療することで生活への支障を減らせる可能性があります。

詳しく読む(呼び方と片頭痛として見る目安)

「気圧頭痛」「天気痛」「気象病」「低気圧頭痛」は、患者さんの言葉としては近い意味で使われます。ただし、頭痛が主症状なのか、めまい・耳閉感・倦怠感が中心なのかで、考え方と受診先が変わります。

ズキズキする痛み、吐き気、光や音がつらい、動くと悪化する、といった特徴があれば、片頭痛発作として治療を組み立てる方が合うことがあります。12

  • 雨や台風の前から痛み始める
  • ズキズキして動くと悪化する
  • 吐き気、光・音・においのつらさを伴う
  • 頭痛の日は仕事、家事、学業に支障が出る
  • 市販薬の使用回数が増えている

まとめ気圧で起こる頭痛は、天気だけの問題ではなく、片頭痛として治療できる可能性があります。まずは症状の特徴を確認しましょう。

MECHANISM

なぜ気圧で頭痛が起こる? — 三叉神経・血管・CGRPのメカニズム

結論台風や低気圧の接近に伴う気圧低下が、内耳、自律神経、三叉神経、CGRP放出を介して片頭痛発作につながると考えられています。片頭痛のある方では、台風や前線通過のタイミングで発作の引き金になることがあります。34

詳しく読む(内耳・自律神経・CGRPの関係)

気圧が低下すると、内耳の前庭器官(平衡感覚を司る部位)がそれを感知し、自律神経を介して脳の三叉神経が刺激されると考えられています。三叉神経が活性化すると、CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)などの神経伝達物質が放出され、脳の血管拡張や炎症性変化を通じて片頭痛発作につながります。25

このため、気圧が下がる前(低気圧の接近時)や、急激な気圧変動のあるタイミング(台風、前線通過、天候不順)で片頭痛発作が起こりやすくなります。

  • CGRPが放出され、片頭痛発作につながる
  • 気圧が下がる前から痛み始めることもある

内耳のセンサーが気圧変化を感知する

内耳は、平衡感覚やめまいと関係する場所です。天候変化で耳の違和感、めまい、ふらつきが出る方では、内耳が気圧変化に反応している可能性があります。

自律神経のバランスが乱れる

天候変化、睡眠不足、ストレスが重なると、自律神経の揺れが大きくなり、片頭痛の発作が起こりやすくなることがあります。

CGRPと片頭痛発作

CGRPは片頭痛発作に関わる重要な物質です。CGRPに注目した治療薬が登場したことで、気圧で繰り返す片頭痛にも予防治療を考えやすくなりました。67

まとめ気圧頭痛は、気合いで我慢するものではありません。片頭痛のしくみとして見直すと、対処と予防の選択肢が広がります。

DIFFERENTIAL

天気痛・気象病と片頭痛(偏頭痛)の気圧誘発はどう違う?

結論台風や低気圧の前後で、めまい・耳閉感・倦怠感が中心なら気象病、拍動性頭痛・吐き気・光音過敏が中心なら片頭痛発作を考えます。両者は重なることがありますが、治療の中心が変わります。

詳しく読む(気象病との違い・受診先)

「気象病」は天候変化で起こるさまざまな不調(めまい、倦怠感、関節痛、気分の落ち込みなど)をまとめた一般用語で、医学的に厳密な疾患名ではありません。一方、「片頭痛発作の気圧誘発」は、国際頭痛分類で定義された片頭痛が、気圧変化を引き金として起こる現象として考えます。1

頭痛が中心症状であれば、片頭痛として診療する方が治療選択肢が広がります。当院は片頭痛・閃輝暗点を中心に診療しているため、めまい・耳閉感が中心の方は耳鼻咽喉科もご検討ください。

項目気象病片頭痛発作の気圧誘発
主な症状めまい、倦怠感、関節痛、気分の落ち込み拍動性の頭痛、光音過敏、吐き気
発生タイミング天候不順全般、季節の変わり目気圧低下の前後、台風接近時
動くと変わらない、または楽になることもある悪化することが多い
家族歴関連性は弱い片頭痛の家族歴があることが多い
受診先耳鼻咽喉科、心療内科など神経内科・頭痛外来
治療の中心抗めまい薬、生活調整など急性期はトリプタン・レイボーなど、予防はCGRP関連薬など

まとめ頭痛が中心か、めまい・耳症状が中心かで受診先と治療が変わります。気圧と頭痛の関係だけでなく、痛み方と随伴症状を確認しましょう。

SELF CHECK

あなたの「気圧で起こる頭痛」は片頭痛?セルフチェック

結論以下の項目が多いほど、片頭痛発作が気圧で誘発されている可能性が高まります。診断ではありませんが、受診の目安としてご活用ください。

当てはまる項目をタップしてください。チェック数に応じた目安が下に表示されます(2項目以上で片頭痛の可能性が高くなります)。

気圧予報アプリと頭痛のタイミングが一致していても、それだけで診断はできません。頭痛日記に、頭痛の日、薬を使った日、睡眠、月経周期、天候を簡単に残すと、診察で相談しやすくなります。

まとめセルフチェックは診断の代わりではありません。頭痛の特徴、頻度、薬の使用日数、生活への支障を合わせて見ます。

ACUTE CARE

低気圧で頭痛が起きた時の治し方は? — 急性期の対処法

結論台風や低気圧で片頭痛発作が起きたときは、痛みが完成する前の早めの対処が大切です。暗く静かな場所で休み、冷却、水分補給、必要な急性期薬を組み合わせます。89

詳しく読む(セルフケアと急性期薬)

気圧で片頭痛発作が起きたときは、早めの対処が役立つことがあります。痛みが強くなりきる前に行動することで、発作を乗り切りやすくなります。

一方で、市販薬や急性期薬の使用日数が増えている場合は、薬の使いすぎによる頭痛につながることがあります。月の使用日数を記録しておくことが大切です。19

セルフケア(発作時)

  • 暗く静かな場所で安静にする: 光や音の刺激を避けます。
  • 頭部を冷却する: こめかみや首筋に冷たいタオルや保冷剤を当てます。温めると悪化することがあります。
  • 水分補給をする: 脱水は片頭痛の引き金になるため、無理のない範囲で水分をとります。

薬による急性期治療

  • トリプタン製剤(スマトリプタン、リザトリプタン、エレトリプタンなど): 片頭痛発作専用の頓服薬で、発作の早い段階で使うと効果を得やすいことがあります。
  • レイボー(ラスミジタン): 血管収縮作用がなく、背景によって選択肢になる急性期薬です。眠気やめまいに注意し、内服後の運転制限があります。101112
  • ナルティーク(リメゲパント): 経口CGRP受容体拮抗薬です。使い方、併用薬、処方日数の制限は診察時に確認します。1314
  • 市販の鎮痛薬: 軽症から中等症では役立つことがありますが、使用日数が増えると薬の使いすぎによる頭痛のリスクが高まります。

市販薬の使用日数が増えてきた方は要注意

市販鎮痛薬を月15日を超えて使う、またはトリプタンなどを月10日を超えて使う状態が3か月以上続くと、薬物乱用頭痛(MOH)を疑います。MOHの基準を満たさない場合でも、急性期薬の使用日数が増えてきた段階で、予防治療を含めた見直しを考えます。19

まとめ急性期薬は早めに、ただし使いすぎず。効きにくい、吐き気で飲めない、使用日数が増えている場合は、薬の種類や使い方を見直します。

PREVENTION

気圧頭痛を予防する方法は? — 予防薬・漢方・生活対策

結論台風や低気圧で月に何度も発作が起きる方は、予防治療を検討します。片頭痛の予防薬に加え、気象の影響には漢方(五苓散など)が用いられることもあります。15発作回数や強さを下げる治療を組み合わせることで、台風前や雨の日のつらさを減らせる可能性があります。67

詳しく読む(CGRP関連薬・既存予防薬・生活対策)

気圧頭痛の多くは、片頭痛発作が気圧で誘発されている状態です。そのため、片頭痛の予防治療が役立つことがあります。

月平均4日以上の片頭痛発作があり、既存予防薬で十分な効果が得られなかった方では、CGRP関連薬による予防治療が健康保険適用の対象になります。

CGRP関連薬による予防治療

CGRP関連薬は、片頭痛発作に関わるCGRPの働きに注目した予防治療です。注射タイプにはアジョビ(当院では原則月1回)、エムガルティ、アイモビーグがあり、経口タイプにはナルティーク、アクイプタがあります。671416

詳しくはCGRP関連薬5種の違いと選び方のページをご覧ください。薬剤ごとに投与間隔、費用、注意点、自己注射の有無が異なります。

既存の予防薬

  • ロメリジン(ミグシス): Ca拮抗薬です。比較的副作用が少なく、選択肢になりやすい薬です。
  • プロプラノロール(インデラル): β遮断薬です。低血圧や喘息のある方では使いにくいことがあります。
  • バルプロ酸: 抗てんかん薬を片頭痛予防に応用することがあります。妊娠可能性がある方では慎重に考えます。15

ライフスタイルでの予防

  • 規則正しい睡眠: 寝すぎ・寝不足どちらも引き金になり得ます。
  • カフェインのとり方を安定させる: 急に増やす、急にやめる、どちらも頭痛につながることがあります。17
  • 食事を抜かない: 空腹も発作の引き金になります。
  • 水分補給: 脱水を避けるため、こまめに水分をとります。
  • 姿勢・首こり対策: 長時間のスマホ・PC作業では休憩を入れます。
  • 台風・低気圧の接近を気圧予報アプリでチェック: 接近の1〜2日前から無理のない予定にし、早めに休むなどの備えを考えます。台風シーズン前に急性期薬の処方も見直します。

まとめ予防は、薬だけでなく、睡眠・食事・水分・気圧予報・頭痛日記を組み合わせます。発作が月4日以上ある場合は、予防治療の相談価値があります。

SAFETY

これは危険な頭痛?気圧と関係ない見逃せないサイン

結論気圧で頭痛が起きやすい方でも、いつもと違う頭痛は気圧のせいと決めつけないでください。以下のサインがあれば、気圧変動の有無にかかわらず救急受診を検討します。

詳しく読む(危険なサイン)

いつもの片頭痛と違う、突然始まった、神経症状を伴う、発熱や首の硬さがある場合は、くも膜下出血、脳卒中、髄膜炎などの可能性を考えます。

  • 突然の激しい頭痛(数秒から数分でピークに達する)
  • 50歳以上で初めて出た強い頭痛
  • 麻痺、ろれつのまわらなさ、意識障害を伴う頭痛
  • 高熱、項部硬直(首が硬い)を伴う頭痛
  • 人生で最悪の頭痛と感じる頭痛

まとめ気圧頭痛を持っている方ほど、いつもの頭痛と違う変化を見逃さないことが大切です。迷う場合は救急相談も選択肢です。

FLOW

気圧頭痛は何科?当院の診察・治療の流れ

結論気圧頭痛は脳神経内科・頭痛外来が適しています。当院では頭痛のタイプ、頻度、気圧との関係、薬の使用日数を確認しながら治療方針を考え、初診では採血も行います。MRIは必要に応じて検討します。

詳しく読む(初診から治療方針まで)

国際頭痛分類に基づいて、片頭痛発作の気圧誘発か、めまい中心の気象病かを見分けます。

採血では甲状腺・貧血・肝腎機能などを確認し、MRI(脳の精密検査)は二次性頭痛が疑われる場合や経過から必要と判断した場合に検討します。

流れ内容確認すること
1. 初診(WEB予約)問診と神経診察を行います。頭痛の頻度、気圧との関係、既往薬、持病、併用薬
2. 片頭痛かどうかを確認国際頭痛分類に基づき、必要な検査を考えます。採血、必要に応じたMRI、二次性頭痛の可能性
3. 治療プランを考える急性期治療と予防治療から選びます。トリプタン、レイボー、ナルティーク、CGRP関連薬、既存予防薬
4. 頭痛日記を活用発作頻度と気圧との関係を記録します。3か月程度で頭痛日数、薬の使用日数、生活への支障を確認

まとめ診療では、気圧だけでなく、片頭痛らしさ、薬の使用日数、危険な頭痛の可能性、予防治療の適応を順番に確認します。

FAQ

気圧頭痛のよくあるご質問(FAQ)

Q1.気圧で頭痛が起こるのは「気のせい」と言われたのですが…

台風や低気圧の接近で片頭痛発作が起こるメカニズムは、内耳・三叉神経・CGRP放出という形で科学的に説明されています。気のせいではありません。実際に、片頭痛のある方では台風や前線通過、天候の急変で症状悪化を経験することがあります。34

Q2.市販の頭痛薬で対応していますが、頻度が増えてきました

市販鎮痛薬を月15日を超えて使う、またはトリプタンなどを月10日を超えて使う状態が3か月以上続くと、薬物乱用頭痛(MOH)を疑います。MOHの基準を満たさない場合でも、急性期薬の使用日数が増えてきた段階で、予防治療を含めた見直しを考えます。19

Q3.気圧予報アプリで気圧と一致するなら、必ず気圧頭痛ですか?

台風接近や気圧の低下と頭痛の発生タイミングが一致していても、症状の特徴(拍動性、光音過敏、吐き気、動くと悪化)が片頭痛らしさに当てはまらなければ、緊張型頭痛や別の頭痛の可能性もあります。診察では、台風や気圧との関係だけでなく、痛み方と随伴症状を確認します。

Q4.気圧頭痛は妊娠中でも治療できますか?

妊娠中は使える薬が限られます。トリプタン製剤やCGRP関連薬の妊娠中の安全性は十分に確立されていません。アセトアミノフェン、生活調整、頭部冷却などが中心になります。妊娠中・授乳中の方は事前にお伝えください。必要に応じて婦人科とも連携して考えます。

REFERENCES

参考文献

参考文献を表示
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