【吉祥寺徒歩1分】武蔵野市・三鷹市・杉並区の脳卒中・脳血管障害|神経内科専門医が診療

脳卒中(脳血管障害)は、脳の血管が詰まったり(脳梗塞)、破れたり(脳出血・くも膜下出血)することで起こる病気の総称です。
日本では死亡原因・要介護の原因として上位を占めており、発症直後の「時間との勝負」と、退院後の再発予防の管理がとても重要です。

吉祥寺おおさき内科・脳神経内科(吉祥寺駅南口徒歩1分)では、神経内科専門医/総合内科専門医の院長が、めまい・しびれ・ろれつ障害・力が入りにくいなどの症状が脳卒中によるものかどうかを丁寧に評価します。
必要に応じて頭部MRI・血液検査・ホルター心電図などを組み合わせ、脳梗塞・一過性脳虚血発作(TIA)・内頚動脈狭窄症・慢性虚血性変化などを系統的に確認します。

急性期のt-PA静注療法や血栓回収療法・脳出血/くも膜下出血の外科的治療が必要と判断される場合には、時間を争って近隣の基幹病院と連携し、当院は主に「早期の見極め」と「再発予防・フォローアップ」を担います。

詳しい専門的な内容は、 脳梗塞のページ一過性脳虚血発作(TIA)のページ慢性虚血性変化のページ でより詳しく解説しています。

目次

要点サマリー(このページで分かること)

  • 「顔がゆがむ・手足が動きにくい・ろれつが回らない」など、脳卒中が疑われるサインと、救急車を呼ぶ目安が分かります。
  • 脳梗塞・一過性脳虚血発作(TIA)・脳出血・くも膜下出血・内頚動脈狭窄症・慢性虚血性変化といった代表的な脳血管障害の違いを整理できます。
  • MRI・CT・頚動脈エコー・血液検査・心電図など、脳卒中が疑われたときの検査の流れと、急性期治療(t‑PA・血栓回収)からリハビリ・再発予防までのイメージがつかめます。
  • 吉祥寺おおさき内科・脳神経内科で行っている検査・治療・基幹病院との連携について、実際の診療のイメージを持っていただけます。
脳卒中診療の全体像 典型的な症状に気づくところから、救急受診、急性期治療、再発予防・生活習慣の見直しまでの流れを示した模式図です。 「症状に気づく」から「再発予防」までの流れ 顔のゆがみ・手足の麻痺 ろれつが回らない など 「おかしい」と感じたら すぐに相談・受診 救急搬送・画像検査 (CT/MRI・血管評価) t‑PA・血栓回収 外科的治療の検討 リハビリテーション 後遺症へのサポート 生活動作・飲み込み お薬の調整 血圧・血糖・脂質 不整脈の管理 内服薬の継続 定期フォロー
まとめると: このページでは「脳卒中の危険なサイン」→「救急・急性期治療」→「リハビリ・後遺症ケア」→「再発予防と生活習慣」までを、 ひととおり俯瞰していただけます。

脳卒中とは?(脳血管障害の総称)

脳卒中は、医学的には「脳血管障害」と呼ばれ、脳の血管に異常が生じて発症する病気の総称です。
大きく分けると、次の3つが代表的です。

  • 脳梗塞:脳の血管が血栓などで詰まってしまうタイプ(虚血性脳卒中)
  • 脳出血:脳内の細い血管が破れて脳の中に血がたまるタイプ
  • くも膜下出血:脳動脈瘤などが破れて、脳の表面のくも膜下腔に出血するタイプ

主な原因は、高血圧・動脈硬化・糖尿病・脂質異常症・心房細動(心臓の不整脈)・喫煙などで、
血管が狭くなる(内頚動脈狭窄症など)詰まる(脳梗塞)破れる(脳出血・くも膜下出血)ことで、脳への血流が妨げられます。

一度ダメージを受けて壊死してしまった脳細胞は元に戻らないため、「いかに早く血流を回復させるか」「どれだけ大きな発作を予防できるか」が鍵になります。

まとめると:脳卒中は脳の血管のトラブルが原因で起こる病気の総称で、早期対応と再発予防が何より大切です。

こんな症状は要注意(FASTチェックと受診のきっかけ)

「少し様子を見てから」と考えているうちに、脳卒中はあっという間に進行してしまうことがあります。
特に、次のような症状が突然出た場合は、脳卒中のサインとして要注意です。

チェック項目 具体的な症状の例 ポイント
顔(Face) 鏡を見ると口角が片側だけ下がっている/写真に写ると顔が左右非対称になっていると言われる。 家族に「笑ってみて」と言って、口角の高さが違わないか確認します。
腕(Arm) 片方の腕に力が入らない/持っている物をよく落とす/足がもつれて歩きにくい・階段が上がれない。 両腕を前に伸ばして目を閉じたとき、片側だけ下がってこないか確認します。
ことば(Speech) ろれつが回らない/言葉が出てこない/聞いている言葉が理解しづらいと感じる。 簡単な言葉(例:「今日は何月何日ですか?」)を話してもらい、聞き取りにくさがないか見ます。
時間(Time) これらの症状が急に出た、あるいは何時ごろから出たか分かる 症状が出た時刻(または最後に元気だった時刻)をメモして、救急隊へ伝えることが大切です。

これらの症状は痛みを伴わないことも多いため、「疲れかな」「寝不足かな」と見過ごされがちです。
しかし、数時間のうちにt‑PA静注療法や血栓回収療法ができるかどうかで、その後の後遺症が大きく変わることが知られています。
少しでも「おかしい」「いつもと違う」と感じたら、ご自身で運転せず、救急相談や受診をご検討ください。

まとめると:片側の麻痺・顔のゆがみ・ことばの異常は、痛くなくても脳卒中のサインです。「様子を見る」よりも、「まず相談する」ことが重要です。

救急受診の目安(脳卒中が疑われるとき)

次のような症状がある場合は、当院のWEB予約ではなく119番または#7119(救急相談センター)に相談し、指示に従って救急医療機関の受診をご検討ください。

直ちに救急車を呼ぶことを考えていただきたいサイン

  • 片側の手足や顔に突然の麻痺・しびれが出た(だんだんではなく、急に
  • ろれつが回らない・言葉が出ない・人の言うことが理解しづらいと急に感じた
  • 片目が急に見えなくなった/視野の半分が真っ黒になるなどの急激な視力障害が出た
  • 急に立てない・歩けないほどのふらつき・バランス障害が出た
  • 今まで経験したことのない突然の激しい頭痛が出て、意識もうろう・吐き気・けいれんを伴う(くも膜下出血などが疑われます)
  • 妊娠中・産後・心房細動と診断されている方で、このような症状が出た

これらはすべて、ご自身で様子を見るべきではない症状です。迷った場合は、119番または#7119で電話相談し、救急受診の要否を確認してください。

緊急度 症状の例 受診の目安
超緊急 片側の麻痺・しびれ/顔のゆがみ/ろれつ障害/急な視力障害/突然の激しい頭痛+意識障害や嘔吐 など ためらわず119番または#7119に連絡し、救急搬送を含めた対応が必要です。
緊急 数時間〜1日のうちに徐々に悪化する手足の脱力・しびれ/ふらつき・物が二重に見える など 当日中に救急外来または脳神経内科での評価が望ましい状況です。
準緊急 過去に脳卒中の既往があり、最近ふらつき・もの忘れ・歩きにくさが目立つようになってきた など 数日以内に脳神経内科やかかりつけ医を受診し、再発や慢性変化が進んでいないか確認します。

※ここに挙げた症状以外でも、「明らかにいつもと違う」「急におかしくなった」と感じる場合は、早めの医療機関受診をおすすめいたします。

脳卒中の種類(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)

脳卒中は、原因や起こり方によっていくつかのタイプに分けられ、それぞれ治療や再発予防の方法が異なります。大きく見ると次の3つです。

種類 イメージ 主な原因・特徴
脳梗塞
(虚血性脳卒中)
脳の血管が血の塊(血栓)などで詰まってしまうタイプ。
  • 高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙・心房細動などが背景にあることが多い
  • 発症から数時間以内の治療が後遺症の重さを左右します
  • 詰まった血管の太さや場所により、症状も予後も大きく変わります
脳出血 脳の中の血管が破れて、脳の中に血がたまるタイプ。
  • 長年の高血圧が最大の危険因子です
  • 突然の頭痛・麻痺・意識障害などで発症することが多い
  • 血のかたまり(血腫)の大きさ・部位により、手術が検討されます
くも膜下出血 脳の表面にできた動脈瘤(こぶ)が破れて、くも膜の下に出血するタイプ。
  • 「バットで殴られたような」突然の激しい頭痛が典型的です
  • 意識障害・嘔吐・けいれんなどを伴うことがあります
  • 開頭クリッピング術・コイル塞栓術など、脳神経外科での治療が中心です
まとめると:「血管が詰まる」タイプが脳梗塞、「破れる」タイプが脳出血・くも膜下出血です。どのタイプかを早く見極めることが、適切な治療につながります。

脳梗塞とは?(虚血性脳卒中)

脳梗塞は、脳の血管が詰まって血液が流れなくなり、その先の脳細胞が酸素不足で壊死してしまう状態です。
一度壊死した脳細胞は元には戻らないため、早期発見・早期治療が極めて重要です。

脳梗塞の主なタイプ

タイプ 主な原因 特徴・リスク
ラクナ梗塞 長年の高血圧などで、脳の中の細い血管が傷み、狭くなって詰まる。
  • 比較的小さな梗塞で、めまい・しびれなど軽い症状のこともあります
  • 一見軽そうでも、再発を繰り返すと歩行障害や認知症様の症状につながることがあります
アテローム血栓性梗塞 頸動脈や脳の太い血管の動脈硬化(プラーク)が進み、血栓ができて詰まる。
  • 高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙などが主な危険因子です
  • 比較的広い範囲の脳梗塞となり、片麻痺・言語障害などが強く出ることがあります
  • 内頚動脈狭窄症が背景にあることも多く、エコー検査などで評価します
心原性脳塞栓症 心房細動などの不整脈や心臓病で作られた血栓が、血流に乗って脳の血管を詰まらせる。
  • 突然発症し、広範囲の脳梗塞を起こしやすく、重症になりやすいタイプです
  • 再発予防には、血をサラサラにする飲み薬(抗凝固薬)が非常に重要です

脳梗塞が疑われたときの検査

  • 頭部MRI・CT:脳のどの部位がどの程度ダメージを受けているかを確認します。
  • 頚動脈超音波検査:首の血管(頚動脈)の動脈硬化・狭窄の有無を調べます。
  • 心電図・心エコー:心房細動や心臓内血栓の有無を確認し、心原性かどうかを評価します。

脳梗塞の治療のイメージ

  • 発症から4.5時間以内が目安のt‑PA静注療法(血栓を溶かす薬)
  • 大きな血管が詰まった場合に行われる、カテーテルによる血栓回収療法
  • 急性期を過ぎたあとの抗血小板薬・抗凝固薬・血圧/糖尿病/脂質のコントロール
  • リハビリテーション(理学療法・作業療法・言語療法)による機能回復と生活動作の再獲得

より詳しい脳梗塞のメカニズムや、薬・リハビリ・再発予防の内容は、脳梗塞のページで図を用いて解説しています。

▶ 脳梗塞の詳しい解説・治療の選択肢はこちら

一過性脳虚血発作(TIA)とは?

一過性脳虚血発作(TIA:Transient Ischemic Attack)は、脳梗塞とよく似た症状が一時的に出現し、自然に改善してしまう状態です。
「治ったから大丈夫」と思いがちですが、感じた症状自体は脳梗塞と同じであり、警報(アラーム)の役割を持ちます。

どんな症状?
  • 片側の手足のしびれ・脱力
  • ろれつが回りにくい・言葉が出てこない
  • 片目が一時的に見えなくなる(一過性黒内障)
  • ふらつき・二重に見える など
これらが数分〜数十分程度で完全に改善してしまうのが特徴です。
なぜ危険?
  • TIAのあと数日〜数週間以内に本格的な脳梗塞を起こすリスクが高いことが分かっています。
  • 逆に言えば、TIAの段階で原因を見つけて治療を始めれば、大きな発作を防げる可能性があります。
どうしたらいい?
  • 症状が治っていても受診・精査が必要です(特に24時間以内)。
  • 脳梗塞と同様に、MRI・血管の評価・頚動脈エコー・心電図などで原因を探ります。
  • 原因に応じて、抗血小板薬・抗凝固薬・血圧/糖尿病/脂質の管理・頚動脈治療などで再発予防を行います。

TIAは「一度きりだったから大丈夫」と自己判断せず、できるだけ早く脳神経内科を受診することが大切です。

▶ 一過性脳虚血発作(TIA)の詳しい解説はこちら

脳出血とは?

脳出血は、脳の中の細い血管が破れて、脳内に出血(血のかたまり=血腫)が生じる病気です。
主な原因は長年にわたる高血圧で、そのほか動脈瘤・血管奇形・アミロイドアンギオパチーなどが関わることもあります。

主な症状

  • 突然の強い頭痛
  • 片側の手足の麻痺・しびれ
  • ろれつが回らない・意識がもうろうとする
  • 吐き気・嘔吐
  • 重症の場合は、昏睡状態・けいれん など

治療のイメージ

手術療法

血腫が大きい場合や脳の深い部分を圧迫している場合などには、血腫を除去して脳の圧力を下げる手術が行われます。

薬物療法

高血圧に対しては降圧薬を慎重に用い、止血薬・脳の腫れを抑える薬(抗浮腫薬)などを組み合わせて、状態を安定させます。

リハビリテーション

症状が落ち着いた段階から、手足の動き・ことば・飲み込みなどのリハビリテーションを行い、できる限り機能を回復させていきます。

まとめると:脳出血は高血圧との関連が非常に強い病気です。血圧のコントロールが、最大の予防といっても過言ではありません。

くも膜下出血とは?

くも膜下出血は、脳の表面にある動脈瘤(血管のこぶ)が破れて、脳とくも膜の間に出血が広がる病気です。
発症すると重症となることが多く、迅速な診断と治療が求められます。

主な症状

  • 突然の、経験したことのないような激しい頭痛(雷に打たれたよう・バットで殴られたよう など)
  • 吐き気・嘔吐
  • 意識がもうろうとする・倒れてしまう
  • 手足の麻痺・言語障害・けいれん などを伴うこともあります

治療法

  • クリッピング術:開頭して脳動脈瘤の「根元」を金属クリップではさみ、再び出血しないようにする手術です。
  • コイル塞栓術:足の付け根などからカテーテルを入れ、動脈瘤の中にコイルを詰めて血流を遮断する治療です。

いずれの治療も脳神経外科を有する基幹病院での対応が必要であり、当院では疑い例に対し速やかな連携・紹介を行います。

内頚動脈狭窄症と頸動脈病変

内頚動脈狭窄症は、首の両側にある内頚動脈の内側に動脈硬化(プラーク)がたまり、血管が狭くなった状態です。
内頚動脈は、脳に血液を送る重要な血管であり、狭窄が進むと脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)のリスクが高まります。

特に狭窄率が70%以上と高度になると、脳卒中のリスクが大きく増加することが知られており、早期の診断と治療が重要です。

どんな症状がある?

初期段階では無症状のことも多いですが、狭窄が進むと次のような症状が出ることがあります。

  • 片側の手足のしびれ・脱力
  • 片目が一時的に見えなくなる(一過性黒内障)
  • 言葉が出にくい・話しにくい など

治療方法

1. 生活習慣の改善

  • 禁煙:喫煙は動脈硬化を強く進めるため、禁煙が必須です。
  • 適度な運動:ウォーキングなど無理のない有酸素運動が推奨されます。
  • バランスの取れた食事:塩分・脂質を控えた食事を心がけます。

2. 薬物療法

軽度〜中等度の狭窄では、薬物療法が基本となります。

  • 抗血小板薬:血液を固まりにくくし、血栓による詰まりを防ぎます。
  • スタチン:LDLコレステロールを下げ、動脈硬化の進行を抑えます。
  • 血圧や糖尿病・脂質異常症のコントロール薬も重要です。

3. 外科・カテーテル治療

  • 頚動脈内膜剥離術(CEA):頚部の内頚動脈を直接開き、プラークを除去する手術です。
  • 頚動脈ステント留置術(CAS):カテーテルを使い、狭い部分にステント(金属製の網状チューブ)を留置して血管を広げます。

当院での対応

当院では、頚動脈超音波検査による内頚動脈狭窄症の評価を行い、狭窄の程度や全身状態に応じて、薬物療法による管理や、CEA/CASを行える基幹病院への紹介を行っています。
「一度しっかり頚動脈の状態を確認したい」という段階でも、お気軽にご相談ください。

慢性虚血性変化と「小さな脳梗塞」

慢性虚血性変化とは、長年にわたり少しずつ脳への血流が不足し、脳の白質に小さなダメージが蓄積した状態を指します。
頭部MRIでは、白く散らばる小さな病変として見つかることが多く、「小さな脳梗塞」や「無症候性脳梗塞」と呼ばれることもあります。

主な要因は次のようなものです。

  • 動脈硬化:高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙など
  • 加齢:加齢に伴う血管の硬化・血流の低下
  • 生活習慣病:長期間の血圧・血糖・脂質のコントロール不良

どんな症状が出る?

初期にはほとんど症状がないこともありますが、変化が進むと次のような症状が現れることがあります。

  • 歩行障害:歩きにくさ・ふらつき・小刻み歩行など
  • 尿失禁:トイレが間に合わない・我慢できない
  • 認知機能の低下:物忘れ・判断力の低下・段取りが苦手になる など

こうした症状が複数重なる場合、アルツハイマー型認知症など他の認知症との鑑別が必要になることがあります。
頭部MRIや脳血流検査などを組み合わせて、総合的に評価していきます。

治療・対策

慢性虚血性変化そのものを元に戻すことは難しいですが、進行をできるだけ遅らせることは可能です。

1. 薬物療法

  • 降圧薬:血圧を適切な範囲に保ち、血管への負担を軽くします。
  • スタチン:LDLコレステロールを下げ、動脈硬化の進行を抑えます。
  • 必要に応じて、抗血小板薬などを用いて再発予防を行います。

2. 生活習慣の改善

  • 食事:塩分・脂質を控え、野菜や魚を積極的に取り入れる食事
  • 運動:ウォーキングや軽い体操など、継続しやすい運動を習慣にする
  • 禁煙:血管の健康を守るうえで非常に重要です

当院での対応

当院では、頭部MRIを含めた検査結果をもとに、高血圧・糖尿病・脂質異常症・心房細動などのリスク因子を総合的に管理し、
これ以上悪くさせない」ことを目標に、薬物療法と生活習慣の両面からサポートしています。
「最近、歩くのが億劫」「物忘れが増えた気がする」といった小さな変化も、遠慮なくご相談ください。

▶ 慢性虚血性変化の詳しい解説はこちら

脳卒中が疑われたときの検査

脳卒中が疑われる場合、「脳のどこに、どの程度のダメージがあるのか」「原因は何か」を調べるために、いくつかの検査を組み合わせます。

検査 目的 当院での対応
頭部CT 短時間で撮影でき、脳出血・くも膜下出血の有無を早く評価できます。 急性期は救急医療機関での撮影が中心となりますが、必要に応じて当院から撮影を依頼します。
頭部MRI 脳梗塞の早期変化・慢性虚血性変化・小さな出血などを詳しく評価できます。 近隣の画像診断センター・基幹病院と連携し、外来から速やかに撮影を手配し、結果を当院で一緒に確認します。
MRA/CTA(血管画像) 脳や頚部の血管の狭窄・閉塞・動脈瘤などを評価します。 必要な症例では、撮影可能な施設へ紹介し、結果を共有しながら治療方針を決定します。
頚動脈超音波検査 内頚動脈の動脈硬化・プラーク・狭窄の程度をリアルタイムで評価します。 狭窄率やプラーク性状をもとに、薬物療法・外科治療の必要性を検討します。
ホルター心電図 心房細動などの不整脈の有無を確認します。 当院でホルター心電図を実施し、必要に応じて循環器科への紹介を行います。
心エコー 心臓内の血栓や弁膜症など、心原性脳塞栓症の原因となる病変を評価します。 検査が可能な連携病院へ紹介し、結果を踏まえて抗凝固療法などの方針を決定します。
血液検査 貧血・炎症・糖尿病・脂質異常症・凝固異常など、危険因子や基礎疾患を確認します。 当院で実施し、長期的なコントロール計画を立てます。

急性期治療とリハビリテーション

脳卒中の治療は、大きく「急性期治療」「回復期〜慢性期(リハビリ・再発予防)」に分けられます。

急性期治療(発症直後〜数日)

  • t‑PA静注療法:発症から4.5時間以内を目安に、血栓を溶かす薬を点滴で投与する治療です。
  • 血栓回収療法:足の付け根などからカテーテルを入れ、脳の大きな血管に詰まった血栓を直接回収する治療です。
  • 外科的治療:脳出血やくも膜下出血では、血腫除去や動脈瘤クリッピング/コイル塞栓術などが検討されます。
  • 全身管理:血圧・血糖・体温・呼吸状態などを集中管理し、合併症を防ぎます。

これらの治療は、救急体制の整った基幹病院で行われる治療であり、当院では疑い例をできるだけ早くこうした医療機関につなぐ役割を担っています。

リハビリテーションと回復期

  • 理学療法:立つ・歩く・バランスを取るといった基本動作の回復を目指します。
  • 作業療法:着替え・家事・仕事など、日常生活動作の練習を行います。
  • 言語療法:ことばの障害(失語症)や飲み込みの障害(嚥下障害)に対する訓練を行います。

退院後は、かかりつけ医・脳神経内科医・リハビリ施設が連携しながら、再発予防と生活の質の維持を目標としてフォローしていきます。

再発予防と生活習慣

一度脳卒中を起こされた方は、何もしていないと再発のリスクが高いことが知られています。
しかし、適切な薬物療法と生活習慣の見直しにより、そのリスクを大きく減らせることも分かっています。

薬物療法

  • 抗血小板薬:アスピリン・クロピドグレルなど、血栓ができにくくなる薬を継続します。
  • 抗凝固薬:心房細動など心原性脳塞栓症のリスクがある場合に用いられる、血をさらさらにする薬です。
  • 降圧薬:血圧を適切な範囲に保つことで、脳梗塞・脳出血ともに再発リスクを下げます。
  • スタチン:LDLコレステロールを下げ、動脈硬化の進行を抑えます。
  • 糖尿病治療薬・SGLT2阻害薬なども含め、全身の血管を守る治療を総合的に組み立てます。

生活習慣のポイント

  • 禁煙:たばこは血管にとって最大級のリスクです。禁煙外来の活用も検討しましょう。
  • 食事:減塩(1日6g未満を目標に)・適度なエネルギー量・野菜・魚・オリーブオイルなどを意識します。
  • 運動:医師と相談しつつ、週に合計150分程度の軽〜中等度の有酸素運動を目標にします。
  • 睡眠:睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合、簡易検査・CPAP治療を通じて血圧・脳への負担を減らします。
  • 飲酒:適量を守り、飲み過ぎ・一気飲みは避けるようにします。
まとめると:再発予防は「薬を飲むこと」+「生活を少しずつ整えること」の両輪です。無理のない範囲で続けられる方法を、一緒に考えていきましょう。

当院でできる検査・治療・連携

「脳卒中が心配だけれど、どこまで検査できるのか?」「退院後のかかりつけをどこにするか迷っている」といった不安にお答えできるよう、
当院で行っている主な検査・治療・連携体制をまとめました。

検査・治療 内容 当院での具体的な役割
問診と神経学的診察 症状の出方・持続時間・誘因などを丁寧に伺い、脳卒中かどうか・どのタイプが疑われるかを整理します。 神経内科専門医が、急性期の救急が必要かどうかも含めて判断し、必要な場合は速やかに紹介します。
血液検査・心電図 高血圧・糖尿病・脂質異常症・心房細動などの危険因子や、内服薬の影響を確認します。 検査結果にもとづいて、お薬の調整・追加や、生活習慣の具体的なアドバイスを行います。
頭部MRI・MRA(提携医療機関) 脳梗塞・慢性虚血性変化・小さな出血・動脈瘤などを詳細に評価します。 近隣の画像診断施設で撮影後、画像を当院で一緒に確認し、その後の方針(薬・生活・追加検査)を相談します。
睡眠簡易検査(睡眠時無呼吸) 朝の頭痛・いびき・日中の眠気がある方に対し、当院での検査を手配し在宅で睡眠時無呼吸の有無・重症度を評価します。 必要に応じてCPAP治療を導入し、血圧や脳卒中リスクの低減を目指します。
退院後の再発予防・内服管理 抗血小板薬・抗凝固薬・降圧薬・スタチンなどを適切に組み合わせ、再発予防を行います。 患者さんの生活スタイルや他の病気も踏まえ、続けやすい治療計画を一緒に考えます。
基幹病院・専門科との連携 急性期治療が必要な場合、あるいは頚動脈手術・心エコー・リハビリ入院などが必要な場合に、適切な医療機関をご紹介します。 紹介状や検査結果を共有し、治療後のフォローアップを当院で継続できるように調整します。

受診をお考えの方へ

このページをご覧になって、「自分や家族の症状が脳卒中に当てはまるのではないか」「退院後のフォローを相談したい」「将来の脳卒中リスクが不安」と感じられた方は、お一人で抱え込まず、どうぞ一度ご相談ください。
吉祥寺駅南口から徒歩1分の当院で、脳神経内科専門医/総合内科専門医が現在の状態を丁寧に評価し、急性期治療が必要かどうかの見極めや、再発予防・生活習慣の整え方について分かりやすくご説明いたします。

「まずは話だけ聞きたい」「検査が必要かどうかを知りたい」といったご相談も歓迎です。

当院には、武蔵野市・三鷹市・杉並区だけでなく、調布市・小金井市・練馬区・世田谷区・中野区、その他都外などからも、脳卒中やその予防を目的とした多くの患者さんが受診されています。

よくあるご質問(FAQ)

Q1. 「脳卒中かな?」と思ったら、まずどうすればよいですか?

片側の麻痺・顔のゆがみ・ろれつが回らない・急な視力障害などが突然出た場合は、脳梗塞などの可能性が高く、時間との勝負になります。
ご自身で様子を見たり、車を運転して受診するのではなく、119番または#7119(救急相談センター)に連絡して指示を仰いでください。

一方で、「症状は治まったが、同じようなことが今後起きないか心配」という場合でも、一過性脳虚血発作(TIA)の可能性がありますので、できるだけ早く脳神経内科を受診することをおすすめします。

Q2. どの段階から脳神経内科(神経内科)を受診すればよいですか?

「急性期の救急治療(t‑PAや血栓回収など)」は主に救急専門病院・脳卒中センターの役割ですが、
「脳卒中かどうかの見極め」「退院後の再発予防・生活習慣の管理」は、脳神経内科の得意分野です。

当院では、脳卒中が疑われる症状での初診から、入院治療後のかかりつけとしての長期フォローまで、一貫して診療しています。
どのタイミングでも遠慮なくご相談ください。

Q3. 脳卒中が心配な場合、全員がMRIやCTを撮った方がよいのでしょうか?

すべての方に画像検査が必要というわけではありませんが、症状の内容・年齢・危険因子によってはMRI/CTが強く推奨されます。
例えば、50歳以降の初めての神経症状・TIAを疑う症状・以前と明らかに違う頭痛やふらつきなどでは、画像検査での評価をおすすめします。

当院では、撮影の必要性・タイミング・費用なども含めてご説明したうえで、近隣施設での撮影を手配し、結果を一緒に確認します。

Q4. 一過性脳虚血発作(TIA)は、なぜ「脳梗塞の前触れ」と言われるのですか?

TIAは、脳梗塞と同じような症状が一時的に出て、自然に改善するため、「治ったから大丈夫」と思われがちです。
しかし、実際には脳の血管が詰まりかけている状態であることが多く、その後数日〜数週間以内に本格的な脳梗塞を起こすリスクが高いことが分かっています。

逆に言えば、TIAの段階で受診し、原因(頚動脈狭窄・心房細動など)に応じた治療を始めれば、大きな発作を防げる可能性があります。
「一度だけだから」と安心せず、早めにご相談ください。

Q5. 脳卒中を一度起こしていても、仕事や趣味を続けることはできますか?

後遺症の程度やお仕事の内容によって差はありますが、適切なリハビリと再発予防によって、仕事や趣味に復帰される方も多くいらっしゃいます。
重要なのは、無理をせず、安全に続けられる範囲を一緒に見つけていくことです。

当院では、復職・復学のタイミングや、自動車運転の可否なども含め、患者さんとご家族のご希望を伺いながら、
リハビリ施設・職場産業医とも連携してサポートしていきます。

Q6. 血圧が高めですが、薬を飲み始めるタイミングが分かりません。

高血圧は、脳梗塞・脳出血・心筋梗塞・腎臓病などの大きな危険因子です。
家庭血圧で135/85mmHg以上が続く場合には、生活習慣の見直しとともに、薬物療法を検討することが一般的です。

ただし、年齢・腎臓や心臓の状態・すでにある脳の変化(慢性虚血性変化など)により、目標値や薬の選び方は変わります。
当院では、血圧手帳・家庭血圧計のデータも参考にしながら、一人ひとりに合った治療を一緒に考えていきます。

Q7. 退院後の薬が多くて不安です。減らすことはできますか?

脳卒中後は、再発予防の観点から複数の薬が処方されることが多く、飲み合わせや副作用が心配になる方も少なくありません。
大切なのは、「必要な薬はしっかり続けつつ、無理のない範囲に整理していく」ことです。

当院では、他院で処方された薬も含めて一覧を確認し、

  • どの薬が何のために処方されているか
  • 今も必要な薬かどうか
  • 減量・中止を検討できる薬はないか

を一緒に整理していきます。薬手帳やお薬の現物をお持ちいただければ、より丁寧に確認が可能です。

大﨑 雅央 院長の写真

この記事の監修者

院長 大﨑 雅央(Masao Osaki)

吉祥寺おおさき内科・脳神経内科
日本神経学会 神経内科専門医/日本内科学会 総合内科専門医

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