【専門医監修】レム睡眠行動障害(RBD)について―原因・症状・診断・治療・パーキンソン病との関連を解説

「寝ているあいだに突然怒鳴る」「隣で寝ている家族を無意識に蹴ってしまう」 「朝起きたら身に覚えのないあざがある」──

これらは、レム睡眠行動障害(REM睡眠行動障害/RBD)でよく見られるサインです。 最初は「疲れているだけ」「寝相が悪いだけ」と思いがちですが、 回数が増えてくると「このまま続いたら、家族にけがをさせてしまうのでは」と不安になる方が少なくありません。

レム睡眠行動障害は、夢を見るレム睡眠のときに体を止めているはずの筋肉のブレーキが弱くなり、 夢の中の出来事に合わせて叫ぶ・殴る・蹴る・飛び起きるなどの行動が出てしまう睡眠障害です。 けがのリスクに加えて、一部の方では将来パーキンソン病などの 神経変性疾患につながることも知られており、 「放っておいていいのか」「どの診療科に相談すればよいのか」迷いやすい疾患です。

このページでは、レム睡眠行動障害の症状・原因・検査・治療の流れと、 受診の目安日常でできる安全対策を、 患者さんとご家族向けにわかりやすくまとめました。
吉祥寺おおさき内科・脳神経内科(吉祥寺駅徒歩1分)では、 丁寧に評価し、必要に応じて専門施設での検査や長期フォローにつなげていきます。
気になる点があれば、WEB予約ボタンから診察をご予約ください。

パーキンソン病の詳しい解説・治療はこちら

要点サマリー(このページで分かること)

  • レム睡眠行動障害(RBD)とは何か、どんな症状が出て、どのような人に多いかがわかります。
  • けがのリスクや、将来のパーキンソン病などとの関係について、「こわがりすぎず・軽く見すぎない」目安をつかめます。
  • 寝室の安全対策・生活習慣の工夫・薬物療法など、今日から取り組める対策と、治療全体の流れをイメージできます。
  • 受診の目安や、当院を含めた医療機関での診察・検査・フォローの流れを知り、「いつ相談すればよいか」がわかります。
このページで分かることの全体像 夜間の症状の意味を理解し、受傷や将来リスクを整理したうえで、 寝室の安全対策・生活習慣・薬物治療などの対策につなげていく流れを示した模式図です。 「夜間の症状」から「将来リスクと対策」までの流れ 寝ているあいだの 叫び・殴る・蹴るなど レム睡眠行動障害の 可能性を理解 けがの有無や 年齢・薬・無呼吸など リスク因子を 整理する パーキンソン病・ レビー小体型認知症など 将来リスクを こわがりすぎず把握 安全対策・生活習慣 薬物療法の検討 医療機関と連携し 継続的にフォロー

目次

レム睡眠行動障害(RBD)とは(基本情報)

レム睡眠行動障害(RBD:REM Sleep Behavior Disorder)は、夢の最中に体が動いてしまい、 夢の内容に合わせて叫ぶ・殴る・蹴る・飛び起きるなどの行動が出る睡眠障害です。 人によってはベッドから落ちる・家具にぶつかるなどのけがが起こります。 レム睡眠行動障害は睡眠時随伴症の一種で、レム睡眠中に通常より筋肉の緊張が高くなることが背景にあります[4]

受傷はどの程度?:研究では、約半数(55%)が何らかの受傷を経験し、 約11%は医療介入を要する重症の受傷が報告されています(自傷37.8%、同室者16.7%)[5]

まとめると:夢と同じ動きをしてしまうのがレム睡眠行動障害(RBD)。受傷リスクがあるため、早めの評価と対策が大切です。
→ 特にけがベッドからの転落がある場合は、受診をご検討ください。

レム睡眠とノンレム睡眠とは?

人の睡眠は大きくノンレム睡眠(NREM)レム睡眠(REM)に分かれ、 通常はおよそ90分前後で1サイクルとして一晩に4〜6回くり返されます。前半は深い睡眠が多く後半ほどレム睡眠の割合が増えるのが一般的です[6][7]

  • ノンレム睡眠:脳波はゆっくりになり、呼吸・脈拍は安定。筋肉はゆるむものの完全には止まりません。体の回復や記憶の整理に関わると考えられています[6][7]
  • レム睡眠:眼が素早く動き(Rapid Eye Movements:REM(レム))、脳の活動は起きている時に近い一方で、体はほぼ動かないようにする“筋のブレーキ(筋弛緩)”がかかります。鮮明な夢はこの段階で起こりやすいとされます[6][8]
  • レム睡眠行動障害との関係:レム睡眠行動障害は、このレム睡眠の“筋のブレーキ”が弱まる/外れることで、夢の内容に合わせて、叫んだり、手足をバタバタさせたりする行動が出る状態です[4]

睡眠サイクルのイメージ

睡眠サイクルの概念図 入眠から起床までのあいだに、ノンレム睡眠とレム睡眠が約90分周期で繰り返される様子を、 波を打つような曲線で表した概念図です。縦軸は「眠りの深さ(下に行くほど深い)」を示しています。 睡眠周期(ノンレム睡眠・レム睡眠) 入眠してからの時間 浅い 深い 入眠 起床 レム睡眠 ノンレム睡眠 朝方 レム睡眠が増える時間帯 RBDの行動が出やすいことがあります

※実際の睡眠サイクルは個人差がありますが、グラフの下方向が「より深い眠り」を示し、夜の後半ほどレム睡眠(上部の水色部分)が増えるイメージを持っていただくと理解しやすくなります。

まとめると:レム睡眠=脳は活発・体はブレーキ/ノンレム睡眠=脳も体も休む。 レム睡眠行動障害はこのブレーキの故障と考えるとイメージしやすいです。

レム睡眠行動障害の症状・危険サインと受診の目安

ここでは、レム睡眠行動障害の典型的な症状・行動と、医療機関への受診を検討すべきタイミングをまとめます。 「どこまでが様子見でよくて、どこから受診した方がいいのか」の目安としてご覧ください。

主な症状・行動のパターン

  • 夢の内容に合わせて、叫んだり、手足をバタバタさせたりする動作(例:殴る・蹴る・起き上がる など)
  • 発声:寝言、怒鳴り声、笑い声
  • 受傷:本人/同室者の打撲・裂創、ベッドからの転落
  • 起床後の記憶:夢の内容を覚えていることが多い

「軽い寝言だけ」「短い発声だけ」は生理的範囲でも見られます。 いっぽうで、けがをするほどの激しい動き月に何度も繰り返す場合は、医療機関での評価をおすすめします。

主な症状・危険サインと受診の目安(セルフチェック表)

主な症状・サイン セルフチェック 受診の目安(例)
寝ているあいだに叫ぶ・殴る・蹴る・急に起き上がると言われたことがある
いいえ
月に数回以上ある場合や、1回でもベッドからの転落・周囲の物を壊すなどがあれば、受診をおすすめします。
朝起きたときに、身に覚えのないあざや打撲がある
いいえ
たとえ1回でも原因不明の受傷があれば、医療機関での評価を検討してください。
パートナーや家族に「一緒に寝ていて危ない」「心配だ」と言われたことがある
いいえ
けががなくても、同じようなことが繰り返す場合や、同室者が強い不安を感じている場合は受診をおすすめします。
夜の異常行動にくわえて、強いいびき・無呼吸・窒息しそうな感じがあり、日中の眠気も強い
いいえ
睡眠時無呼吸症候群などの可能性もあるため、できるだけ早めに受診してください。
最近、手のふるえ・歩きにくさ・物忘れなど、日中の症状も気になってきた
いいえ
レム睡眠行動障害に加え、パーキンソン病などの初期サインの可能性もあり、脳神経内科での精査を検討します。

※2つ以上「はい」がある場合や、けが・無呼吸・日中症状のいずれかに「はい」がある場合は、レム睡眠行動障害(RBD)などの可能性も含めて、一度ご相談いただくことをおすすめします。
※激しい意識障害、持続するけいれん、強い呼吸困難など、明らかな救急症状がある場合は、迷わず救急要請も含めて検討してください。

まとめると: 激しい手足のバタバタ+受傷、あるいは無呼吸・日中の強い眠気・手のふるえなどの日中症状があれば受診をおすすめします。
→ 眠っているあいだの様子を家族に聞いたり、スマートフォンで動画を撮っておくと診察にとても役立ちます。まずは脳神経内科(神経内科)睡眠医療に詳しい医師にご相談ください。

レム睡眠行動障害の原因・メカニズム(なぜ起こる?)

レム睡眠では通常、脳の奥にある「筋肉のブレーキ役」の部分が働いて全身の筋肉をゆるめるため、 夢を見ても体はほとんど動きません。 レム睡眠行動障害(RBD)ではこのブレーキがうまく働かずレム睡眠中に筋肉が動きやすくなり、夢の中の動きが体にあらわれてしまいます[4]
(詳しいメモ:橋・延髄を中心とする脳幹の回路(橋背側核群〜前索経路など)による筋弛緩制御の障害などが関与すると考えられています。)

また、レム睡眠行動障害はパーキンソン病などと関連するタイプの神経変化と深い関係があり、 将来こうした病気につながる“サイン”のひとつとして現れることが少なくありません[4](詳しいメモ:αシヌクレインの蓄積を特徴とするαシヌクレイノパチーとの関連が知られています。)

パーキンソン病の初期症状の解説はこちら
まとめると:レム睡眠の“筋ブレーキ”の故障で起こり、神経変性疾患の前触れとなることがあります。
→ 過度に不安になりすぎず、定期的なフォローで変化を一緒に見ていくことが大切です。

レム睡眠行動障害は、誰に多い?(年齢・性別・薬剤など)

  • 年齢:中高年に多いとされていますが、若い方でも起こることがあります
  • 性別:男性にやや多いとする報告があります。
  • 薬剤:一部の抗うつ薬(SSRI/SNRIなど)で、夜間の大きな寝言や手足の激しい動きなどの動作が出やすくなることがあります。
  • 併存症閉塞性睡眠時無呼吸はレム睡眠行動障害のような行動を悪化させることがあり、治療で改善する場合があります。
  • 神経疾患:パーキンソン病などの経過中に出現することがあります。

※上記は疫学的な傾向であり、個人差があります[4]。 抗うつ薬などを内服中の方は、自己判断で中止せず、必ず主治医にご相談ください。

まとめると:中高年・男性にやや多めですが、それ以外の方にも起こり得ます。 抗うつ薬睡眠時無呼吸が関与することがあり、薬剤・併存症の見直しが大切です。

レム睡眠行動障害の診断(問診・同室者情報・動画)

当院では、まず詳しい問診同室者からの情報、可能であれば睡眠中の動画などを基に レム睡眠行動障害を評価します。いびき・無呼吸など他の原因が疑われる場合や、 治療方針の検討で客観的所見が必要な場合には、専門施設での精密検査(例:睡眠検査)をご提案します。

区分 要点 備考
中心 問診+同室者の情報(受傷・寝言・手足のバタバタの有無、頻度、時間帯) 記録メモやスマートフォン動画が有用
鑑別 閉塞性睡眠時無呼吸・ノンレム覚醒障害・夜間てんかんなどを除外 必要に応じて専門施設へ紹介

診察の流れ(イメージ)

ステップ 何をするか 患者さんにお願いしたいこと
1. 問診 いつから・どのような動き・どれくらいの頻度かを、詳しくうかがいます。 できればご家族や同室者と一緒に受診していただくと、様子を詳しく教えていただけます。
2. 動画・メモ スマートフォン動画やメモがあれば、一緒に確認します。 「何時ごろに」「どんな場面で」「どのくらいの時間」起きたかをメモしておくと役立ちます。
3. 検査 他の病気の可能性がある場合、睡眠検査などを行う専門施設をご紹介することがあります。
まとめると:問診・同室者情報・動画が診断の核です。
→ 受診前に、気になるエピソードをメモしたり、可能であれば動画を撮っておくと診断がスムーズになります。

レム睡眠行動障害と似ている病気との違い(鑑別表)

項目 レム睡眠行動障害 ノンレム覚醒障害 睡眠時無呼吸 夜間てんかん など
主な睡眠段階 レム睡眠 深いノンレム睡眠(夜前半に多い) レム/ノンレムいずれも 睡眠段階を問わず起こることがある
行動 夢の内容に合わせて叫ぶ・殴る 等 起き上がる・徘徊・錯乱 いびき・無呼吸、もがくことも 反復的・短時間の発作様運動
危険度 中〜高(受傷の恐れ) 中(環境次第) 中(低酸素は循環器負担) 中(診断・治療が必要)
主な対応 安全対策+薬物療法の検討 安全確保・睡眠衛生 無呼吸の評価・治療(例:CPAP) 専門的評価(脳波等)
まとめると:受傷無呼吸があれば早めに受診を。
特に早めの受診をおすすめするサイン:
  • 夜の異常行動にくわえて、日中の強い眠気けいれん様の動きがある
  • 何度も窒息しそうになって目が覚める、強いいびきが続いている
  • 短期間で物忘れや歩行の変化が目立ってきた

レム睡眠行動障害の長期的な経過について(将来の病気)

特発性レム睡眠行動障害の方は、長期的にパーキンソン病などの神経変性疾患を発症する割合が高いことがわかっています。 大規模解析では、睡眠検査(一晩かけて脳波や呼吸などを調べるポリソムノグラフィー)で確定したレム睡眠行動障害の方について、 5年で約30%10年で約60〜80%15年で約80〜95%が移行したとの報告があり、 年あたりの平均移行率はおおよそ6〜7%/年と推定されています[1][2]

ただし、これらはあくまで大勢をまとめたときの数字(統計)であり、 個人ごとの経過には大きな幅があります。 レム睡眠行動障害があるからといって、「すぐにパーキンソン病になる」という意味ではありません。 定期的に診察を受け、歩き方や手のふるえ、もの忘れなどに変化がないかを一緒に確認していくことが大切です。

詳しく見る

レム睡眠行動障害からの長期的な病気の移行

iRBDからの長期的な病気の移行 将来、パーキンソン病などを発症した人の割合(累積%)。観察年数(年)。代表値 5年33%、10年75%、15年90%(概念図)。 将来発症した人の割合(累積%) 観察年数(年) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 0 5 10 15 5年 ≈33% 10年 ≈75%(60–80%) 15年 ≈90%(80–95%)

※幅の主因:診断基準(RSWAの定義やスコア法)、年齢構成追跡期間除外基準の差異[1][2]

まとめると:受傷対策と定期フォローが必須です。将来の神経変性疾患を見据えつつ、必要以上に不安になりすぎないバランスが大切です。
→ 定期診察では、睡眠だけでなく、日中の体調や動き・もの忘れの変化も一緒に確認していきます。

レム睡眠行動障害の治療(安全対策・薬物・併存症)

1)まずは「安全対策」

  • ベッド周囲の危険物の撤去(尖った家具・ガラス・重い置物など)
  • 角の保護床マットの設置、必要に応じてベッドを低くする
  • 同室者の安全な距離(一時的な別室も検討)
  • 就寝前の飲酒を避ける、睡眠不足の解消、規則的な睡眠習慣

寝室の安全対策チェックリスト

項目 チェック
ベッドのまわりの家具の角を保護している
ガラス製の家具や重い置物をベッド近くに置いていない
ベッドの高さを見直し、必要に応じて低くしている
床にマットやラグを敷いて、転落時の衝撃を減らす工夫をしている
パートナーや家族と、寝る位置や距離について話し合った

2)併存症・薬剤の見直し

  • 睡眠時無呼吸がある場合は、CPAPなどの治療でレム睡眠行動障害様行動が軽減することがあるとされます。
  • 一部の抗うつ薬などで夢の内容に合わせた叫び・手足のバタバタが増えることがあり、主治医と薬剤調整を検討します。

3)薬物療法(症状緩和目的)

薬剤 期待できる効果 主な副作用・注意 位置づけ
クロナゼパム 夜間の叫び声や手足の激しい動き受傷行動軽減 日中の眠気、ふらつき、転倒、認知/呼吸抑制に注意(高齢者で慎重) 条件付き推奨(ガイドライン)[3]
その他
(背景疾患に応じた調整)
合併疾患の症状背景により検討 個別に有害事象へ配慮 専門医で検討[3][4]

※薬剤選択は個別の病状・年齢・併存症で最適化します。用量調整・相互作用は主治医にご相談ください[3]

まとめると:安全対策→併存症/薬剤の見直し→薬物療法の順で進め、受傷ゼロを目標に調整します。

レム睡眠行動障害の生活の工夫

  • 就寝環境:ベッド周囲を片づける、角を保護、床にマット
  • 生活リズム:規則正しい就寝・起床、カフェイン・アルコールを控えめに
  • 家族への共有:受傷予防の工夫を一緒に確認
  • 定期フォロー:症状・内服・合併症(無呼吸、パーキンソン症状など)の変化をチェック
まとめると:日常の小さな工夫で受傷リスクを大幅に低減できます。
→ ご家族やパートナーと一緒に、ときどきチェックリストを見直す習慣をつくると安心です。

<ご家族・パートナーの方へ>
夜間の行動はご本人の「性格」や「意思」ではなく、病気によるものです。叱責するのではなく、 一緒に安全対策を進めるパートナーとして関わっていただけると、ご本人の安心感につながります。

受診をお考えの方へ

このページをご覧になって、 「寝ているあいだに叫んだり手足を振り回していると言われて不安」「本人や家族がけがをしないか心配」「救急に行くほどかどうか判断に迷う」 と感じられた方は、お一人で抱え込まず、どうぞ一度ご相談ください。
吉祥寺駅徒歩1分の当院で、脳神経内科専門医/総合内科専門医が現在の状態を丁寧に評価し、 レム睡眠行動障害かどうか、ほかに危険な病気が隠れていないかを確認したうえで、今後の見通しや治療の選択肢について分かりやすくご説明いたします。

「まずは話だけ聞きたい」「睡眠検査が必要かどうか知りたい」「薬を使ったほうが良いか相談したい」といった段階でも、 遠慮なくご相談ください。

当院には、武蔵野市・三鷹市・杉並区だけでなく、 その他東京23区、調布市・小金井市や都外などからも、レム睡眠行動障害やその疑いで多くの方が受診されています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 寝言が多いのですが、レム睡眠行動障害でしょうか?

寝言だけではレム睡眠行動障害とは限りません。夢の内容に合わせて、叫んだり、手足をバタバタさせたりする動作受傷がある場合はレム睡眠行動障害が疑われます。まずは問診・同室者からの情報で評価し、必要に応じて専門施設での検査をご提案します。

Q2. レム睡眠行動障害があると必ず神経変性疾患になりますか?

必ずではありませんが、長期にパーキンソン病などに移行する人が多いことがわかっています[1][2]。一方で、移行しない方もいらっしゃいます。数字はあくまで統計であり、個々の経過はさまざまですので、定期フォローをおすすめします。

Q3. 入院での睡眠検査は必要ですか?

当院では入院での睡眠ポリグラフ検査(PSG)は実施していません問診・同室者情報・動画で評価し、必要時に専門施設をご紹介します。

Q4. どの診療科を受診すれば良いですか?

脳神経内科(神経内科)睡眠医療の専門医が対応します。当院でも診断から治療、生活支援まで丁寧に対応いたします。遠方にお住まいの方は、お近くの脳神経内科睡眠医療専門医にご相談ください。

Q5. 市販の睡眠薬やお酒で眠れば、動きは減りますか?

一部の睡眠薬やアルコールは、かえって転倒や呼吸抑制のリスクを高めたり、夜間の行動を悪化させたりすることがあります。自己判断で増量したり組み合わせたりすることはおすすめできません。すでに睡眠薬を飲んでいる場合も含め、必ず主治医に相談してください。

Q6. 遠方に住んでいて、睡眠の専門施設が近くにありません。

まずはお近くの脳神経内科・精神科など、睡眠に詳しい医師にご相談ください。通院の負担も考えながら、現実的な選択肢が検討されます。

大崎 雅央 院長の写真

この記事の監修者

院長 大崎 雅央(Masao Osaki)

吉祥寺おおさき内科・脳神経内科
日本神経学会 神経内科専門医/日本内科学会 総合内科専門医

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参考文献

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  • [1] Postuma RB, et al. Prognosis of PSG‑confirmed idiopathic RBD: multicenter study & meta‑analysis. Brain. 2019;142(3):744–759. PubMed
  • [2] Iranzo A, et al. Risk of neurodegeneration in idiopathic RBD: prospective cohort. The Lancet Neurology. 2013;12(5):443–453. PubMed
  • [3] American Academy of Sleep Medicine (AASM). Clinical practice guideline for the management of REM sleep behavior disorder. J Clin Sleep Med. 2023. PubMed
  • [4] Högl B, Stefani A, Videnovic A. REM sleep behaviour disorder and neurodegeneration. Nat Rev Neurol. 2018;14:40–55. PubMed
  • [5] McCarter SJ, et al. Factors associated with injury in RBD. Sleep Med. 2014;15(11):1337–1343. PMC
  • [6] Scammell TE, Arrigoni E, Lipton JO. Neural circuitry of wakefulness and sleep. Neuron. 2017;93(4):747–765. PubMed
  • [7] Rasch B, Born J. About sleep’s role in memory. Physiol Rev. 2013;93(2):681–766. PubMed
  • [8] Hobson JA, Pace‑Schott EF. The cognitive neuroscience of sleep: neuronal systems, consciousness and learning. Nat Rev Neurosci. 2002;3(9):679–693. PubMed
  • [9] Mahmood Z, et al. REM sleep behavior disorder in Parkinson’s disease. Behav Neurol. 2020. PMC
  • [10] Prasad S, et al. Recent advances in Lewy body dementia(RBD併存率の記述を含むレビュー). 2023. ScienceDirect
  • [11] Giannini G, et al. REM Sleep Behaviour Disorder in Multiple System Atrophy(メタ解析:PSG確定88%). Front Neurol. 2021;12:677213. Publisher