片頭痛について(診断・治療・予防と最新エビデンス)

吉祥寺おおさき内科・脳神経内科吉祥寺駅徒歩1分の通いやすいクリニックです。

当院では、国際頭痛分類(ICHD‑3)にもとづく丁寧な問診神経診察で片頭痛を診断します。あわせて、「突然の今まででいちばん強い頭痛」手足の麻痺・言葉が出にくい(脳卒中の可能性)発熱や首のこわばり(髄膜炎の可能性)などの受診サイン(レッドフラッグ)がないかを確認します[1][2]

治療は急性期は早めの内服(アセトアミノフェン/NSAIDs→トリプタン、適応によりラスミジタン)を基本に、予防ロメリジン・β遮断薬・バルプロ酸などの内服+必要に応じて抗CGRP抗体注射を使い分けます。

生活面(睡眠・運動・脂質管理)も整えながら、薬の使いすぎによる頭痛(薬剤乱用頭痛)を避けて、続けやすい治療を一緒に考えます[3]

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受診のきっかけ:ズキズキする頭痛/吐き気・光や音に弱い前兆(ギザギザした光・しびれ・言葉が出にくい)がある方。

レッドフラッグ(緊急評価):突然の最強頭痛麻痺・ろれつ困難・視野の欠けなどの神経症状、発熱・首のこわばり頭を打った直後妊娠・産後50歳以降の新しい頭痛など[2]

診療の流れ:まず症状の出方と回数市販薬/処方薬の使用日数をうかがい、神経診察を行います。必要に応じてMRI/CTや採血を行い、急性期薬の適正使用予防薬の適応をわかりやすくご説明します[2][3]

薬の使い方:急性期早め内服がコツ。トリプタンが向かない方はラスミジタンも選択肢。予防は生活調整+内服、うまくいかなければ抗CGRP抗体市販薬やトリプタンの使いすぎ月10〜15日超)は頭痛を悪化させるため注意[2]

目次

片頭痛とは

片頭痛は、ズキズキ拍動する頭の痛みがくり返し起き、吐き気・光過敏・音過敏などを伴う神経の病気です。画像検査で異常が出ないことも多く、国際頭痛分類(ICHD‑3)にもとづく問診で診断します[1]。世界では10人に1〜2人が片頭痛を持つとされ、学校や仕事に影響します[4][5]

仕組みは、顔の痛みを運ぶ三叉神経と血管の回路(三叉神経—血管系)が活発になり、CGRPという痛みを強める物質が関わる、という考えが有力です[3][6][7][8][9]

  • 主な症状:拍動性の頭痛、動くと悪化、吐き気・嘔吐、光/音/においがつらい など。
  • 前兆:一部の人では、ギザギザした光(閃輝暗点)などの前兆が頭痛の前に出ます(多くは60分以内に消えます)[1]
  • すぐ受診:突然の最強頭痛麻痺・言葉が出にくい発熱・首のこわばり頭を強く打った50歳以降の新しい頭痛緊急評価が必要です[2]
まとめ:片頭痛は問診で診断することが多い頭痛です。CGRPをねらう新しい治療の登場で、以前よりコントロールしやすくなりました。

閃輝暗点について詳しくはこちら(閃輝暗点の解説)

片頭痛の原因

原因は1つではありません生まれつきの体質(遺伝)と、睡眠不足・ストレス・ホルモン・天候などの環境が重なり、脳が敏感になって発作が起こります[10][3]。前兆は脳の表面をゆっくり広がる変化(拡延性抑制:CSD)で説明され、痛みはCGRPの放出や血管・炎症反応が関係します[6]

  • CGRPの根拠:発作時にCGRPが上がり、CGRP受容体拮抗薬で痛みや随伴症状が改善、予防薬としても有効です[7][8][9]
  • 遺伝:家族内に多く、40〜60%程度の遺伝の影響が推定されています[11]
  • 「誘因」は引き金:睡眠・ストレス・におい・強い光・天候などは引き金で、原因そのものではありません。生活リズムを整えると予防に役立ちます[12][13]
まとめ:片頭痛は体質×環境の重なりで起こります。CGRPを標的にした治療の成功が、この考えを後押ししています。

片頭痛の特徴

片頭痛はとても身近です。世界では10人に1〜2人女性に多く10〜40代で目立ちます[4][5]。発作には波があり、睡眠不足ホルモン変化強い光/音・におい天候で誘発されることがあります。自己管理+薬物療法で、学校や仕事を続けながらコントロールできます。

まとめ:片頭痛は頻度の高い頭痛。誘因の把握急性期薬・予防薬の両輪で、日常生活と両立できます。

片頭痛に伴う吐き気への対処

片頭痛で吐き気が出るのは、脳の吐き気スイッチ(延髄の最後野など)が刺激され、ドパミン・セロトニン・CGRPなどのバランスが崩れるためと考えられています[10]。食事や水分がとれなくなる前に、早めの対応が大切です。

場面 対処のポイント 根拠(代表)
吐き気が軽い 痛みが強くなる前に早期内服(アセトアミノフェン/NSAIDsやトリプタン等)。
「吐き気」が最もつらい症状(MBS)のときも、急性期薬で改善が期待できます。
トリプタン/ラスミジタンが吐き気などの随伴症状を改善[18][19]
吐き気が強い OD錠・点鼻・皮下注など経口以外を検討。
制吐薬(ドパミン拮抗薬など)を併用すると、痛みと吐き気の両方が改善しやすくなります。
プロクロルペラジンが有効[32]
鎮痛薬にメトクロプラミド追加で改善[33][34]

注意:妊娠・授乳中や心臓・血管の病気がある方は選べる薬が変わります。市販薬をくり返し使い続けず、薬剤乱用頭痛(市販鎮痛薬は月15日超、トリプタン等は月10日超)にご注意ください[2]

まとめ:吐き気も片頭痛の一部です。早めの急性期薬+必要なら制吐薬経口以外でコントロールしましょう。

片頭痛の診断

片頭痛の診断は、画像よりも問診が主役です。次の流れで判断します[1][2]

  • ① 症状の聞き取り:痛みの性質(ズキズキ)強さ続く時間回数誘因吐き気・光/音過敏前兆の有無を確認。
  • ② 神経診察:まひ・しびれ・言葉の出にくさ・視野の欠けなどをチェック。
  • ③ 危険なサインの確認:突然の最強頭痛神経症状発熱・首のこわばりなどがあれば緊急評価[2]
  • ④ 検査は必要なときだけ:典型的な片頭痛ならMRI/CTは必須ではありません。必要に応じて行います[2]
  • ⑤ 頭痛日記(必要時):頭痛があった日数薬の使用誘因を記録。慢性片頭痛薬剤乱用頭痛の評価に役立ちます[1][2]
ポイント:ICHD‑3という世界共通のルールに沿って、「前兆がある/ない」「慢性片頭痛」を判断します[1]

前兆の「ある」片頭痛の診断の目安(国際頭痛分類(ICHD‑3))

こんなときに考えます:頭痛の前に視界にギザギザした光が出たり、しびれが少しずつ広がる言葉が出にくいなどの前兆があり、多くは5〜60分でおさまり、その後1時間以内に頭痛が始まるタイプです[1]

項目 内容 判定のポイント
発作回数 2回以上の発作 初診時は病歴から推定
前兆症状 完全に可逆的な前兆1つ以上
視覚感覚言語・構音運動脳幹網膜
症状の種類と回復を確認
前兆の時間・経過
下の6項目中3つ以上
  • 少なくとも1つの前兆が≥5分かけ徐々に広がる
  • 2つ以上の前兆が連続して出る
  • 各前兆は5〜60分運動前兆は最長72時間
  • 少なくとも1つの前兆が片側性
  • 少なくとも1つ陽性症状(きらめき・しびれ拡大など)
  • 頭痛前兆に伴う、または60分以内に出る
6項目のうち3つ以上で可
除外 他の病気やICHD‑3の別診断で説明できない TIAなどの鑑別を念頭に

片側である必要はありません。片側性は6つの特徴のうち1つで、合計3つ以上を満たせば診断を支持します。[1]
運動前兆は5〜60分の例外で最長72時間続くことがあります。[1]

前兆の「ない」片頭痛の診断の目安(ICHD‑3)

こんなときに考えます:前兆はなくズキズキ拍動する痛みが4〜72時間続き、動くと悪化吐き気光/音がつらいのどれかがあるタイプです[1]

項目 内容 判定のポイント
発作回数 同じような頭痛発作が5回以上 初診時は経過から推定
持続 4〜72時間(未治療/治療不成功時) 治療で短くなってもOK
痛みの特徴
下の4項目中2つ以上
  • 片側(左右どちらか)
  • 拍動性(ズキズキ)
  • 中〜重度の痛み
  • 日常の動作で悪化
2項目以上で支持[1]
随伴症状
いずれか
  • 吐き気/嘔吐
  • 光過敏かつ音過敏
どちらか一方で可[1]
除外 他の病気やICHD‑3の別診断で説明できない 問診・診察・必要な検査で評価

慢性片頭痛の診断の目安(ICHD‑3)

こんなときに考えます:頭痛が月15日以上あり、それが3か月超続いている人。過去に片頭痛の発作が十分回数あり、最近月8日以上は片頭痛らしい痛み(基準を満たす、またはトリプタン/エルゴタミンで改善する痛み)になっている場合です[1]

項目 内容 判定のポイント
頻度・期間 月15日以上の頭痛が3か月超続く 頭痛日記で日数を確認[1]
既往 過去に1.1 前兆のない片頭痛および/または1.2 前兆のある片頭痛の発作が5回以上ある 病歴で確認[1]
片頭痛様日 3か月以上の期間で、月8日以上が以下のいずれか:
1.1C・D(前兆のない片頭痛様)
1.2B・C(前兆のある片頭痛様)
・患者が片頭痛として自覚し、トリプタン/エルゴタミンで軽快
救済薬への反応も参考[1]
除外 他のICHD‑3診断で説明できない 二次性頭痛を除外

薬剤乱用頭痛(MOH)が重なっていることがあります(ICHD‑3 8.2)。市販鎮痛薬は月15日超、トリプタン等は月10日超で起こりやすくなります[2]

発作時(急性期)の治療

コツ:痛みが強くなる前に早めに飲む。まずアセトアミノフェン/NSAIDs、不十分ならトリプタン、吐き気が強ければ制吐薬を足します。トリプタンが向かない/効きにくい場合は、血管を収縮させないラスミジタン(レイボー®)を検討します[2][18][19]

薬剤乱用頭痛(MOH)市販鎮痛薬は月15日超、トリプタン等は月10日超で起こりやすくなります[2]

薬剤 速さ / 持続(目安) 向くタイプ・特徴 注意点 / 代表エビデンス
スマトリプタン
(イミグラン®)
経口は速い/t1/2約2h
点鼻・皮下注も可(最速は皮下注)
立ち上がりが速い発作に。吐き気時は点鼻/皮下注が便利 心血管/脳血管疾患は禁忌。総合的に有効[2]
リザトリプタン
(マクサルト®)
速い/t1/2約2–3h(OD錠) 早い鎮痛が必要な時。OD錠で飲みやすい プロプラノロール併用時は5mg[2]
エレトリプタン
(レルパックス®)
速い/t1/2約4–5h 比較で効きが強めの報告 CYP3A4強阻害薬は併用注意/回避
ゾルミトリプタン
(ゾーミッグ®)
中等度の速さ/t1/2約3h(OD錠) 吐き気でもOD錠で内服しやすい MAO‑A阻害薬は併用禁忌[2]
ナラトリプタン
(アマージ®)
ゆっくり/持続長め/t1/2約6h 長引く/再燃しやすい発作に向くことあり 腎機能で用量調整。全体として有効
ラスミジタン
(レイボー®)
2時間後の痛みゼロ:約29〜39%(プラセボ≈21%)[18][19] 血管収縮なし。心血管リスクがある人でも検討可 めまい/眠気。内服後8時間は運転不可[20]
まとめ:急性期は早めに・段階的に使いすぎを避け、トリプタン不適ならラスミジタンなど非血管収縮薬を選びます。

予防治療(内服薬+抗CGRP抗体)

目標:毎月の頭痛日を減らすこと。まず飲み薬を体質や合併症に合わせて試し、効きが足りない/副作用で続けられない/禁忌があるときは抗CGRP抗体を検討します[5]

薬剤 効果の目安(代表) 主な副作用・注意 使い分けのヒント
ロメリジン
(ミグシス®)
発作 約1日/月 減少、鎮痛薬使用↓[22] 眠気、めまい、むくみ、血圧低下 国内で経験豊富。少量から調整
アミトリプチリン
(トリプタノール® など)
発作 約1〜2日/月 減少半数以上改善↑[5] 眠気、体重増加、口渇/便秘、立ちくらみ、QT延長 睡眠の質が気になる方・緊張型要素に○
バルプロ酸
(デパケン® など)
発作 約1〜2回/月 減少半数以上改善↑[5] 催奇形性(妊娠禁忌)、体重増加、肝機能異常、眠気 妊娠計画がない方に。肝機能・体重を確認
プロプラノロール
(インデラル®)
発作 約1.3〜1.5回/月 減少[23] 徐脈、低血圧、疲労、抑うつ、悪夢(喘息/COPD不可 動悸が気になる方などに。低用量から
カンデサルタン
(ブロプレス® ほか)
発作 約2日/月 減少プロプラノロールと同等[24] 低血圧、腎機能悪化、高K血症、妊娠不可(片頭痛は適応外 高血圧合併に好適。腎機能・Kを定期確認

※比較の注意:ここに載せた効果の目安は、試験や対象・期間が違う研究の代表値です。横並び比較はできません

まとめ:予防のゴールは「頭痛日を減らす」こと。まず飲み薬、不十分/不耐/禁忌なら抗CGRP抗体へ。
抗CGRP抗体の作用機序(片頭痛) 三叉神経の末端から出たCGRPが硬膜の血管の受容体に結合し、cAMP上昇を介して血管拡張・炎症・痛み伝達を強める。 フレマネズマブ/ガルカネズマブはCGRPそのものを中和、エレヌマブは受容体を遮断する。主要RCTの代表値も併記。 抗CGRP抗体の作用機序(片頭痛) リガンド中和:フレマネズマブ/ガルカネズマブ | 受容体遮断:エレヌマブ 三叉神経終末 CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド) 硬膜血管 / 平滑筋 CGRP受容体(CLR+RAMP1) 受容体 結合 → 活性化 cAMP ↑ 血管拡張・炎症・痛み伝達が増強 血管拡張 炎症 痛み伝達 受容体遮断抗体 エレヌマブ 作用機序まとめ:CGRPシグナルを遮断 → 血管拡張↓・炎症↓・痛み伝達↓ → 片頭痛の頻度・強さを低減 リガンド中和抗体 フレマネズマブ / ガルカネズマブ CGRP自体に結合 → 受容体活性化を阻止 臨床効果(代表値・主要RCTより / 詳細は本文参照) フレマネズマブ (リガンド中和) 慢性片頭痛:頭痛日 約 −4.6日/月(プラセボ ≈ −2.5) 発作性:50% 以上減少 44–48% 文献 [25][26][27] ガルカネズマブ (リガンド中和) 発作日:約 −4.6〜−4.7日/月(プラセボ ≈ −2.8) 文献 [28] エレヌマブ (受容体遮断) 発作日:約 −3.2〜−3.7日/月(プラセボ ≈ −1.8) 注意:便秘・血圧上昇など(当局情報) 文献 [29][30][31] 注)数値は代表値。個人差があります。適応・用量・禁忌は各製剤の最新添付文書をご確認ください。

抗CGRP抗体(注射)— 効果と特徴

薬剤 標的 用法 効果の目安(代表値) 副作用・注意
フレマネズマブ
(アジョビ®)
リガンド 月1回225mg または 3か月毎675mg 慢性で頭痛日 約4.6日/月 減少(プラセボ≈2.5日)、発作性で50%改善者≈44–48%[25][26][27] 注射部位反応。長期安全性データあり[27]
ガルカネズマブ
(エムガルティ®)
リガンド 初回240mg、以後120mg毎月 発作日 約4.6〜4.7日/月 減少(プラセボ≈2.8日)[28] 注射部位反応。概ね忍容性良好[28]
エレヌマブ
(アイモビーグ®)
受容体 70mg/140mgを毎月 発作日 約3.2〜3.7日/月 減少(プラセボ≈1.8日)[29] 便秘/血圧上昇に注意(当局情報)[30][31]

費用の目安(3割負担):1回あたり約13,000円前後(薬価の3割+注射/管理料の合計)。薬価は改定があるため最新は受診時にご案内します。付加給付高額療養費で自己負担が下がる場合があります。

まとめ:抗CGRP抗体は、飲み薬で十分な効果がない/副作用が強い/禁忌がある方の次の選択肢です。便秘・血圧など安全面を確認しながら使います。

片頭痛を減らす生活のコツ

  • 睡眠:就寝/起床時刻をそろえる。片頭痛の人は睡眠の質が低い傾向があり、整えると良くなりやすい[12]
  • 有酸素運動:ウォーキングや自転車を週3回・20〜45分発作日が減ることが示されています[13]
  • カフェインはほどほど:同じ日に飲みすぎると誘発のきっかけに(個人差あり)。
  • 脂質の管理:スタチン+ビタミンD片頭痛が減ったという報告も。心血管の予防にも○[35]
まとめ:生活の整えだけでも発作の頻度と強さは下げられます。睡眠・運動・適量カフェイン・脂質管理を土台に、薬と並走しましょう。

遺伝と将来の脳の健康

遺伝:片頭痛は家族に多く、40〜60%ほど遺伝の影響があります。大規模研究でTRPM8LRP1など多くの関連遺伝子が見つかっています。まれにCACNA1Aなど単一遺伝子のタイプもあります[11]

将来の脳の健康:観察研究では、片頭痛の人は認知症リスクが少し高い(相対リスク1.2〜1.3程度)との報告があります[36]。一方で、血圧・脂質・血糖・禁煙・運動・睡眠の管理は認知症予防に有効脂質管理(スタチン等)とリスク低下の関連も報告されています[37][38]。片頭痛がある方こそ、発作のコントロール+生活習慣が近道です。

まとめ:片頭痛には遺伝的な素因があります。だからこそ、血圧・脂質・血糖・禁煙・運動・睡眠の徹底が将来の脳の健康につながります。

よくある質問(FAQ)

Q1.どんなときにすぐ受診したほうがいいですか?

A:突然の激痛、発熱・首のこわばり、けいれん、意識障害や麻痺、50歳以降の新規・進行性、がん・免疫不全・妊娠に伴う頭痛は救急を検討します。

Q2.MRI/CTは必要ですか?

A:典型的な片頭痛では必ずしも必要ありません。受診時の状態で必要性を判断します。

Q3.心臓病があるとトリプタンは使えますか?

A:冠攣縮や脳血管の病気などがある方には不向きです。代わりにラスミジタン(レイボー®)などを検討します(内服後8時間は運転不可[20]

Q4.抗CGRP抗体は誰に向いていますか?

A:飲み薬で効果が足りない副作用で続けられない禁忌がある場合に検討します。妊娠・授乳中は避けます[39]

Q5.抗CGRP抗体の費用はどれくらいですか?

A:自己負担3割1回あたり約13,000円前後が目安です(薬価の3割+注射/管理料の合計)。付加給付高額療養費でさらに軽くなる場合があります。最新の金額は受診時にご案内します。

Q6.薬を飲みすぎて頭痛になりますか?(薬剤乱用頭痛:MOH)

A:はい。市販鎮痛薬は月15日超、トリプタン/複合鎮痛薬/エルゴタミン/オピオイドは月10日超の使用で起こりやすくなります。対策は①説明と計画(使用頻度を基準内へ)、②中止または漸減、③予防薬の導入/最適化、④再発予防です[2]

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この記事の監修者

院長 大﨑 雅央(Masao Osaki)

吉祥寺おおさき内科・脳神経内科
日本神経学会 神経内科専門医/日本内科学会 総合内科専門医

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参考文献

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  • [1] Headache Classification Committee of the IHS. ICHD‑3. Cephalalgia. 2018. PubMed
  • [2] NICE Guideline CG150. Headaches in over 12s(最終更新 2025‑06‑03). Guideline
  • [3] Goadsby PJ, et al. Migraine. N Engl J Med. 2020. NEJM
  • [4] Safiri S, et al. Global burden of migraine 2019. J Headache Pain. 2022. PubMed
  • [5] Stovner LJ, et al. The global prevalence of headache(片頭痛 14%). J Headache Pain. 2022. PubMed
  • [6] Goadsby PJ, et al. Pathophysiology of Migraine. Physiol Rev. 2017. Journal
  • [7] Lipton RB, et al. Rimegepant for acute migraine. N Engl J Med. 2019. NEJM
  • [8] Dodick DW, et al. Ubrogepant for acute migraine. N Engl J Med. 2019. NEJM
  • [9] Ailani J, et al. Atogepant for preventive treatment of migraine. N Engl J Med. 2021. NEJM
  • [10] Ashina M, et al. Migraine. Nat Rev Dis Primers. 2022. Article
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