【専門医監修】閃輝暗点と脳梗塞の関係|片頭痛のある方のピルの内服について
「閃輝暗点が出ると、もしかして脳梗塞では?」「ピルを飲んでいて血栓症や頭痛が心配…」という方へ。
このページでは、閃輝暗点が脳梗塞・一過性脳虚血発作(TIA)である確率や、
「どんなときに本当に危ないのか」に加えて、低用量ピルと血栓症・頭痛の関係もまとめました。
結論からいうと、典型的な閃輝暗点(じわじわ広がるキラキラが5〜60分以内で元に戻るタイプ)が、
そのまま脳梗塞そのものであることは非常にまれです。多くは片頭痛の前ぶれです。[1][2]
ただし、突然ガクッと視野が欠ける、片目だけ真っ暗、手足の麻痺やろれつ困難を伴う場合は、
脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)のサインの可能性があり、早めの受診が大切です。[3][4]
「今の症状が危険かどうかを知りたい」「ピルを続けてよいか一度きちんと相談したい」という方は、
吉祥寺駅徒歩1分の吉祥寺おおさき内科・脳神経内科へご相談ください。
要点サマリー(このページで分かること)
- 「閃輝暗点と脳梗塞の関係」を整理し、典型的な閃輝暗点の多くは片頭痛の前兆であり、そのまま脳梗塞であることは極めてまれである一方で、注意が必要なパターンもあることが分かります。
- 片頭痛関連脳梗塞(migrainous infarction)や一過性脳虚血発作(TIA)とは何か、その定義・頻度・起こりやすい背景(若年女性・血管リスクなど)を、中長期のイメージとしてつかんでいただけます。
- 「この場合は脳梗塞/TIAを疑う」危険サインのチェックリストと、実際に救急外来を受診したときの検査・治療の流れを知ることで、「どのタイミングで受診すべきか」の判断材料になります。
- 禁煙・血圧・脂質管理・ホルモン薬の選び方・運動や睡眠などの生活習慣を通じて、将来の脳梗塞リスクを下げるための具体的な対策と、脳神経内科での長期フォローのイメージを持っていただけます。
- 「閃輝暗点があっても低用量ピルを飲んでよいか」「ピルで頭痛や血栓症が心配」といった疑問に対し、エストロゲン含有ピルの血栓症リスクやピルによる頭痛で受診を考えるサインを整理しています。
目次
- 閃輝暗点=脳梗塞そのものは極めてまれ
- 片頭痛関連脳梗塞とは?
- 脳梗塞を疑うチェックリスト
- 救急を受診したときの流れ(検査・治療)
- 長期的な脳梗塞・血栓症リスク管理(禁煙・血圧など)
- 閃輝暗点と低用量ピル(血栓症リスクと頭痛)
- よくある質問(閃輝暗点と脳梗塞・TIA・ピル)
- 参考文献
結論:典型的な閃輝暗点=脳梗塞そのものは極めてまれ
まず押さえておきたいポイントは、 典型的な「閃輝暗点らしい」発作が、そのまま脳梗塞であるケースは非常に少ないということです。
-
典型的な閃輝暗点とは:
両眼で同じように、視野の一部にギザギザ・キラキラが現れ、 5分以上かけてゆっくり広がり、5〜60分以内に完全に元通りになるタイプです。[5] - このような前兆がそのまま脳梗塞(片頭痛関連脳梗塞)になっているケースは、 すべての脳梗塞のうち0.2〜0.5%程度と報告されています。[1][2]
- 人口全体でみると、年間10万人あたり1〜3人程度と推定されており、 かなりまれな病態です。[1]
一方で、見え方や経過が「典型的な閃輝暗点」と違う場合には注意が必要です。
特に、
- 視野が突然ガクッと欠けた
- 片目だけ真っ暗・灰色のカーテンがかかった
- 見えにくさが60分以上続く/半日以上残る
- 同時に手足の麻痺・しびれ・言葉が出にくいなどを伴う
こうした場合は、脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)・眼の病気との区別が必要になります。[3][6][4]
「じわじわ広がるキラキラ → 5〜60分で元通り」という典型的な閃輝暗点は、 ほとんどが片頭痛の前ぶれで、脳梗塞そのものは極めてまれです。
ただし突然の視野欠損・片目だけ・60分超・麻痺やろれつ困難などがあれば、 一過性脳虚血発作/脳梗塞を疑って早めの受診が必要です。
ピルを内服している方でも、危険サインの基本は同じです。
片頭痛関連脳梗塞とは?(定義・頻度・TIAとの違い)
「片頭痛関連脳梗塞(migrainous infarction)」の定義
国際頭痛分類では、「片頭痛関連脳梗塞(migrainous infarction)」は次のように定義されています。[1][2]
- いつもの片頭痛の前兆(閃輝暗点など)が1時間以上続く
- その症状と一致する部位に、画像検査(多くはMRI)で新しい脳梗塞が確認される
- 他にもっと適切に説明できる原因がない
多くは、視覚をつかさどる後頭葉(後方循環領域)などに小さめの脳梗塞を起こすとされます。[2]
片頭痛関連脳梗塞はどのくらいの頻度で起きる?
- 全ての虚血性脳梗塞のうち0.2〜0.5%程度が片頭痛関連脳梗塞と報告されています。[1][2]
- 人口全体でみると、年間10万人あたり1〜3人程度と推定され、かなりまれです。[1]
- 年齢としては比較的若い女性に多く、喫煙・エストロゲン含有ピル・高血圧などの血管リスクが重なると起こりやすいとされています。[7][8]
閃輝暗点とTIA(一過性脳虚血発作)の違い
「閃輝暗点と一過性脳虚血発作の区別」が、日常診療でもっとも悩ましいポイントの一つです。
大まかな違いを表にまとめると、次のようになります。[3][4]
| 項目 | 閃輝暗点(片頭痛の前兆) | 一過性脳虚血発作(TIA) |
|---|---|---|
| 症状の立ち上がり | じわじわ広がることが多い(数分以上かけて増える) | 突然はっきり出ることが多い |
| 症状の種類 | キラキラ・ギザギザなど「見えすぎる」陽性症状を含むことが多い | 急な視野欠損・視力低下など「見えない」陰性症状が中心 |
| 持続時間 | 5〜60分で完全に戻ることが多い | 通常は分〜数十分。ときに1時間以上続く |
| 同時の症状 | 続いて拍動性頭痛・吐き気などが出やすい | 片側の麻痺・しびれ・言葉が出にくいなどを伴うことが多い |
| 緊急性 | 典型例では緊急性は低いが、 初発・高齢発症・60分超は要注意 |
脳梗塞の前触れであり、 早期評価・治療が非常に重要 |
※実際には「完全にきれいに分かれる」わけではなく、
初めての発作・50歳以降の新規・経過がこれまでと違うときには、画像検査を含めた評価を行うことが推奨されています。[3][7]
じわじわ広がるキラキラ+5〜60分で回復は「閃輝暗点らしさ」が高く、
突然の視野欠損・片側麻痺・ろれつ困難などはTIA/脳梗塞らしさが高いサインです。
この場合は脳梗塞/TIAを疑うチェックリスト
「これは閃輝暗点(片頭痛)として様子をみてよいのか、それとも脳梗塞を疑うべきか」を判断する目安として、以下のチェックリストを用意しました。
- 初めてこうした見え方が出た(特に50歳以降)
- 視野が突然欠けた/暗くなった(じわじわではない)
- 片目だけ真っ暗・灰色のカーテンがかかったように見える
- 見えにくさが60分以上続く、または半日以上残る
-
同時に、次のうち1つ以上がある
- 片側の手足の麻痺・力が入りづらい
- 片側のしびれが突然出た
- ろれつが回りにくい/言葉が出にくい/人の話が理解しづらい
- 激しいふらつき・転びそうな感じが急に出た
- 今まで経験したことのない急激な激しい頭痛
上記はあくまで目安です。
少しでも「おかしい」「これまでの閃輝暗点と違う」と感じたら、#7119(救急相談)などで相談し、指示に従って受診してください。[4][9]
「いつもの閃輝暗点っぽい」と思える場合
一方で、次のような場合は典型的な閃輝暗点(片頭痛の前兆)が考えられ、緊急性は低いことが多いとされています。[5][10]
- 毎回ほぼ同じ見え方・同じ経過で起きる
- 視野の端からじわじわキラキラ・ギザギザが広がり、5〜60分で完全に元通りになる
- その後にいつもの片頭痛が出てくる
- 麻痺・ろれつ困難など神経症状は伴わない
こうした場合は、外来での精査でも十分間に合うことが多く、脳神経内科(頭痛外来)で詳しく相談するのがおすすめです。
「初めて・突然・片目だけ・60分超・麻痺やろれつ困難」なら当日評価、
「いつも通り・じわじわキラキラ・60分以内で回復」なら外来での精査が基本です。
救急を受診したときの流れ(検査・治療)
「脳梗塞かもしれない」と救急外来を受診すると、実際には片頭痛(閃輝暗点を含む)などの別の病気だったというケースも少なくありません。
大規模な研究では、「脳卒中かも」で運ばれた方の20〜50%前後が脳卒中ではなかったと報告されています(ストローク・ミミック)。[11][12]
とはいえ、本物の脳梗塞との見極めが非常に重要なため、救急では次のような流れで評価が行われます。
4-1. 問診・診察
- いつから・どう変化したか(突然か/じわじわか)
- どこが見えにくいか(片目/両眼・視野のどの部分)
- 麻痺・しびれ・言葉のもつれ・ふらつきなどの同時症状
- 片頭痛の既往、普段の閃輝暗点との違い
- 高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙・ピルなどの血管リスク
あわせて、意識状態・手足の力・感覚・ことば・眼の動きなどの神経診察が行われます。[13]
画像検査・採血など
- 頭部CT/MRI:脳出血や脳梗塞がないか、脳の形に異常がないかを確認
- 頸動脈・頭蓋内血管の評価:CTA(CT血管撮影)やMRAなど
- 採血:血糖・電解質・凝固系・脂質など
- 必要に応じて、心電図・心エコーなどで心臓の評価
片頭痛が疑われる場合でも、初発・高齢発症・今までと全く違う経過の場合は、一定の画像検査が推奨されます。[13][7]
治療の方針
- 脳梗塞/TIAが強く疑われる場合:
発症からの時間や画像所見によって、血栓を溶かす薬(tPA静注)や カテーテル治療の適応が検討されます。[9] - 片頭痛(閃輝暗点を含む)が疑われる場合:
基本的には安全性が確認されたうえで、 鎮痛薬・点滴・制吐薬などを用いた急性期治療を行います。[13]
※このページの内容は、一般的な流れをイメージしていただくためのものであり、
実際の検査・治療内容は病院・地域・患者さんの状態によって異なります。
「結果として片頭痛(閃輝暗点)だった」としても、
危ない脳梗塞・TIAを見逃さないことが何より重要です。
閃輝暗点の長期的な脳梗塞・血栓症リスク管理(禁煙・血圧など)
「今この発作が脳梗塞かどうか」と同じくらい大切なのが、
今後の人生で脳梗塞になりにくい体づくり=長期的なリスク管理です。
前兆(閃輝暗点)のある片頭痛の方は、脳梗塞リスクが「やや高め」
大規模な研究から、前兆を伴う片頭痛の方は、そうでない方に比べて 虚血性脳梗塞のなりやすさ(相対リスク)が1.5〜2倍程度と報告されています。[7]
とはいえ、もともとの絶対数が若年女性では非常に少ないため、
「1.5〜2倍」といっても個人レベルではそこまで高頻度ではないこともポイントです。
さらに、禁煙・血圧管理・(月経管理や避妊を含む)ホルモン薬の選び方などでリスクは大きく下げることができます。[7][8]
5-2. 生活習慣で気をつけたいポイント
| 項目 | やるとよいこと | 理由 |
|---|---|---|
| 禁煙 | タバコを吸っている方は、本数を減らす→最終的にやめる方向へ。 | 喫煙は血管の老化と血栓の大きなリスク。 前兆あり片頭痛と合わさると脳梗塞リスクがより高まるとされます。[7] |
| 血圧・コレステロールの管理 | 年1回以上の健診でチェックし、必要なら内服治療も検討。 | 高血圧・脂質異常症は脳梗塞の王道リスク。 薬でコントロールすることでリスクを下げられます。[7] |
| 運動・体重管理 | 週150分程度の軽め〜中等度の有酸素運動を目標に、できる範囲から。 | 血圧・血糖・脂質を整え、睡眠やストレスにも良い影響があります。 |
| 睡眠・ストレス | 就寝・起床時間をできるだけ一定にし、睡眠不足をためない。 | 睡眠の乱れは片頭痛の発作を増やすだけでなく、長期的にも血圧や代謝に影響します。[14] |
導入前チェックとフォロー(共有事項)
- 導入前:血圧測定・喫煙状況・既往歴・家族の若年性血栓症の有無・片頭痛(前兆)の有無を確認。
- 開始後1〜3か月:頭痛日記(頻度/強さ/前兆の有無)・血圧・不正出血のチェック。
- 持参すると良いもの:健診結果、服用中の薬一覧、過去の脳画像や婦人科検査結果、頭痛日記。
禁煙・血圧管理・コレステロール・体重を整え、目的に合ったホルモン療法を選ぶことで、
「閃輝暗点があっても脳梗塞になりにくい状態」を目指せます。
閃輝暗点があっても、経口低用量ピルは使える?(血栓症リスクとピルによる頭痛)
結論:エストロゲンを含む経口ホルモン薬は、前兆を伴う片頭痛では原則避けます。
これは避妊目的に限らず、月経痛の軽減・過多月経や周期の調整目的でも同様です。理由は、虚血性脳卒中などの血栓症リスクを上乗せしてしまうためです。[15][8]
代替としては、黄体ホルモン単剤(プロゲスチン単剤ピル:POP)、レボノルゲストレルIUS、あるいはNSAIDs/トラネキサム酸等の非ホルモン療法が選択肢になります。目的(避妊・疼痛緩和・出血コントロール)に応じて、婦人科と連携して最適解を一緒に検討しましょう。
ピルと血栓症(脳梗塞・肺塞栓など)の関係
「ピル=すぐ血栓症」というわけではなく、もともとの血栓リスクにピルが上乗せされるイメージです。
前兆あり片頭痛はもともと動脈血栓症(脳梗塞など)のリスクがやや高めで、そこにエストロゲン含有が加わると相対リスクがさらに増えます。[7][8][15]
- 血栓症には、動脈血栓症(脳梗塞・心筋梗塞)と、静脈血栓症(深部静脈血栓症・肺塞栓)があります。若年で基礎疾患がない方では絶対数は多くありませんが、複数のリスク(喫煙・高血圧・脂質異常・肥満・糖尿病・家族歴)が重なると上昇幅が問題になります。
- ガイドラインは、「前兆あり片頭痛 × エストロゲン含有ピル」を避けることを推奨しています。[8][15]
ピルによる頭痛で受診を考えるサイン
低用量ピル開始後に頭痛が増えることはありますが、すべてが危険サインではありません。
様子見でよいことが多い頭痛と、すぐ相談すべき頭痛を整理します。
-
様子をみてもよいことが多い頭痛の例
- 開始直後〜数週間の、両側〜全体の「重い」「軽い締め付け感」
- 市販鎮痛薬でおさまり、数時間〜1日以内に改善し、麻痺・しびれ・ろれつ困難・視野欠損などの神経症状を伴わない
- 月経前後など特定のタイミングに限って起こる
-
すぐ相談・救急受診も検討すべき頭痛
- これまでなかった閃輝暗点(キラキラ・ギザギザ)が出る
- 片側の麻痺・しびれ、ろれつ困難/失語などの神経症状を伴う
- 突然「バチン」と始まる、人生最悪の激しい頭痛
- もともとの片頭痛が頻度・強さともに急激に悪化してきた
※上記は目安です。「いつもと違う」「明らかにおかしい」と感じたら、#7119(救急相談)やかかりつけにご相談ください。
詳しいリスクの数字をみる(詳しく知りたい方向け)
エストロゲン含有ピルと若年女性の脳梗塞リスク ─ 具体的な数字で解説
「エストロゲン含有ピルでどのくらい脳梗塞が増える?」という疑問に答えるイメージ図です。
棒が長いほど、1年間に10万人あたりの虚血性脳梗塞の発症数が多いことを示します(右端の数字が実数)。
略語:MwA=前兆あり片頭痛、MwoA=前兆なし片頭痛、CHC=エストロゲン含有ピル。
データ出典:20〜44歳女性の推定値。単位=虚血性脳梗塞の発症(10万人あたり/1年)。EHF/ESCコンセンサス(J Headache Pain 2017)[8]。
※観察研究に基づく推定で、年齢・喫煙・血圧・持病などで上下します。
※前兆あり片頭痛 × エストロゲン含有ピルは禁忌です[15][8]。
受診をお考えの方へ
このページをご覧になって、「閃輝暗点が出るたびに脳梗塞やTIAが心配」「救急に行くべきか、様子を見て良いのか判断に迷う」「低用量ピルと血栓症・頭痛のリスクをどの程度気にすべきか知りたい」と感じられた方は、お一人で抱え込まず、どうぞ一度ご相談ください。
吉祥寺駅南口から徒歩1分の当院で、脳神経内科専門医/総合内科専門医が現在の状態を丁寧に評価し、今の症状が危険なタイプではないかを確認したうえで、救急受診の目安・将来の脳梗塞リスク・ピルやホルモン療法との付き合い方について分かりやすくご説明いたします。
「まずは話だけ聞きたい」「これまでのMRI画像や脳ドック・健診結果を一緒に見ながら相談したい」「ピルや持病との兼ね合いを含めて、リスクと治療方針を整理したい」といった受診も歓迎です。
当院には、武蔵野市・三鷹市・杉並区だけでなく、調布市・小金井市・練馬区・世田谷区・その他23区や都外からも、閃輝暗点や片頭痛、脳梗塞・TIAリスク、ピルと血栓症リスクのご相談で多くの方が受診されています。
よくある質問(閃輝暗点と脳梗塞・TIA・ピル)
Q1.「閃輝暗点=脳梗塞」と言われました。本当に大丈夫でしょうか?
A:医学的には、「閃輝暗点そのものが脳梗塞」というより、
ごく一部の方で「片頭痛関連脳梗塞」と呼ばれる状態になることがある、という表現が近いです。[1][2]
典型的な「じわじわ広がるキラキラ → 5〜60分で回復」という発作の多くは片頭痛の前兆であり、脳梗塞はごくまれです。
ただし、初発・高齢発症・持続が長い・神経症状を伴うなどの要素がある場合は、MRIなどで一度きちんと確認しておくと安心です。
Q2.閃輝暗点が出たら、毎回救急に行ったほうが良いですか?
A:毎回救急外来を受診する必要はありませんが、
「いつもと違う」「突然」「片目だけ」「60分以上続く」「麻痺・ろれつ困難を伴う」場合には、その場で我慢せず、#7119(救急相談センターなどの救急電話相談)に連絡して受診の要否や受診先について指示を受けることをおすすめします。[3][4]
逆に、いつもと同じパターンの閃輝暗点で、短時間で完全に回復し、神経症状がない場合は、外来での相談でも十分なことが多いです。
Q3.救急で「脳卒中ではなく片頭痛」と言われました。今後も行かない方がいいですか?
A:いいえ、「もう二度と救急に来てはいけない」という意味ではありません。
一度しっかり検査をしても、その後に全く違うタイプの脳梗塞が起こる可能性はゼロではありません。
「いつもと様子が違う」「神経症状が強い」と感じたときには、過去の診断にとらわれず、#7119(救急相談センターなどの救急電話相談)に連絡して相談し、必要性があれば案内された医療機関を受診してください。
Q4.閃輝暗点があると、必ず脳梗塞になりやすいのでしょうか?
A:前兆あり片頭痛の方は、統計的には脳梗塞リスクがやや高めですが、
若い方ではもともとの脳梗塞自体が少ないため、絶対的なリスクとしてはそこまで高くありません。[7]
さらに、禁煙・血圧管理・脂質管理・ホルモン薬の選び方などでリスクを下げることができます。
参考文献
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- [1] Lee MJ, et al. Migrainous infarction. Journal of Stroke. 2016.
- [2] Wolf ME, et al. Clinical and MRI characteristics of acute migrainous infarction. Neurology. 2011.
- [3] Alstadhaug KB, et al. Transient ischemic attack or migraine aura? Tidsskr Nor Laegeforen. 2023.
- [4] Nadarajan V, et al. Transient ischaemic attacks: mimics and chameleons. BMJ. 2014.
- [5] ICHD‑3:1.2 Migraine with aura.
- [6] Pula JH, Kwan K. Update on the evaluation of transient vision loss. Clin Ophthalmol. 2016.
- [7] Øie LR, et al. Migraine and risk of stroke. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2020.
- [8] Sacco S, et al. Hormonal contraceptives and risk of ischemic stroke in women with migraine. J Headache Pain. 2017.
- [9] Amarenco P, et al. Four‑Year Follow‑Up of TIAs, Strokes, and Mimics (OXVASC). Stroke. 2015.
- [10] Viana M, et al. Clinical features of visual migraine aura: systematic review. J Headache Pain. 2019.
- [11] Pohl M, et al. Ischemic stroke mimics: a comprehensive review. J Clin Neurosci. 2021.
- [12] Farid HA, et al. The burden of stroke mimics among hyperacute pathway patients. 2024.
- [13] Charles A, et al. Diagnosis and management of migraine in ten steps. Nat Rev Neurol. 2021.
- [14] Bertisch SM, et al. Nightly sleep duration, fragmentation, and daily risk of migraine. Neurology. 2020.
- [15] CDC. U.S. Medical Eligibility Criteria for Contraceptive Use(2024): migraine with aura = CHC Category 4.
- [16] British Menopause Society. Migraine and HRT. 2022.