【専門医監修】閃輝暗点とは?|視界がキラキラするときの原因・危険サイン・治療

「視界がギザギザ・キラキラして不安…」という方へ。
閃輝暗点(せんきあんてん)は、視界にジグザグした光キラキラじわじわ広がる片頭痛の視覚の前兆です。
多くは5〜60分以内に自然におさまり、完全に回復します [1]

ほとんどの場合、閃輝暗点そのものは命にかかわる病気ではなく、時間がたてば元通りになります。
「毎回同じパターンで、短時間でおさまる」タイプの方は、生活の工夫やお薬の使い方を整えることで、 大きな支障なく付き合っていくことができます。

一方で、初めての発作これまでと明らかに違う症状のときには、 念のため医療機関で確認したほうが安心です。

「自分の症状が当てはまるか不安」「まずは専門医に相談したい」という方は、
吉祥寺駅徒歩1分吉祥寺おおさき内科・脳神経内科へご相談ください。

もう少し詳しい説明を見る

閃輝暗点は、片頭痛の「前兆(オーラ)」のなかでも最も多いタイプです。
ICHD‑3(国際頭痛分類第3版)では、5分以上かけて広がる視覚症状で、 5〜60分以内に完全に回復することなどが診断基準とされています [1]

現在の理解では、目そのものではなく後頭葉の視覚野で起こる「一時的な電気活動の波」 (皮質拡延性抑制:cortical spreading depression)が原因と考えられています [2]

前兆のあとに続く片頭痛の頭痛は、三叉神経系や血管・炎症の変化が関与しているとされ、 前兆と頭痛は同じ病気の中の少し違うフェーズとイメージしていただくと分かりやすいかもしれません [3]

要点サマリー(このページで分かること)

  • 閃輝暗点とは何か(片頭痛との関係や、脳の中で何が起きているのか)をおおまかに把握できます。
  • どんなときにすぐ受診が必要か危険なサインと受診先の目安を整理できます。
  • 発作記録ノートやセルフチェックを使って、再発予防や受診時の説明に役立てるイメージがつきます。
  • 発作が起きたときの対処法と、スマホ・睡眠・カフェインなど生活習慣で気をつけたいポイントを確認できます。
このページで分かることの全体像 視界の異常に気づいたときに、危険なサインを見分け、受診先を選び、検査・治療・生活の工夫につなげていく流れを模式的に示した図です。 「視界の異常」から「検査・治療・生活の工夫」までの流れ 気になる見え方 (ギザギザ・キラキラ 視野の欠け・片眼の暗さなど) 危険サインと 受診の目安 両眼か片眼か じわじわか突然か など 脳神経内科での 診察・検査 問診・神経診察 MRI・採血など 治療と生活の トータルケア 急性期薬・予防薬 スマホ・カフェイン対策

目次

閃輝暗点(閃輝性暗点)とは

閃輝暗点(閃輝性暗点)は、片頭痛典型的な前兆の一つで、目や視界がチカチカ・ギラギラと光って見えたり、 ギザギザしたキラキラ(陽性症状)がゆっくり広がったりしたあと、視界の一部が見えない/視野の一部が欠けるように感じる現象です。 多くは5〜60分で完全に回復し、その後1時間以内に頭痛が出ることがよくあります。

「5分以上かけて広がる」「5〜60分でおさまる」「完全に元に戻る」「キラキラなどの陽性症状を含む」などが手がかりです [1]

まとめると:「目がチカチカ・キラキラして視界の一部が見えない/視野の一部が欠ける」現象は、 片頭痛の前兆であることが多く、通常は短時間でおさまります。

片頭痛(頭痛のタイプ・治療)について詳しくはこちら

閃輝暗点は何科に受診?危険な閃輝暗点は?

多くの閃輝暗点は緊急の大病ではなく、外来でゆっくり評価できることがほとんどです。
典型的な前兆は良性のことが多くそのまま失明や脳梗塞につながることはまれです。
一方で、 突然一気に視界が欠ける/片目だけが暗い麻痺・ろれつ困難などを伴う場合は、脳や眼の緊急疾患を区別する必要があります [4][5]

とはいえ、「目がチカチカする」「視界がギザギザ・キラキラして視界の一部が見えない」と感じたとき、 「閃輝暗点かも……でも何科?」と迷う方は少なくありません。
ざっくりとした目安は次のとおりです。

症状のパターン まず相談したい診療科 ポイント
両眼で同じように視界がギザギザ・キラキラ(視界がチカチカ)し、 5〜60分かけて広がって自然におさまる/その後に片頭痛らしい頭痛が出る。 脳神経内科
(頭痛外来・神経内科)
典型的な前兆を伴う片頭痛が考えられます。初発・頻度が増えたときは、 一度は脳神経内科で評価を受けると安心です [4][1]
片眼だけが暗くなる/灰色のカーテンがかかったように視力・視野が低下し、 キラキラより「見えない」感じが強い。 眼科
脳神経内科・脳神経外科
一過性黒内障・網膜疾患・眼や脳の血管のトラブルなどの可能性があり、 当日中の眼科受診が望ましい状況です [5][6]
視野が突然はっきり欠ける/片側の手足の麻痺・しびれ・ろれつ困難・ふらつきなどを伴って出現した。 救急外来
(脳卒中センター・脳神経外科/脳神経内科)
脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)が疑われます。 #7119(救急相談)で相談し、指示に従った受診が必要です [4][7]
【1分セルフチェック】次のうち1つでも当てはまるときは、当日中の受診を検討しましょう。
・初めての発作/50歳以降の新規発症/これまでと明らかに違う経過
・片眼だけ真っ暗・灰色のカーテンがかかったように見える
・視野がじわじわではなく突然欠けた
・症状が60分以上続く、または半日以上見えにくさが残る
・同時に手足の麻痺・しびれ・ことばが出にくいなどの症状がある

このチェックはあくまで「目安」です。少しでも「おかしい」「いつもと違う」と感じたら、
我慢せずに医療機関や#7119(救急相談)などへご相談ください。

※迷うとき・初めての発作・50歳以降の新規・これまでと違う経過では、 まず脳神経内科(頭痛外来)などで全身をまとめて評価してもらうと安心です。 当院では症状に応じて眼科・脳神経外科などとも連携しています。

さらに詳しい鑑別(専門的な内容を含みます)

閃輝暗点の鑑別

カテゴリー 典型的な見え方・特徴 受診の目安・根拠
一過性脳虚血発作(TIA)/脳梗塞(後頭葉など) 突然はっきりと視野が欠ける(陰性症状)。進行は「じわじわ」ではなく瞬間的
しびれ・脱力・構音障害などを伴うことあり。
今すぐ救急を検討。短時間のTIAでも脳梗塞の前触れで、 数日〜3か月の再発リスクが高いとされます [4]
一過性黒内障(片眼の一時的な視力低下) 片眼だけが急に暗くなる/灰色のカーテン。
光のキラキラより視力低下が主
当日中に緊急評価(眼科・脳神経内科)。 血管性のことがあり、脳・眼の虚血と関連します [5]
網膜剥離・網膜裂孔/後部硝子体剥離 片側の光視症(ピカッ)飛蚊症が急増、視野のカーテン感。 早期の眼科受診を。放置で視力低下のリスクが高まります [6][8]
急性閉塞隅角緑内障 激しい眼痛・頭痛、吐き気、光の周りに虹のような輪が見える、充血。 至急受診(眼科)。眼圧上昇による眼科救急です [9]
後頭葉てんかん 数秒〜数分のものが異常に光って見える、視野が狭くなる。 速やかに脳神経内科で評価。片頭痛前兆と紛らわしいため鑑別が必要 [10]
片頭痛の典型的前兆(閃輝暗点) 5分以上かけて広がるキラキラ/ジグザグ、5〜60分で自然回復。
多くは両眼で同様の見え方。
多くは外来で評価。ただし50歳以降の初発や経過の変化は受診を推奨 [1][10]
色分け:赤=緊急度高黄=中等度青=低
まとめると:両眼でじわじわ広がるキラキラならまず脳神経内科片眼だけ真っ暗・突然視界が欠ける・手足の麻痺を伴うなら 救急や眼科を含めた緊急評価が目安です。

閃輝暗点の原因(片頭痛と前兆のしくみ)

閃輝暗点は、目の中の故障ではなく、主に脳の視覚をつかさどる場所(後頭葉)で起きる現象です。
この部分で電気の活動の波がゆっくりと広がると、 キラキラした模様が見える → 視界の一部が暗く見えるという順番で感じます。
この電気の波は、皮質拡延性抑制(cortical spreading depression: CSD)と呼ばれ、 現在もっとも有力なメカニズムと考えられています [2]

片頭痛がある人のうち、およそ3〜4人に1人は、こうした前兆(オーラ)を経験するとされます。
その中でも特に多いのが、ここで説明している視覚の前兆(閃輝暗点を含むタイプ)です [1][10]

「なぜ前兆が出る人と出ない人がいるのか」「なぜ同じ人でも出るときと出ないときがあるのか」は、 まだ完全には解明されていません。
ただ、体質(片頭痛になりやすさ)と、脳や血管・神経の敏感さにくわえて、 睡眠・ストレス・ホルモンの変動などが重なったときに、 CSDが起こりやすくなると考えられています [2]

一言で:「脳の見える仕組みの一時的な乱れ」+「片頭痛の体質」がベースにあり、
そこに睡眠リズムやホルモン変動などが重なって閃輝暗点が出てきます。

発作を記録してみましょう(閃輝暗点・頭痛日記)

閃輝暗点や頭痛がいつ・どんな状況で起きたかを簡単にメモしておくと、
きっかけ(トリガー)の把握治療方針の決定にとても役立ちます。
スマホのメモや手帳でも構いませんので、下のようなイメージで「5行くらい」を記録してみてください。

日付・時間 そのときの状況
(スマホ・仕事・食事・生理周期など)
見え方のパターン 頭痛の有無/強さ 使った薬・メモ
例)4/10 18:30 仕事終わりにスマホで動画/昼食を抜いていた 両眼・視野の端から
ギザギザがじわじわ広がる
20分後にズキズキする頭痛
(10段階中6)
市販薬○○を1錠内服
例)4/16 7:00 前日深夜まで残業/睡眠時間4時間 起床後すぐ、視界の真ん中が
キラキラして本が読みにくい
30分後に強い片頭痛
(10段階中8)
処方薬トリプタン△△を1錠内服
例)4/22 14:00 生理2日目/会議中にPC作業 両眼・右側の視野にギザギザが出て
ゆっくり左側へ広がる
1時間後に鈍い頭痛(10段階中4) アセトアミノフェン500mgを1錠
例)4/28 11:30 買い物中/特にきっかけ思い当たらず 両眼でジグザグ・キラキラだけ
40分ほど続き、その後は頭痛なし
頭痛なし 無理せずベンチで休憩/車の運転は中止
例)5/3 16:00 休日のカフェでコーヒー3杯目 視野の下半分がチカチカして読書しづらい 45分後に片頭痛(10段階中5) 主治医の指示どおり
ロキソニン○○を内服

※上のような形で、「いつ」「なにをしていたか」「どう見えたか」「頭痛・薬」をセットでメモしておくと、 診察がとてもスムーズになります。
※頭痛の強さは「0=なし/10=今までで一番強い頭痛」でざっくり書いていただければ十分です。

ポイント:紙でもスマホでも構いません。「5行くらい」の具体例があるだけでも、 診察時の情報量が大きく変わります。

片目だけの閃輝暗点

発作中に片目ずつ交互に覆うと、 片眼だけの障害か、脳由来の障害かが判別しやすくなります。 片眼のみの暗転はまず眼科・血管性の原因を優先して除外します。 [1][11]

片目だけが見えにくい/暗い」場合は眼科疾患や血管性の可能性があり、 上記の通り早めの評価が重要です。まれに網膜性片頭痛(片眼の反復性視覚症状)も報告されていますが、 極めて稀で、真の有病率は不明です。診断は除外診断であり、 まず眼科・血管性疾患の評価が必要です。 [11][12][13]

まとめると:片眼のみの見えにくさはまず眼科的原因を除外。 網膜性片頭痛は非常にまれです。

更年期と閃輝暗点

更年期前後はホルモン変動が大きく、片頭痛や前兆の頻度・パターンが変わることがあります。 月経周期が不規則になる時期に増える方もいれば、閉経後に落ち着く方もいます。 治療は生活調整+急性期薬+予防薬の基本に沿い、必要に応じて婦人科と連携します [14][15]

まとめると:更年期は変化の時期。 我慢せず、今の状態に合わせた治療へ見直しましょう。

閃輝暗点の治療方法・速やかに和らげるには?

現時点で閃輝暗点(前兆)そのものを確実に短くする薬確立していません。 まずは運転・自転車・高所作業を避けて安全を確保し、静かでまぶしくない場所で安静にすることが基本です。

急性期(発作時)

ポイント:前兆そのものを確実に短縮する薬は確立していませんが、 頭痛が出てきた/出そうなときは、早めに内服すると効果的です。まずアセトアミノフェン/NSAIDs、 必要に応じてトリプタンラスミジタン等を選びます。 トリプタンは前兆自体には効果が乏しいとされ、 頭痛フェーズに早く使うのが基本です [3][16][17]。 市販の鎮痛薬も一時的な助けになりますが、自己判断での連用・多用は薬剤乱用頭痛の原因になるため、 頻度が増えてきたら必ず専門医にご相談ください。

予防(発作回数・前兆を減らす)

予防薬は、「月の発作日を減らす」ことが主な目的です。
ざっくりとしたイメージは次のようになります(詳細は医師と個別に相談してください)。

  • バルプロ酸:発作頻度が多い方に。妊娠希望の有無により使用が検討されます。
  • ロメリジン:日本でよく使われる片頭痛予防薬。
  • プロプラノロール:心拍数や血圧も確認しながら使うβ遮断薬。
  • 抗CGRP抗体薬:従来の飲み薬で不十分で頭痛の頻度が多い場合に検討される新しい注射製剤
予防薬の詳しい説明を見る

下表の効果の代表値は主に「月間片頭痛日数(頭痛)」の減少を評価したものです。 視覚の前兆のみへの直接効果は報告が限られ、個人差があります [16][17]

薬剤 効果の代表値 主な注意点
バルプロ酸 50%改善率:およそ44–45%(プラセボ約21%)/
月間発作−0.6〜−1.0回程度の上乗せ効果の試験も [18][19]
妊娠中は禁忌(催奇形性)。体重・肝機能などモニター
ロメリジン 国内の小規模RCTで有効性が示され、実臨床でも使用。効果は中等度 [20] 眠気・ふらつき等。用量は少量から調整
プロプラノロール メタ解析で月あたり約1.5回の頭痛減少(8週時点の推定) [21] 徐脈・喘息で注意。眠気・倦怠感
抗CGRP抗体薬
(フレマネズマブ/ガルカネズマブ/エレヌマブ)
代表値:
・フレマネズマブ(慢性)−4.6日/月(プラセボ−2.5)
・ガルカネズマブ(発作性)−4.6〜−4.7日/月(プラセボ≈−2.8)
・エレヌマブ(発作性)−3.2〜−3.7日/月(プラセボ≈−1.8) [22][23][24]
注射部位反応。エレヌマブでは便秘・高血圧に注意 (導入初週を中心に血圧を確認[25]

※試験デザインや対象が異なるため横断比較は不可です。個別に担当医にご相談ください。

まとめると:予防は月の発作日を減らす目的。まずは内服(バルプロ酸/ロメリジン/プロプラノロール等)、 必要に応じ抗CGRP抗体薬を検討します。

スマホやコーヒーなどの生活習慣・食生活との関連

閃輝暗点や片頭痛は体質の影響が大きい一方で、
このタイミングで出やすい」というきっかけ(トリガー)がある方も少なくありません。
ここでは相談の多いスマホ・睡眠・カフェイン・食事パターンについて、エビデンスをふまえて簡単にまとめます。

スマホ(画面の明るさ・使い方)

  • 強い光や点滅はきっかけになりやすい: とくに高コントラストの模様や縞チカチカ点滅は誘因として報告があります [26][27]
  • 寝る前のスマホは要注意:スマホやタブレットの光は眠気のホルモン(メラトニン)を抑えて寝つきを悪くします [28]睡眠が短い/途中で何度も起きる/いつもと時間がズレると、 翌日の発作が起きやすくなることが示されています [29][30]

よくある場面 なぜ起こりやすい?(要点) 今日からできる対策
明るすぎる/点滅の多い画面 縞・強いコントラスト・点滅は視覚刺激が強く、前兆のきっかけになりやすい [26][27] 画面の輝度/コントラストを下げる、点滅映像を避ける、屋外はサングラス
就寝前のスマホ メラトニン↓→入眠遅延→睡眠の乱れ→翌日の発作リスク↑ [28][29][30] 寝る1〜2時間前は画面オフ、通知を減らす、寝室は暗め&同じ就寝時刻

ブルーライトカットだけでは不十分なことも。明るさ・時間帯・睡眠の一貫性をセットで整えるのがコツです。


コーヒー(カフェイン)

カフェインは、普段から少量を一定のパターンで摂っている場合には頭痛薬にも配合されているように痛みを和らげ、 人によっては片頭痛(閃輝暗点を含む)の発作を「ほどよく抑えてくれている」と感じることがあります。
一方で、その日の摂取量が普段より多すぎると発作の引き金になりやすく、 毎日カフェインを摂っている方が急にゼロにすると、むしろ片頭痛を誘発しやすくなることが報告されています [31][32]

  • 飲みすぎはきっかけになりうる:とくにいつもより明らかに多い量を飲んだ日は、 その24時間以内に発作が起きやすくなる可能性が示されています [31]
  • いきなり「断カフェイン」にしない:毎日カフェインをとっている人が、 ある日を境に急にゼロにすると、禁断性の頭痛や片頭痛を誘発した試験があります [32]

状況 なぜ起こりやすい?(要点) 今日からできる対策
その日の高用量 いつもより多い量は、片頭痛・前兆の誘因になる可能性 [31] 量と時間を一定に。夕方以降は控えめ
急な「断カフェイン」 突然ゼロにすると、禁断性の頭痛/片頭痛が出やすい [32] やめる場合は数日〜1週間かけて段階的に減らす

そのほかの生活・食事のポイント

  • 空腹や断食、脱水:食事の間隔が長い/水分不足が重なると悪化しやすい報告があります [33][34][35]
  • アルコール:人によりけり。大規模な前向き研究では24時間以内の増加は明確でない結果もあります [36]
  • 激しすぎる運動:一部の人では誘因。強度や環境(暑さ/低酸素)で調整を [37]
  • 食事パターン魚(n‑3脂肪酸)を増やすなどで、頭痛日が減った試験があります(薬の代わりではなく補助) [38]

スマホ・睡眠・カフェイン 生活トリガー・チェック表

下の表は、自分の生活の中に「きっかけ」になりやすい習慣がないかを簡単に振り返るためのチェック表です。
あてはまるところに□を入れてみてください。

チェック項目 あてはまる 今日からできる工夫
寝る直前までスマホ・PCを見ている 就寝1〜2時間前は画面オフにして、部屋を少し暗くする
週3日以上、睡眠が5時間以下の日がある 平日も休日も起きる時間をそろえる/昼寝は長くても30分まで
コーヒー(カフェイン飲料)を1日4杯以上飲む日がある まずは1日2〜3杯までにし、夕方以降はできるだけ控える
「今日からコーヒーゼロ」にする日がときどきある 減らすときは数日〜1週間かけて段階的に減量する

□が多いところから少しずつ整えていくだけでも、発作の頻度が変わる方がいます。 無理のない範囲で「1つずつ」試してみてください。

まとめ:同じ生活リズム・同じ量を意識し、 寝る前の画面は控えめカフェインは増やしすぎず急にゼロにしない。 自分の誘因はメモで見える化すると対策しやすくなります。

閃輝暗点を家族・職場にどう説明するか

閃輝暗点は、周りの人からは見えない症状のため、なかなか理解されにくいことがあります。
家族や職場・学校の方に、次のように説明してみると伝わりやすくなります。

ご家族の方へ

  • 「視界にギザギザした光キラキラが広がる一時的な現象で、多くは5〜60分で元に戻ります。」
  • 「多くの場合は片頭痛の前ぶれで、そのまま失明することはまれです。」
  • 「ただし、片目だけ真っ暗/視野が突然欠ける/手足の麻痺やろれつ困難を伴うときは、 脳の病気のサインのこともあるので一緒に受診させてください。」

職場・学校への伝え方の例

  • 「突然ではなくじわじわ視界が見えにくくなる発作があり、その間はパソコン作業や運転が危険になることがあります。」
  • 「通常は1時間以内に回復しますが、その間は明るい画面を避けて少し休ませていただけると助かります。」
  • 突然視野が欠ける・ろれつが回らないなど、いつもと違う症状が出た場合は、 脳卒中の可能性があるので救急受診をさせてください。」
ポイント:「多くは一時的で命に関わらない」「ただし、こういう時だけは急いで病院」という2点をセットで伝えると、 周囲の理解を得やすくなります。

受診をお考えの方へ

このページをご覧になって、 「ギザギザ・キラキラが続いて不安」「頭痛はそこまで強くないけれど視界の異常が心配」「救急に行くほどか分からない」 と感じられた方は、お一人で抱え込まず、どうぞ一度ご相談ください。
吉祥寺駅南口から徒歩1分の当院で、脳神経内科専門医/総合内科専門医が現在の状態を丁寧に評価し、 「危険な発作ではないか」を確認したうえで、今後の見通しや治療の選択肢について分かりやすくご説明いたします。

「まずは話だけ聞きたい」「検査が必要かどうか知りたい」「今の薬のままで良いか相談したい」といった段階でも、 遠慮なくご相談ください。

当院には、武蔵野市・三鷹市・杉並区だけでなく、 調布市・小金井市・練馬区・世田谷区・その他23区や都外などからも多くの片頭痛・閃輝暗点の患者さんが受診されています。

よくある質問(FAQ)

Q1.閃輝暗点かなと思ったら、何科を受診すればいいですか?

A:典型的な「両眼でじわじわ広がるキラキラ」であれば、 まずは脳神経内科(頭痛外来・神経内科)が基本です。 閃輝暗点は多くが前兆を伴う片頭痛と関係しており、頭痛のタイプや脳梗塞リスク、内服薬の選び方をまとめて相談できます [4][1]

一方で、片眼だけが暗くなる・灰色のカーテンがかかるように視界が悪い場合は眼科突然視野が欠ける/手足の麻痺やろれつ困難を伴う場合は救急外来(脳神経内科・脳神経外科)が優先です。
迷うときや初発・50歳以降の新規・これまでと違う経過では、 当院のような脳神経内科でまず全身を評価し、必要に応じて眼科などと連携する方法も安心です。

Q2.「目がチカチカ・キラキラ」だけで頭痛が来ないときは受診が必要ですか?

A:典型的なら緊急性は低いことが多いですが、 初発・50歳以降の新規片眼だけ真っ暗神経症状を伴うときは 早めに受診してください [1][4]

Q3.閃輝暗点の治し方・市販薬でできる対処法はありますか?

A:現時点で、閃輝暗点そのものを確実に止める「特効薬」はありません。 治し方・対処法の基本は、①安全を確保する(運転・自転車・高所作業を避ける)、 ②まぶしくない静かな場所で安静にする③頭痛が出てきたら早めに頭痛薬を使うという3点です [3][16][17]

市販の頭痛薬(アセトアミノフェンや一部のNSAIDs)は、医師から制限がなければ一時的な対処として役立ちますが、 月10日を超える頻度での服用は薬剤乱用頭痛の原因になり得ます [17]
「市販薬がないと不安」「飲む回数が増えてきた」と感じたら、我慢せず脳神経内科で治療全体の見直し(予防薬の検討など)をおすすめします。

Q4.トリプタンは前兆を止められますか?

A:前兆そのものへの効果は乏しいとされます。 頭痛フェーズに入ったらなるべく早く内服するのがコツです [3][16]

Q5.閃輝暗点があっても、経口低用量ピルは使えますか?

A:前兆を伴う片頭痛では エストロゲン含有低用量ピルは禁忌。 避妊だけでなく月経調整目的でも同様です。 なおホルモン補充療法(HRT)はエストロゲン含有低用量ピルとは別で、 禁忌ではありません(経皮低用量推奨) [39][40]。 詳しくは閃輝暗点と脳梗塞・一過性脳虚血発作についてをご参照ください。

Q6.予防薬は何から始めますか?

A:体質や合併症に応じてロメリジン/プロプラノロール/バルプロ酸などから検討し、 不十分な場合は抗CGRP抗体薬も選択肢です [20][21][22][23][24]

Q7.前兆が出ている間、運転や自転車はしても良いですか?

A:避けてください。視界が不安定な間は事故の危険があり、 ガイドラインでも安全確保が推奨されています [3][17]

Q8.閃輝暗点は目の病気ですか?脳の問題ですか?

A:多くは脳(後頭葉の視覚野)で起こる現象です。 ただし片眼だけの見えにくさは眼の病気の可能性があり、眼科評価が必要です [2][12]

Q9.スマホを使いすぎると閃輝暗点が増えますか?

A:スマホ自体が直接の「病気の原因」というより、 強い光・点滅・高コントラストの映像や、 就寝前の使用による睡眠の乱れきっかけになりやすいと考えられます。
対策:画面の明るさ/コントラストを下げる、点滅の激しい動画を控える、 寝る1〜2時間前は画面オフ、就寝・起床のリズムを一定に保つと予防に役立ちます [26][27][28][29][30]

Q10.コーヒーを飲みすぎると閃輝暗点が増えますか?

A:人によりますが、普段より多く飲む日は片頭痛(=前兆の引き金になることあり)が増える可能性があります。 一方で、急にカフェインをゼロにするのも片頭痛を誘発し得ます。
対策量と時間をいつも同じくらいに保つ、夕方以降は控えめにする、 減らす場合は数日〜1週間かけて段階的に行うのがおすすめです [31][32]

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この記事の監修者

院長 大﨑 雅央(Masao Osaki)

吉祥寺おおさき内科・脳神経内科
日本神経学会 神経内科専門医/日本内科学会 総合内科専門医

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参考文献

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