神経内科専門医・総合内科専門医が診療

脳梗塞・脳卒中の予防と早期発見

脳梗塞・脳卒中は、血圧・食事・運動の見直しと早めの検査が大切です。整えること・調べることを整理します。

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60秒でわかる 脳梗塞・脳卒中の予防と早期発見

  • 脳梗塞・脳卒中の多くは、血圧・脂質・血糖・喫煙・運動・食事の見直しで、なりにくくできます。特に血圧の管理が最も大きな柱です。
  • 「早期発見」とは、症状が出る前の段階で、無症状の危険因子や隠れた所見をMRI・採血・心電図などで見つけることです。
  • 今、突然の麻痺・ろれつ障害・強いめまいなど新しい症状があるときは、予防の話より先に救急相談を優先してください。
  • 当院ではこの「予防の確認」と「早期発見の検査」を、認知症・脳卒中ドックで行います。治療が必要な所見があれば、そのまま保険診療で継続します。

脳梗塞・脳卒中は、起きてから治すより、起こさないための準備がはるかに大切です。血圧・食事・運動といった毎日の積み重ねと、無症状のうちに危険因子や隠れた所見を見つける検査。この二つを組み合わせれば、将来のリスクは着実に下げられます。何から始めればよいか、一緒に整理しましょう。

院長・神経内科専門医 大﨑 雅央
WHO

予防が特に大切な人(未発症でも見直す理由)

結論高血圧・脂質異常症・糖尿病・喫煙・肥満・運動不足のいずれかがある方、家族に脳卒中の既往がある方、40歳以上でMRIを撮ったことがない方は、症状がなくても予防を始める意味が大きいです。

詳しく読む(未発症でも確認したい理由)

一次予防は「まだ起こしていない方」のための準備です

脳梗塞・脳卒中の一次予防は、まだ発症していない段階で危険因子を見つけ、生活習慣や治療方針を整える考え方です。再発予防は、脳梗塞や一過性脳虚血発作を起こした後に、病型に応じた薬とリスク管理を続ける二次予防です。

未発症の方では、血圧・脂質・血糖・心房細動・喫煙・運動・食事を一つずつ確認します。すでに脳梗塞やTIAを経験した方は、薬の継続や退院後フォローを含む再発予防ページで確認してください。

分類対象中心になること
一次予防脳梗塞・TIAをまだ起こしていない方血圧・脂質・血糖・心房細動・喫煙・運動・食事を確認します。
再発予防(二次予防)脳梗塞・TIAを起こしたことがある方病型に応じた薬を続け、血圧・LDL・血糖・心房細動を整えます。

症状がない時期ほど、見つけ方を決めやすい

急な症状がある時は救急対応が優先です。一方、症状がない時期は、健診結果、家庭血圧、脳と血管の画像、心電図を落ち着いて確認できます。

家族歴がある方、複数の生活習慣病がある方、40歳以降で一度も頭部MRI/MRAを受けたことがない方は、予防の優先順位を早めに整理しやすい層です。

まとめ一次予防は、起こってから慌てるのではなく、危険因子を見つけて優先順位を決めるための準備です。

RISK FACTORS

見直せる危険因子(血圧・脂質・血糖・喫煙・飲酒・肥満・運動)

結論特に重要なのは高血圧・脂質異常症・糖尿病・心房細動・喫煙・運動不足・食事です。INTERSTROKEで示された修正可能な危険因子を、一つずつ確認します。1

詳しく読む(見直せる危険因子)

高血圧・脂質・血糖は数値で確認します

高血圧は脳梗塞・脳出血の最大の単独危険因子です。INTERSTROKEでは高血圧の人口寄与危険度が47.9%と報告されています。1 血圧は後半の「血圧管理が最大の柱」で詳しく整理します。

脂質異常症ではLDLコレステロール、糖尿病ではHbA1cだけでなく血圧・脂質・腎機能をあわせて見ます。既往者の研究ではSPARCLやTreat Stroke to Targetが脂質管理の重要性を示しています。23

心房細動・喫煙・運動不足は見落としやすい

心房細動は自覚症状が乏しいことがあります。通常の心電図で見つかる場合もありますが、発作性の場合は長時間の記録で初めて分かることがあります。抗凝固療法の判断は脳梗塞リスクと出血リスクを踏まえて行います。4

喫煙はINTERSTROKEで人口寄与危険度18.9%と報告されています。運動不足も独立した危険因子で、身体活動が多い人では虚血性脳卒中リスクが低いことが報告されています。15

飲酒・肥満・水分も「全体のリスク」として見ます

過度の飲酒は脳卒中リスクと関係します。肥満は高血圧・糖尿病・睡眠時無呼吸などを通じて血管リスクを高めるため、体重だけでなく背景をあわせて確認します。67

水分については、特定の飲み物で脳梗塞を防ぐというより、脱水を避け、血圧・腎機能・内服薬の状況に合わせて無理のない量を続けることが大切です。

まとめ危険因子は一つだけでなく重なります。血圧・脂質・血糖・心房細動・喫煙・運動・食事をまとめて見ると、優先順位が決めやすくなります。

DIET

食事で脳梗塞・脳卒中を防ぐ(地中海食・DASH食・控えたい食品)

結論魚・野菜・果物・全粒穀物・豆・ナッツ・オリーブオイルを増やし、食塩・加工肉・甘い飲料を控えめにします。地中海食・DASH食・減塩が柱です。89

詳しく読む(食事の具体例)

増やしたい食品、控えめにしたい食品

「食べてはいけないもの」と考えるより、血圧・脂質・血糖に負担がかかりやすい食品を控えめにし、血管にやさしい食品を増やす考え方が現実的です。

地中海食は心血管イベントの減少と関連し、DASH食と減塩は血圧低下に関係します。まずは家庭で続けやすい形に置き換えます。89

増やしたい食品控えめにしたい食品続け方の例
魚、野菜、果物、全粒穀物、豆類、ナッツ、オリーブオイル食塩の多い加工食品、加工肉、甘い飲料、過度の飲酒主食を一部全粒にする、汁物を1日1回にする、甘い飲料を無糖に替える
減塩食品、香味野菜、酢、だし濃い味付け、麺類の汁、漬物の食べ過ぎ家庭血圧と体重を見ながら、完璧より継続を優先する

食事だけで完結させない

食事は重要ですが、血圧・脂質・糖尿病・心房細動の治療が必要な場合は、食事だけで置き換えないことが大切です。薬を使うかどうかは、検査値、年齢、合併症、既往歴を踏まえて判断します。

極端な糖質制限、自己判断のサプリメント、脱水を招くような制限は、かえって体調を崩すことがあります。健診結果や家庭血圧をもとに相談しましょう。

まとめ食事は「禁止」ではなく置き換えと継続が中心です。減塩、地中海食、DASH食を、家庭で続けられる形にします。

BLOOD PRESSURE

血圧管理が最大の柱

結論高血圧は脳梗塞・脳出血の最大の単独危険因子です。家庭血圧をもとに個別の目標を考え、続けやすい形で管理します。

詳しく読む(家庭血圧と管理の考え方)

家庭血圧を記録すると、治療の判断がしやすくなります

診察室だけでなく、自宅で朝・夜の血圧を記録すると、白衣高血圧や仮面高血圧を見分けやすくなります。高血圧はINTERSTROKEで最も大きな修正可能因子でした。1

SPRINTでは、より厳格な収縮期血圧管理により心血管イベントと全死亡が減少しました。目標値は年齢、腎機能、ふらつき、他の病気を踏まえて個別に決めます。1011

生活習慣と薬を対立させない

減塩、体重管理、運動、睡眠の見直しは血圧管理の土台です。一方、血圧が高い状態が続く場合は、薬で血圧を下げること自体が脳卒中リスクを下げる重要な手段になります。

高血圧・脂質異常症・糖尿病の治療を始めたい、または薬の調整を相談したい場合は、生活習慣病外来で継続的に確認します。

まとめ家庭血圧を記録し、無理なく続けられる生活習慣と薬物療法を組み合わせることが、予防の中心です。

EARLY DETECTION

早期発見の考え方(無症状のうちに見つける)

結論早期発見とは、症状が出る前に無症状の危険因子や隠れた所見を見つけることです。見つかれば、対処の優先順位がつきます。

詳しく読む(先回りして確認する考え方)

「脳梗塞を今すぐ診断する検査」とは分けて考えます

急な麻痺、ろれつ障害、視野異常、強いめまいなどがあるときは、予防やドックではなく救急相談が優先です。症状がある場合の検査・治療は、脳梗塞の症状・前兆で確認してください。迷う場合は救急相談窓口(#7119等)も選択肢です。

このページでいう早期発見は、症状がない段階で、高血圧、脂質異常、糖尿病、無症候性心房細動、無症候性脳梗塞、白質病変、脳微小出血、頸動脈狭窄などを確認することです。

隠れた所見は、将来リスクの目印になります

無症候性脳梗塞、白質病変、脳微小出血などは、将来の脳卒中や認知機能低下のリスクを考える手がかりになります。小血管病の所見は、血圧・脂質・血糖・喫煙などの背景リスクとあわせて判断します。12

画像所見だけで将来を100%予測することはできません。だからこそ、検査結果を生活習慣や治療の優先順位に落とし込むことが大切です。

まとめ早期発見は、不安を増やすためではなく、血圧・食事・運動・治療の優先順位を決めるために行います。

TESTS

何を調べる?(検査の種類とドックでできること)

結論予防・早期発見で確認するのは、血圧・血糖・脂質、心電図、頭部MRI/MRA、頸動脈MRAなどです。当院ではこれらを認知症・脳卒中ドックでまとめて確認します。

詳しく読む(検査の切り分け)

一般健診で押さえる項目

一般健診では、血圧、血糖・HbA1c、脂質、心電図などを確認します。動脈硬化の評価として、一般健診や他施設では頸動脈エコー・ABIが選択されることもあります。

ただし、当院の頸動脈評価はドック内の頸動脈MRAで行います。頸動脈エコーを当院ドックや外来の実施内容として案内していません。

当院ドックで確認できること

認知症・脳卒中ドックでは、3テスラMRI/MRA、頸動脈MRA(全コース)、リスク採血、認知機能、通常心電図を確認します。MRI/MRA・頸動脈MRAの内容は脳ドックの検査詳細で確認できます。

通常の心電図は全コースで行います。より詳しく確認する場合は、Advanced・Executiveコースで最長5日のホルター心電図を行い、無症候性心房細動を検出します。リスク採血、Advanced・Executiveコースのホルター心電図の詳細も、脳ドックページで確認できます。

検査何を調べる実施場所
血圧・家庭血圧高血圧、変動、治療の必要性一般健診・外来・自宅記録
血糖・HbA1c・脂質糖尿病、脂質異常症、動脈硬化リスク一般健診・外来・当院ドックのリスク採血
通常心電図持続している不整脈、心房細動の手がかり一般健診・当院ドック全コース
頭部MRI/MRA無症候性脳梗塞、白質病変、脳微小出血、脳血管の状態当院ドック
頸動脈MRA頸動脈の狭窄や血管の状態当院ドック全コース
ホルター心電図発作性・無症候性心房細動当院ドック Advanced・Executiveコース

脳ドックの検査詳細を見る

検査内容を詳しく見たい方は、脳ドックの検査内容を確認してください。

まとめ一般健診で見つける項目と、当院ドックでまとめて確認する項目を分けて考えると、受ける検査を選びやすくなります。

VISIT

ドックと外来の選び方

結論症状がなく脳と血管をまとめて確認したいならドックが入口です。すでに高血圧・脂質・糖尿病の治療をしたい方は生活習慣病外来が入口です。急な症状は救急です。

詳しく読む(入口の選び方)

ドックが向いている方

  • 症状はないが、脳と血管の状態を一度まとめて確認したい方。
  • 家族に脳梗塞・脳卒中の既往があり、早めに検査しておきたい方。
  • 血圧・脂質・血糖など複数のリスクがあり、画像・採血・心電図をあわせて見たい方。
  • 頸動脈をMRAで評価したい方。

生活習慣病外来が向いている方

  • すでに高血圧・脂質異常症・糖尿病の治療を始めたい方。
  • 健診で血圧・LDL・HbA1cを指摘され、保険診療で継続管理したい方。
  • 家庭血圧や採血結果をもとに、薬の必要性を相談したい方。

急な症状は救急が入口です

片側の麻痺・しびれ、ろれつ障害、顔のゆがみ、片目の見えにくさ、強いめまいなどが突然出た場合は、ドックや外来予約ではなく救急相談を優先してください。

当院では外来で頸動脈エコー・頸動脈評価を行っていないため、頸動脈評価はドック導線に分けて案内します。

まとめ未発症で全体確認ならドック、治療を始めたいなら生活習慣病外来、急な症状は救急と分けて考えます。

FAMILY HISTORY

家族に脳卒中・脳梗塞の既往がある方へ

結論第一度近親に脳卒中既往がある方はリスクがやや高くなります。多くは多遺伝子と生活習慣の組み合わせで、「早めに確認する」ことが対処になります。

詳しく読む(家族歴の考え方)

単一遺伝子疾患はまれです

若年発症や特殊な家族集積パターンを示す場合は、CADASIL、MELAS、ファブリー病など、まれな単一遺伝子疾患を考えることがあります。12

ただし多くの家族集積は、血圧・脂質・血糖の体質と、食事・運動・喫煙など家族内で共有される生活習慣の組み合わせで説明されます。

不安を断定に変えず、早めの確認に変える

「遺伝だから防げない」と考える必要はありません。家族歴は、家庭血圧、健診、必要に応じた脳と血管の検査を早めに考えるサインです。

特に家族の発症年齢が50歳未満だった場合、複数の親族に脳卒中がある場合、自分にも高血圧・脂質異常症・糖尿病がある場合は、早めに確認する意味が大きくなります。

まとめ家族歴は不安をあおるものではなく、早めに血圧・健診・画像を確認するきっかけとして扱います。

FAQ

脳梗塞・脳卒中の予防と検査のよくある質問

脳梗塞・脳卒中のリスクは下げられますか?

多くの脳梗塞・脳卒中は、血圧・脂質・血糖・喫煙・運動・食事などの危険因子を整えることで、将来リスクを下げることが期待できます。特に血圧管理が大きな柱です。

予防で最初に何をすればよいですか?

まず家庭血圧を測り、健診のLDLコレステロール、HbA1c、腎機能、心電図を確認します。そのうえで、減塩、運動、禁煙、必要に応じた薬物療法を考えます。

脳梗塞予防に良い食事・控えたい食品は?

魚・野菜・果物・全粒穀物・豆類・ナッツ・オリーブオイルを増やし、食塩、加工肉、甘い飲料、過度の飲酒を控えめにする考え方が基本です。地中海食やDASH食、減塩を続けやすい形にします。

予防のための検査は何を受ければよいですか?

一般健診では血圧、血糖・HbA1c、脂質、心電図を確認します。脳と血管をまとめて確認したい場合は、頭部MRI/MRA、頸動脈MRA、採血、心電図などを組み合わせた脳ドックが選択肢になります。

頸動脈エコーを受けたいのですが、当院ではどう確認しますか?

当院では頸動脈をMRAで評価します。頸動脈エコーを当院ドックや外来の実施内容として案内していません。頸動脈評価を希望される方は、認知症・脳卒中ドックで頸動脈MRAを確認します。

無症状でも脳ドックを受ける意味はありますか?

無症状のうちに、高血圧などの危険因子や、無症候性脳梗塞、白質病変、脳微小出血、頸動脈狭窄などを確認できる場合があります。検査だけで将来を100%予測するものではなく、対処の優先順位を決めるために使います。

心房細動が心配です。どう調べますか?

通常心電図は当院ドック全コースで行います。発作性・無症候性心房細動をより詳しく確認する場合は、Advanced・Executiveコースで最長5日のホルター心電図を行います。

予防薬は市販で買えますか?

自己判断で抗血小板薬やサプリメントを始めることはおすすめしません。降圧薬、脂質低下薬、糖尿病薬、抗凝固薬などは、検査値やリスク、出血リスクを踏まえて医師が判断します。

何歳から予防を始めればよいですか?

高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、家族歴がある方は年齢を問わず早めに見直す意味があります。目安として40代以降は健診結果と家庭血圧を確認し、必要に応じて脳ドックを検討します。

家族に脳卒中の人がいます。遺伝しますか?

まれな単一遺伝子疾患を除き、多くは多遺伝子と生活習慣の組み合わせです。家族歴がある場合は、防げないと決めつけず、血圧・脂質・血糖・喫煙・運動・食事を早めに確認することが大切です。

運動はどのくらいすればよいですか?

一般的には週150分程度の中強度有酸素運動が目安です。早歩き、サイクリング、水泳など、息が少し弾む程度で続けられる形から始めます。持病や痛みがある場合は無理をせず相談してください。

予防と再発予防は違いますか?

はい。予防はまだ脳梗塞・TIAを起こしていない方の一次予防、再発予防はすでに起こした方の二次予防です。既往がある方は、病型に応じた薬の継続と外来フォローが特に重要です。

REFERENCES

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参考文献を表示
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